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ザラビエラ王国残存部隊 2

13話に一文追加しております。シャミア喋りの豹変振りがおかしかったので。


ちまちま時間を見つけて書いていましたが戦闘描写に納得がいかず何度も書き直しておりました。最初のほうと比べるとたぶんよくなっていると思う。

というか良くなっていてほしい。


ウダウダ言うのははこれくらいにして本編をどうぞ。








AM 10:53 モルティスから南南西へ2km





あの後、ジュードの「通信の魔法」によって問題の部隊と連絡をとった。すると偵察に出ている一部の兵が戻っていないとの報告がなされた。

これだけでは判断材料としては少なすぎるが、あの女の言うとおりなら時間がない。


『事は悪いほうに運ぶ』というのが私の考えだ。


少しでも不確定要素があるのならば出来うる限りの手を尽くして対策を立てる。もし、杞憂に過ぎなかったのなら笑い話となるだけだ。行動しないで悔やむよりもよっぽどいい。


あの女の言うとおりに準備のできていた輸送部隊や国民を手の空いている兵士に護衛させてメンラルフへと出発させた。あの女の言ったこと通りにするのは危険だが、私もそれが最善だと思ったので実行した。

現在、撤退とか町のこととかは残してきたジュードに任せ、4千の騎馬部隊とともに救出へと向かっていた。

急いだものの準備に手間取り時間がかかってしまった。

そのことに不安を覚えつつ、馬を走らせていく。


しばらくして北に向かって走っている集団が見えた。集団のほとんどの者が普通の服を着ており、鎧を着た者の姿も見受けられる。おそらく例の部隊と国民たちのようだ。だが、その後ろには鎧をつけた同盟軍が追いかけてきていて危険な状況だった。同盟軍は兵士も国民も見境なしに矢を放っている。幸いなことに騎馬部隊はいないようで、被害は少ないようだった。

しかし、鍛えられた兵士と普通の生活をしてきた国民とでは体力に差がありすぎる。このままではあの女の言っていた通りの状況に成りそうだった。

そんなことを黙ってみているわけにはいかないので、馬の速度を上げて部隊の先頭よりも前に出る。右手を伸ばして鞍に取り付けていた槍を手に取った。そして私は部下たちを振り返って士気を上げるために大きく息を吸う。



「全員、同盟軍を翻弄し時間を稼ぐ!わたしにつづけぇぇぇぇ!!」



馬の速度を上げながら、同盟軍の先頭へと向かう。



「おおおおぉぉぉぉぉ!!」



私の掛け声を聞いた部下たちが雄叫びをあげながら続いてくる。

同盟軍の兵士たちは目の前の集団しか眼に入っていなかったらしく、突撃した私たちの部隊を見て明らかに動揺した。

それもそうだろう。何せ敵の先頭は歩兵ばかりだったのだから。


通常の場合、騎馬の突撃に対しては槍兵で受け流すか勢いを殺すのが常識だ。だが、騎馬の突撃に対して歩兵は槍兵ほど役には立たない。数が少ないのならば歩兵でも対抗できるが、軍のように数が多く、密集隊形で突撃を受けた時には馬上の兵に槍で突き殺されるか、馬に蹴られて死ぬしかない。

彼らもそれが分かっているから動揺しているのだ。


ちなみに言うと、騎馬に対しては槍兵。槍兵に対しては弓兵。弓兵に対しては騎馬か歩兵。歩兵に対しては騎馬と、大まかな力関係が出来上がる。

その中でも魔術部隊は例外で、同じ魔術部隊以外に対して有効である。しかし、それは味方に守ってもらってという条件がつく。そのため、一旦、攻め込まれるとどんな兵種にも倒されることがある。

だが、魔術部隊は戦いの行方を左右することもあるので本陣近くに配置されることが多くそういった状況はあまり起こらない。


余計なことを考えていると目前に同盟軍が迫っていた。右手に持っていた槍を握りなおしてピッタリと馬の背に張り付き、正面にいた一人の兵士に狙いを定めて馬を走らせる。



ドスッ!



槍を持つ手に衝撃が走り敵の断末魔が辺り一面に響く。後ろから続いてきた部下たちも順調に敵をしとめているようだった。すぐさま敵の体から槍を抜き、次の敵へと狙いをつける。馬のスピードと突き出される力で突かれた敵はすぐに死んでいく。



ヒュン!!



一人、また一人と敵を突いていくと、右側から飛んできた矢が頭の近くを通り過ぎていった。続いて何本も矢が飛んでくるのを確認して、槍を横薙ぎに払い迎撃する。鋭い金属音が響いて矢が地に墜ちる。

矢の飛んできた方を確認すると第二射目を準備している弓兵と、その弓兵に指示を出している兵が目に入る。

指示をしていた兵士が右手を上げて勢いよく振り下ろした。その合図で15名ほどの弓兵から放たれた矢のうち、6本が真っ直ぐこちらへと飛んでくる。残りは私が先ほどまでいた位置へと向かっている。こちらを狙ってくることから私が指揮官だということに気づいたのだろう。

先ほどと同じように槍を振るって矢を迎撃した。ついでに周りにいた敵を横薙ぎに払って一掃する。

そのことに怯んだ敵兵の動きが鈍った隙をついて、私は槍を握りなおし、先ほど指示を出していた兵士に狙いをつける。



「くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!」



思いっきり力をこめて槍を投げる。するとやりは狙い通りにきれいな放射線を描いて飛んでいき敵兵士の胸へと吸い込まれていった。

指揮をしていたものが殺されて敵の弓兵たちに動揺が広がったようで、続けて飛んできた矢はあらぬ方向へ飛んでいく。



「突っ込めえええぇぇぇーーー!!」



その弓兵たちに我が軍の一部が突っ込んでいき、次々に討ち取っていく。敵の弓兵たちは何もすることができずに程なく全滅した。



「うわあああぁぁ!!」



その結果に満足していると近くにいた歩兵が切りかかってきた。槍を投げるときに馬を減速させたため狙われたのだろう。



「これしきのことでやられる私ではないぞ!!」



槍は投げてしまったため腰に下げていた剣を抜いて、敵兵士の大上段からの攻撃を防ぐ。敵が怯んで力が弱くなった瞬間に最大の力で押し返し、相手の剣を弾いた。武器を失った敵は恐怖を目に浮かべていたが私は迷わず剣を振りかぶった。


――戦場で指揮官が敵に同情するわけにはいかないのよ。


相手を気の毒に思いながらも振りかざした剣を相手の首に叩き込んだ。



ズシャァッ。



肉を切り裂く音が聞こえ、敵の首が宙を舞う。

それを見た別の兵士が突っ込んできたが焦ることなく冷静に対処する。敵の攻撃を防ぎ、すぐさま首に剣を突き刺す。

今度は肉を貫く感触が腕に伝わる。

その状態でいるとやられてしまうので敵の首から剣を抜きとる。案の定、周りにいた別の歩兵が3人同時に襲い掛かってくる。

一番近かった兵士の剣を防いで押し返す。その勢いを利用して、次に襲い掛かってきた兵士を切り裂く。



「ちくしょおおおぉぉーー!!よくも仲間を――」



体勢を立て直した最初の兵士が激昂して私の顔に向かって剣を突き出してくる。

激昂している分、先ほどよりも速かったが動きが単調すぎて簡単に避けられた。そして相手の突っ込んでくる位置を予測して剣の切っ先をその位置に置いておく。すると予想通り剣が相手の体へと突き刺さっていった。

しかし勢いが強すぎたのか、なかなか剣が抜けなかった。その時、残っていたもう一人が左側から剣を振りかざして走ってきた。しかもその兵士は私の状況を理解しているようで目には勝利の炎が宿っていた。

もう剣は間に合わないと一旦あきらめて左手で腰に下げてあったナイフを手に取る。



「これで――」



「終わりだ!!」



――勝利を確信しても油断してはいけないわ。


事切れていたのは敵だった。

勝利を確信して向かってきた敵は剣を大上段に振りかぶってきたが、私がナイフを握っていることに気づかなかった。気づいたときにはもう遅く、私の投げたナイフが首に深々と刺さり絶命した。



「シャミア将軍!一人で突出されては困ります」



副将と他数名が追いついてきた。少し遅れて後方から追いかけていた部隊が合流し周りの敵を一掃していく。



「悪かったな。だが、指揮官が先頭を駆けねば士気が上がらんだろう」



それを聞いた副将はどこか達観したような眼をして私を見た。おそらく私はこういうやつだと考えているのだろう。

咎めてもいいがここは戦場。無駄にする時間などない。



「全軍に知らせ!敵をつき向けた後はすぐさま反転し再度突入せよ」



「「「了解!」」」



副将や近くにいた兵が声を上げる。と、同時に今の言葉を聞いた伝令たちが少し離れた位置にいる部隊に向かっていく。

私はそれを見ながらまだ剣に突き刺さったままだった敵兵の死体を蹴り飛ばす。その反動で剣が抜けたため、士気向上もかねて天に向かって剣を掲げる。



「全軍思う存分喰らいつくせ!」










戦闘描写に何とか満足してこれから作業が進む・・・・・・と考えていましたが、そろそろ1年最後のテスト週間に入ってしまいます。今回くらいはマジで取り組もうと思うのでしばらく更新はしないと思います。

もしかしたら誘惑に負けて書いてしまうかもしれませんけどね。

それがなければ2月下旬まではちょっと更新ストップします。

まあ、不定期だからこんな報告必要ないかもしれないけど一応ね。


真剣に今回とりに行かないとマズイ。せめて半分よりも上に行かねば。

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