侵略者を討つな! 119
そうです。すみれ隊員の知ってるユラン岡崎は、頭とひげがボサボサ。今眼の前にいる短髪ひげ無しの顔とはかなり違う人相なのです。けど、声はすみれ隊員のよく知ってるユラン岡崎の声でした。愕然とするすみれ隊員。
「そ、そんな・・・」
女神隊員と寒川隊員はそのすみれ隊員の声を聞いて、彼女を拘束する力を緩めました。もう攻撃する意思がないと思ったようです。が、途端に、
「ぐぉーっ!」
すみれ隊員は咆哮をあげ、身体を持ちあげようとします。慌てる隊長。
「バカ! 力を緩めるな!」
「す、すみません!」
女神隊員と寒川隊員は慌ててまたすみれ隊員の身体を押さえつけました。
隊長は顔をあげ、ユラン岡崎を見ました。
「あんた、ほんとうに犯人なのか?」
「ああ・・・」
ユラン岡崎は静かに語り始めました。
ユラン岡崎の記憶の中、降下して行く小型宇宙船(降下強襲用宇宙船)。その船内。小さな丸い窓から下界を見下ろしてるユラン岡崎。下界は水素核融合弾のせいで色のない世界になってます。
ユラン岡崎は大型の小銃(光弾銃)を装備してます。彼の背後にも10人ほどの兵隊がいますが、彼らも小銃を装備してます。
現在のユラン岡崎の声。
「オレはあの日、降下強襲用宇宙船に乗ってこの地球に来た。降り立った場所は爆心地のすぐそば。目的は橋頭堡を築くため」
現在の隊長。
「橋頭堡? あとからやってくる本隊のためか?」
ユラン岡崎がうなづきました。
「ああ」
再びユラン岡崎の記憶の中。小型宇宙船は大きな街道と大きな街道の交差点に着陸。ユラン岡崎率いる小隊は小型宇宙船を降りると、さっそく様子を見に来た地球人のグループを見つけ、一斉射撃。全員射殺しました。
現在のユラン岡崎の声。
「地球に降り立ったオレたちは、船に近づいてきた地球人を皆殺しにした。
オレは死にたくなかった。死にもの狂いで銃を乱射した。オレは何人地球人を殺したのかわからなかったが、オレはその小隊の隊長を任せられていた。実質オレが全員射殺したようなものだ」
あたりを見回し、巡回するユラン岡崎と彼の部下の兵士たち。現在のユラン岡崎の声。
「水素核融合弾の業火のせいで、街は灰色になってた。恐ろしいほど静かだった。けど、彼らが待ち構えていた・・・」
突然の銃声。ユラン岡崎の隣りを歩いてた兵士数人がもんどりうって倒れます。それを見たユラン岡崎の顔から血の気が失せました。
「う・・・」
慌てて小銃(光弾銃)を構えるユラン岡崎。
「敵襲ーっ!」
ユラン岡崎と彼の部下の兵士たちは、小銃を乱射しながら下がっていきます。が、次々と銃弾が飛んできて、部下の兵士たちは次々と倒れていきます。あせるユラン岡崎。
「うう・・・」
と、ユラン岡崎は倒れていた兵士の身体につまずき、真後ろに大きく転倒。
「うわっ!・・・」
ユラン岡崎の小銃は彼の手から離れ、アスファルトを滑るように転がりました。
「くそーっ!」
ユラン岡崎は立ち上がり、
「撤収!」
と叫んで、真後ろに一目散に駆け出しました。現在のユラン岡崎の声。
「オレは一応歩兵としての訓練を受けていたが、実戦経験ゼロ。戦場じゃなんも役に立たなかった」
全速力で逃げるユラン岡崎。彼に続く兵士はいません。現在のユラン岡崎の声。
「みんなやられちまったのか? いつの間にかオレ1人になってた」




