侵略者を討つな! 120
ユラン岡崎の話が続いてます。
「けど、オレたち小隊が乗ってきた降下強襲用宇宙船に戻ればなんとかなると思ってた。でも・・・」
ユラン岡崎の眼が大きな街道と大きな街道の交差点に着陸してる宇宙船を捉えました。が、その瞬間宇宙船は急浮上。そのまま猛スピードで上空に昇って行ってしまいました。唖然とするユラン岡崎。現在のユラン岡崎の声。
「降下強襲用宇宙船は物凄いスピードで逃げて行ってしまった。オレは茫然とするしかなかった。
あとで知ったんだが、その宇宙船は宇宙傭兵部隊ヴィーヴルが参戦したと聞いて、慌てて逃げて行ったようだ。オレは地球にたった1人で取り残されてしまった。
そのときだった・・・」
「お前、何やってる!?」
突然の声。はっとして振り返るユラン岡崎。そこには地球人の肉体労働者風の男性が立ってました。
現在。地面に這わされてるすみれ隊員を見るユラン岡崎。
「その人が君の父親だった」
3人に押さえつけられているすみれ隊員は、ただ悔しい眼でユラン岡崎を見上げてました。
ユラン岡崎の記憶の続き。
ユラン岡崎は小銃を失くしてます。拳銃もナイフも最初っから所持してません。戦う武器がないのです。おまけに相手は筋骨隆々。まともに殴り合ったら一方的にボコボコにされてしまいそう。
危険を感じたユラン岡崎は慌てて振り返り、逃げようとします。が、
「お、おい、ちょっと待てよ!」
すみれの父親の呼びかけに、ユラン岡崎はドキッとして立ち止まりました。
「お前、エイリアンだろ」
ユラン岡崎は反射的に応えました。
「ああ」
「あは、なんだ、日本語がわかるのか?
ラッキーだなあ、お前。オレは今日、実の娘と十数年ぶりに逢ったんだ。だからとてもいい気分なんだ。助けてやるよ」
ユラン岡崎はびっくり。
「え?」
すみれの父親は身近にあった地球人の死体から上着をとりました。
「ちょっと血がついてるが、使えるだろ」
すみれの父親はその上着をユラン岡崎につきつけました。
「これを着るんだ」
びっくりするユラン岡崎。
「ええ?」
「地球人に化けるんだよ」
ユラン岡崎はちょっと考え、了解しました。
「あ、ありがとう」
「礼を言うならオレの娘に言ってくれ。オレの娘はすみれて言うんだ。どうだ、可憐な名前だろ」
こんなところで娘自慢。けど、ユラン岡崎は唖然とする時間はありません。とりあえず応えました。
「ああ・・・」
すみれの父親は振り返り、
「じゃあな」
と言って、行ってしまいました。
現在のユラン岡崎。
「オレは渡された服を着て地球人に化け、その場をやり過ごした。オレはあの人にとんでもない借りを作っちまった。オレはそのまま地球人になり、この星に棲みつくことにした。
オレは真面目に働いた。一生懸命に働いた。オレはこの星の片隅になんとか生きている宇宙人だが、ユミル星人に占領されてる母星と比べたら天国だった。
けど、母星を忘れることはできなかった。母星に帰りたい。なんとしても帰りたい。日々そんな思いが募って行った・・・
そんなある日、今から半年前だったかな? 突然オレの眼の前に見知らぬ男が現れた。そいつはオレと同じリンドブルム星人だった。
そいつの話だと、別の惑星を侵略するために集められたリントブルム星人が反乱を起こし、丸ごと宇宙傭兵部隊ヴィーヴルに入隊したらしい」




