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異宙の戦士  作者: たけすぃ


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19/25

3-5

PV1000超えたました。

書き出した時の一つの目標でした。

これもひとえに読んでくれる皆様のおかげです。

 その発砲音は規則正しく、そして確かな意思を感じさせる物だった。

 僕とビラルは小高い丘を偽脚と両足をフルに使い全速力で上っていく、ただし静かに。

 稜線に隠れるように身を伏せた時には、仲間の声が聞こえるようになっていた。

「回り込まれるな、AIは地中センサーげんに、背後の丘に回り込もうとする敵を見逃すな。博士は我々の中心から動かないようお願いします」

 僕とビラルはその冷静な声を聞きながら慎重に稜線から頭を出す。

 丘の反対側は丘と言うには少々傾斜がきつく、どちらかと言えば崖と言った方がしっくりくるような急な斜面となっていた。

 その赤茶けた表土の崖底では四人の多脚装甲歩兵と、一人の生身の人間がいた。

 多脚装甲歩兵は丘(というか崖)を背に扇状に展開し、前面から迫るワーカーを向かい撃っていた。

 その扇の真ん中に生身の男性が立っており、つまり彼らはその生身の男性を守ろうとしてこうなっているわけだ。

 男性を守る為に少ない人数で敵を向かいうつとしたらこうならざる得ない、というかこうもおあつらえ向きの地形があったものだと感心すらする。

 正面の隘路あいろで敵の正対数を減らし、背後を崖で守る事で辛うじてもっているが、それが逆に正面からワーカーを撃つ事に繋がっており形成は完全なじり貧だ。

 幸いワーカーは僕らと戦ったあの巨人のようなワーカーではなく、通常の(それでも二メートルを超えるが)サイズである為、掘削顎の強度はライフルの弾を完全に防ぐほどはなく四人の多脚装甲歩兵の作る弾幕で抑えていられる。

 だがそれも時間の問題だ。

「ビラル、AIのカウントで一斉に前の方から撃っていくぞ」

「了解」

 AIカウント開始。

 僕はそう念じるとライフルのセーフティーを解除する。

 ――3,2,1。

 僕とビラルは同時に稜線から体を出すと、無防備なワーカー達の背中に向けてライフルを撃ちまくる。

 初速が軽く音速を超える弾丸が暴雨のごとくワーカー達に降り注ぎ、腕を千切り胴体を千切り地面を黒く染め上げる。

 何体かのワーカーが僕達に向かって崖を登ってこようとするが、下にいる彼らはそれを許さなかった。

 無言の連携に感謝しながら僕達はひたすらに撃つ。

 AIの脅威判定順通りに撃ちまくるだけの、戦闘とも思えない時間が永遠のように感じられる。

 僕は死体すら残せなかった仲間の事を考えながら撃ちまくっていた。

 敵意性AIとの戦闘の後に死体が残らないのは、奴らが材料として持ち帰るからだ。自分達の仲間の物も僕ら人間の物も。

 僕は軍曹達がそうなっていない事を祈りながら撃っていた。

 まだほんの短い関係だったが、少なくとも彼らは僕を邪魔者扱いしなかったし荷物扱いもしなかった。

 たぶんそれは僕が彼らの立場だったら出来なかった事だ。半人前丸出しの新兵を押しつけられたと、盛大に愚痴るか本人にそう言っていただろう。

 だが彼らはそんな風には僕とビラルを扱わなかった。それは多分優しさとはまったく違うもっと厳しい物だ、公平な厳しい期待と静かな値踏み。価値を示す時までは待ってやると彼らは無言で示してくれていたのだ。

 僕はそれが堪らなく嬉しい。

 そんな彼らがあのヒトモドキ共の材料にされるなんて事はあってほしくなかった。

 僕がハイライトされた最後のワーカーに少々過剰気味に弾丸を撃ち込み終わると、ビラルが僕の肩を軽く叩いて崖下を指さす。

 見ると四人と一人(多脚装甲歩兵的な人数の数え方)がこちらを見ていた。

 僕は急に過剰に弾を消費した自分が恥ずかしくなり思わず赤面してしまうが、彼らがこちらを見ている理由を考えるとそうもしてられなかった。

 きっと訊きたい事が山ほどあるに違いない。

 こんな所に生身の人間がいるのは疑問だったが、彼らも今回の作戦に参加した二中隊の一員のだろう。

 だとしたら彼らも僕達と同じく仲間を探しているはずで、僕達は彼らに予定集合地点にはもう仲間がいない事を伝えなければならない。

 僕はビラルに合図して滑り落ちるようにして崖を下り降りた。

 あと正直に告白すればこれでやっとリーダー役からも解放されるのだと、僕は安堵もしていたのだ。


「援護感謝する二等兵」

 中尉の階級を付けた多脚装甲歩兵がそう言って僕達を迎えてくれた、声からして女性のようだ。

 残りの三人も片手を上げたり、ライフルを振るなりで感謝を示してくれる。

「いえ中尉、我々も部隊からはぐれてしまい――」

 むしろ合流できた事を嬉しく思います――とかなんとか僕は言いたかったのだと思う。

 だが次に僕の口から出てきた言葉は僕自身まったく予想していなかった物だった。

 自分の口から垂れるクソも満足にコントロール出来ないとは、僕は実に未熟な多脚装甲歩兵だ。

 だが言い訳をさせて貰えるのなら、例え二度目であったとしても驚いただろうという、そういう物を僕は見てしまったのだ。

「カラク先生!?」

 僕は視覚に映る中尉のタグを見て思わず叫んでいた。

 思わぬ所で思わぬ人に出会うと多脚装甲歩兵でも叫ぶ、覚えておいてくれ。

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