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最初の一息

これはもう、千年近く前の話である。人類は不死身の大魔王に蹂躙され、絶滅寸前まで追い詰められていた。しかし、極限状態で発揮された火事場の馬鹿力で新たな力『ソウル』を覚醒させた人類は、勇者ミカエルと四人の戦士を筆頭に、大魔王を封印することに成功する。だが、代償は大きかった。全ての力を注ぎ込んだミカエルたちは、封印の直後に息絶えたのだ。

そうして、現代。今ではほぼ全ての人類が『魂』をその身に宿している。

――では、あの時封印された大魔王は、一体どこへ消えたのか?その答えを、当時の俺が知る由もなかった。

◇「だーかーら! 俺だって蒼白学園に入りたいんだよ!」俺の名前は星熊サン。最高峰の能力者が集まる『蒼白学園』に入学し、最強の魂使いになることを夢見る男。……なのだが、現実は厳しい。今まさに、父親である星熊アキに直談判している最中だ。

「ならん。ネルならまだしも、お前には才能がなさすぎる。我が星熊家の看板に泥を塗るつもりか?」

「そうですよ、お兄様。私にすべての才能を吸い取られちゃったんじゃないですか? 魂を極めるどころか、発動すらできていないくせに」

クソ、小馬鹿にしてドヤ顔を浮かべているのは妹のネルだ。幼くして天才と謳われる妹と、たった一代で超富裕層の地位を築き上げた化け物のような父親。そんな血筋の中で、俺だけが『魂』を一度も発動できていない。(分かってる。才能がないことくらい、自分が一番分かってる……!)だけど、ここで諦めたら俺の人生は一生、日陰のままだ。俺は拳を握り締め、一か八かの大博打に出た。

「だったら――今からネルと勝負して、俺が勝ったら入学を認めてくれ!」

アキの目が細められる。「ほう。そこまで大口を叩くなら見せてみろ。勝てば入学を許可してやる」

「お兄様、正気ですか? 結果なんて目に見えていますけど……まぁ、お兄様が負けたら、私の言うことを何でも一つ聞いてもらいますからね?」

自分で言っておいてアレだが、完全に後に引けなくなった。勝負の条件は「ネルの攻撃を30分間耐え抜くこと」。そして、放課後の闘技場。時刻は午後6時。「今なら降りられますよ、お兄様」

「生憎、敵前逃亡は俺の辞書にないんでね」

「……そうですか。じゃあ、始めます」

その瞬間、ネルの空気が一変した。天才の放つプレッシャーに身体がすくむ。次の瞬間には視界がブレ、俺の身体は派手に吹き飛んでいた。

「ガハッ……!?」

肺の空気が無理やり絞り出される。分かってはいたが、ネルの攻撃は容赦がなさすぎる。一撃で意識が朦朧としてきた。妹に手も足も出ず、無様に転がる。男として情けねぇ。ここで俺の夢は終わりなのか?嫌だ。こんなところで終わってたまるか……!だけど、どうすればこの状況を打開できる!?才能のない俺が、天才のネルに勝つ方法なんてあるのか?(……いや、ある。一人だけ、絶対にネルが勝てない存在がいる)脳裏をよぎったのは、昔本で見た伝説。人類を絶滅寸前まで追い詰めた、絶対的な恐怖の象徴。(大魔王だ。もし……もしも俺が、あの不死身の大魔王みたいに強くなれたら、こんな状況なんて一瞬で――!)その、あまりにも不穏で、あまりにも強烈な『渇望』が、俺の身体の奥底に眠る何かをぶち破った。ドロリとした禍々しい熱さが、全神経を駆け巡る。

『――ほう。面白い器が俺を呼んだな――』

突然、脳内に直接、世界を震撼させるような重苦しい声が響いた。誰だ。いや、考えるまでもない。俺が今、心底なりたいと願った「存在」そのものだ。

『なら、くれてやろう。お前が望んだ、俺の力の一部をな。唱えよ、ガキ。お前の魂の産声を』

身体中から溢れ出す黒いオーラに、俺は突き動かされるように叫んでいた。

「――発動ッ!!!」

初めての執筆なのでクソガキがなんかやってるなーくらいの感覚で見ていってください

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