異世界で気ままに余生を過ごす:ENDING『E』中編
厚くなったので分割!!
「天華様……行けますわよ!!通用しますわ!!」
今の一瞬の攻防に手応えを感じていたのはアークレイだけではない。
「油断は禁物!!気を引き締めて行きますわよ!!」
そう言いつつも天華の口元はニヤケている。
(……全く、やってくれる。)
レンは心の中で心底嬉しそうにそう呟く。たった1日だけでここまで追いついてきたその強敵を賛美するが如く、レンの鼓動が強く脈打つ。
「レン様!作戦は?!」
「付け焼き刃の戦略は焼け石に水。なら正面突破だ!!!」
「『ドラゴレイズ・城砦龍!!』」
レンが駆け出したと同時、その体に装甲が纒わりつき、鎧を形成する。その超質量を以て作戦ごと、連携ごと捻り潰そうと言うのだ。
「ウサ!!備えろ!!」
「白兵戦ですわね!承知しましたわ!!」
ただそれは、『騎馬戦』という競技において、機動力────特に小回りは失われるという前提だった。
「────Jump。」
「跳びますわ!!!」
天華とアークレイのコンビに、その弱点はない。
過酷なデッドリフトで超強化された足腰は、天華を背負っても尚、スポーツカー並の速度で迫るレンを跳躍で回避できる程だった。
(と、跳んだ……!?騎馬戦だぞ?!!なんて跳躍力────いや、そんなことよりも!!)
冷や汗が、レンの頬をつたる。
跳躍の勢いをそのまま、天華を軸にして手を繋いだ2人は縦に回転する。
「「『大車輪』!!!」」
「上から来るぞ!!」
アークレイがレン達に振り下ろされるその瞬間、バレーのレシーブの要領で、肩から飛び降りたウサを天へと打ち上げ、そのままレンは衝撃に備えて防御姿勢をとる。
しかし、
(なんだ……?この程度────)
肩透かし。衝撃は身構えていた程ではない。しかし、その一瞬の緩みが状況を変える。
「ゥおおぉぉぉォォォォッッッ!!!!」
ぐぐぐッとアークレイの全身が縮められる。着地した天華が、レンの方へアークレイの体を押し込んだのだ。
レンにはそれが全力で縮められた発条に見えた。
(……まさか!!)
「「シュゥゥゥゥッッッ────ト!!!!」」
まさにバネの様に、弾かれるようにレンの身体が吹き飛ばされる。
(作戦成功ですわ!!)
それらは全て天華のプランの内だった。
「ぐっ!?」
(ウサと引き剥がされた……!!ハナからこれが目的か!!)
意図しない分断を発生させ、敗北条件を達成させやすい騎手を二人で落とす。あわよくば、馬を転倒させて勝利を獲得したかったが、
「咄嗟に跳んで勢いを殺しましたか。」
レンは吹き飛ばされる最中、跳ぶことで『地面に倒れ込む』という敗北条件をケアしたのだ。
だが、そんなレンの吹き飛ばされる様子を観察している余裕など、天華にはなかった。
パキリ、上空で何かが割れる音が聞こえた。それは空、空気、空中────本来なら触れても捕えられないそれを────
(常識を……越えろッッ!!!)
常識ごと足蹴に踏み壊す。その異質な破砕音に天華は天を仰ぐ。
「上ですアークレイ様!!踏ん張りなさい!!」
攻撃を受けるその寸前、まるで脱出装置が作動する様にレンに投擲され、この期を待っていた────
そんなウサを視界に捉えるよりも早く、アークレイは防御姿勢をとっていた。そして、その背中合わせになるよう天華が支える。
(これを技にするなら────)
天華は叫ぶ。
「『ウォンジョ・ウサ流』!!!」
その名は奇しくも、天華と同じ系譜。
「……ッッ!!」
「『蹴天』ッッッ!!!!」
アークレイの両腕に、まるで流星のごとく全力の踏みつけが決まる。
現実を書き換えて加速したその蹴りはただの蹴りではなく、必殺に等しい。全身の骨や筋が軋み、今にも潰れてしまいそうになる。
「んぐっっっ!!!!!」
「踏ん張りなさいアークレイ様!!」
勿論、それは支えている天華にも苦痛として降り注ぐ。この状況を解決しようと思考を回す最中、
「これを使うのは久し振りだな。」
そんな最中、砂煙が一瞬で払われる。それが質量を持つ光によるものだと気付いた瞬間、天華は動き出していた。
「────『断壊昇光』!!!」
それは至高────否、至光の魔法剣。質量を付加された光は、その相反した性質を解決する為にその攻撃性を保ったままに無限に肥大化していく。それが、剣戟の勢いのままに飛来する。(これを食らうのはマズい!!)
そう考えるよりも先に身体は動いていた。
「『一騎当千』ッッ!!!」
6体の分身が『蹴天』を放っているウサごと、受け止めているアークレイごとその身体を押し倒し、寸前でレンの光刃を回避する。
勿論、そのままでは判定負けになってしまうが、それを3体の分身が受け止め、ウサとアークレイの負けを食い止める。
(なんとかなった……!!)
だが、しかし。
「残すなんて勿体ない……!!」
光は未だ消えず、今はウサの手の中にあった。
(光の魔法剣を素手で……!??!!)
第六筋による常識の破壊。それにより剣撃を掴んだのだ。ただ、そのダメージを無効化している訳では無い。ウサの右手の平は魔法剣のダメージを受け続け、滴る程の出血を負っていた。
「出されたモノは喰らうのがマナーでしてよ!!」
ウサは躊躇なくそれをアークレイと天華に振り下ろす。その容赦のなさは、天華とアークレイを強敵と認めているが故。
(マズい!今度こそ回避できな────)
ただ、想定外だったのは。
「舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッ!!!!!!」
その光刃を止める手段がたった一つ。今この瞬間に生まれた事だった。
いつも読んでくれてありがとうございます!!
後編は近日中にお披露目できれば!!




