侵略者を討つな! 125
隊長は心当たりがありました。病院で海老名隊員の脳死宣告を受けたときのこと。あのときの隊長はやり場のない怒りが一気に沸騰し、そこに現れた当時のメガヒューマノイドセクションの主管を殴り、あごを思いっきり蹴飛ばしました。
あのときの騒動を考えれば、すみれ隊員を撃ち殺した寒川隊員を怒りの余り撃ち殺し、全てをあきらめ、そのまま自殺する可能性も十分あります。隊長はただ苦笑いするしかありませんでした。
隊長は話を変えます。
「もう1つ訊きたいことがあるんだ。お前んとこにも来たろ、面接官が?」
「はい」
「どう応えたんだ?」
「あは、私、隊長についていきますよ! 当然ですよ!」
隊長はまたもや苦笑い、
「あは、そっか」
実はこの日の前の晩、隊長以外の全テレストリアルガード作戦部門の隊員に面接がありました。
面接の目的ですが、今度新しくできる部門への移籍。作戦部門に残るのか? それとも新部門に移るか? 日向隊員の応えはNoでした。今の隊長の下に残ることにしたのです。
日向隊員だけではありません。倉見隊員も、寒川隊員にも、女神隊員も応えはNoでした。長期有給休暇中の橋本隊員のところにも連絡がありましたが、彼の応えもNoでした。
が・・・ 隊長はぽつり。
「実は・・・ 上溝は新しい組織に移る気らしい」
日向隊員はびっくり。
「ええ~っ!?・・・」
日向隊員は上溝隊員を思い出し、
「やっぱり私、あの人に嫌われてんのかなあ?・・・」
「まあ、あいつにはあいつの理由があるんだろ。オレはあいつの意志を尊重する気だ。
あいつ、異動日まで有給休暇を取ったよ。あいつと会うことはもうないだろうな」
先ほどまでにこやかだった日向隊員の顔は、無表情になってしまいました。
ここは街の中、デパートのテラス。ここに複数の丸いテーブルが置かれてます。テーブルにはいくつかの人影があります。
今ここにウェイターが現れました。ウェイターはトレーを持ってます。ウェイターはもっとも柵に近いテーブルに行き、
「お待たせしました!」
と言って、テーブルの上にパフェとコーヒーを置きました。パフェは巨大。シャインマスカットの粒がこぼれ落ちるくらい載ってます。
このテーブルに座ってた日向隊員はそのパフェを見て、えびす顔。
「あは、きたきた!」
日向隊員はさっそくシャインマスカットの粒をスプーンで掬い、それを口の中に運びました。途端に顔が大きく崩れました。
「あは~ 美味い!」
日向隊員と相対して座ってた隊長は、それを見て微笑みを浮かべました。
「ふっ」
そこにギターの音色が聴こえてきました。日向隊員と隊長はその音が聴こえてきた広場を見ました。
広場の中、1人の男性がギターをかき鳴らしてます。私服の寒川隊員です。日向隊員はそれを見て、
「ライヴ、始まりましたね」
隊長はぽつり。
「あ~あ、だれも見てねーなあ・・・」
日向隊員は寒川隊員の周りにぽつぽつと見えるオーディエンスを見て、
「え? いますよ、人が、かなり?・・・」
「ふ、以前ここでストリートライヴをやったときのオーディエンスは、こんなもんじゃなかったんだよ。とてつもない数だったんだ。今オレたちがいる場所も、人が溢れてたんだよ」
「ええ、そんなに?・・・ なんでこんなに人が減ってしまったんですか?」
「すみれだよ」
「え、すみれさん?」




