メンラルフへと
!注意!
11話の
「俺たちのいる現在位置を教えてくれないか?」
というセリフを
「同盟軍が最初に攻撃を仕掛けるところはどこなんだ?」
に変更します。
前のセリフじゃどんなに考えたとしても矛盾しすぎて続きが思い浮かばなかった……orz
「同盟軍が最初に攻撃を仕掛けるところはどこなんだ?」
これから行動していく上で同盟軍の妨害という大まかな方針は決まった。だが、同盟軍がどこを目指すかによってこちらの立てる予測にも影響が出る。
ノエルに意見を求めた結果、おそらく同盟軍はサラビエラ王国から程近いメンラルフ王国へと向かうだろうといわれた。
俺はこちらの世界の地理には詳しくないので、軍事的側面からの判断もできない。ノエルはそこのところは疎いようで距離的に近いという理由だけで判断したらしい。
もしも外れてしまった場合、妨害が遅れていらぬ犠牲が出てしまう。
「ああ、次はね~近くのメンラルフ王国に行くみたいだよ。決定理由が近いから、だってさ~。数が多いから自信過剰のようだね~」
ノエルの予測どおりだったらしい。しかもザックの話から推測するに同盟軍はサラビエラ王国を倒して調子に乗っているようだ。
「メンラルフっていう国は強いのか?」
画面から目を離し、隣にいるノエルに聞いてみる。
「メンラルフ王国には歴代最強といわれているレイフェ将軍がいらっしゃいますし、おそらく近隣諸国の中では1,2を争うほど強いと思います」
「確かに初期のころではかなり善戦した国だったはずだよ~。結局負けちゃったけどね。最初の防衛線のクライル砦を落とされた後は数のゴリ押しで防衛もままならず全滅。そこから同盟軍の魔人排斥が活発になったね」
ノエルの後に続いてザックも答えた。
整理するとメンラルフという国は砦さえ抜かれなければ何とかなるようだ。
ならばその戦いを支援するのが一番だろう。
「ということはメンラルフに加わるのかな~?」
先ほどの紙を折り、鳥のようなものを作って弄びながらザックが聞いてくる。
「いや、加わるかどうかは後で決める。……とりあえずは支援だけだな」
確かにメンラルフ王国に加わるのが一番なのだろうが、信用に値するかどうかが判らない。
ノエルの意見を聞いてもいいが、姫として得た情報ではメンラルフという国の一面しか見ることができない。
加わった後で裏切られでもしたらたまらない。
「そうですね。拠点を持ってしまうと各地での妨害ができないですからね」
ノエルが感心したように口を挟むが、そんなことには考えが及んでいなかったのでなんとなく申し訳ない気持ちになる。
が、その事実を言う必要もないので黙っておく。
「そういうことだから、また頼む」
「えっ、ちょっ。待っ……」
パタン。
まだザックが何か言っていたが、PCを閉じる。
ノエルは目を丸くしていたが気にせずに湖の浅瀬で遊んでいたシャルを呼んで移動の準備をする。
少ししてノエルも加わり、程なくゴミは燃やし荷物をヘリに積み終わった。
ちなみにゴミはシャルが「火焔の魔法」で燃やした。
初めて魔法を見たが、いきなり2mの火柱が上がったときにはびっくりして腰に装備していたデザートイーグルを抜いてしまった。
2mの火柱だったが、まったく本気ではなかったらしい。
本気を出したときにはどうなるのか気にはなったが危険すぎて駄目らしい。
残念だがいつか機会はあるだろう。
ノエルもシャルもヘリに乗り込んだのを確認し、エンジンを始動させる。昨日に400km飛んだので、次に着陸したときには燃料補給をしなければいけないな、と思いながら機体を離陸させる。
離陸の衝撃でまた二人が驚いていた以外に特に出来事もなく、西北西にあるというメンラルフ王国へと機首を向けて移動を開始した。
AM 9:50 魔王の城から北東へ30km
勇者SIDE
今、魔物を見たという兵士の情報を元にこの国の北東に広がるフレール大森林へと向かっていた。
深夜にあった将軍たちとの会議の結果、俺が考えていた案はすんなりと通った。一個大隊を魔王の娘たちの捜索にあて、約9万の兵のうち2万を魔物の探索へ。さらに2万をサラビエラ軍の残存兵力にあてることになった。
同盟軍は当初11万の兵士がいたのだが攻城戦のときに2万の兵士を失った。国境に入るときの戦いよりも被害が少ないように感じるがあの時は死傷者数であり今回は戦死者のみの数字だ。
あのときよりは多いが、攻城戦としては少なすぎる数字だ。
理由はサラビエラ軍が受け流すことを第一に行動していたかららしい。なので、相手の被害も比較的少なく魔王を倒した後の混乱で薄くなった包囲網を的確に攻撃して、1万から2万のサラビエラ軍が撤退したらしい。
ちなみに残りは休息や補給、怪我で動けないそうだ。
俺の傷は優先的に「治癒の魔法」を何回もかけて治して貰った。
長く行軍してきたが、ようやく目の前に森が見えてきた。実際は広すぎるので予想よりも遠いらしいがみえてないよりは見えているほうがうれしい。
だが、しばらくして馬たちがおびえだした。耳をせわしなく動かしていろいろな方向を向いている。各部隊にミランが警戒するように呼びかけたとき、それは聞こえてきた。
勇者になる前の高校2年だったとき、聞くこと自体あまりなかったがはっきりと覚えている特徴的な音。
バラバラバラバラバラ……。
東から黒いものが飛んでくるのが視界に入りだんだん大きくなっていく。はっきり見える位置ではなかったが、俺にははっきりと分かった。
あれはヘリコプターだ。
「全部隊に通達!あの魔物を追撃します。魔術師部隊には詠唱準備をさせてください」
ミランが気を利かせて各部隊へと指示を出してくれた。
2万のうち騎馬に乗っている7千がほぼいっせいにヘリコプターの進路方向へと駆け出し、魔術師を集めた魔術部隊では魔方陣が形成され詠唱の低い声が響いている。
だがヘリコプターはいきなり高度を下げて森の中へと消えていった。
同時刻 森の上空
ユートSIDE
しばらくヘリを飛ばしていると南の方向に黒い集団が見えてきた。おそらく昨日の時点で目撃されていたのだろう。どうやら追ってきた敵部隊のようだ。
確かなことはいえないが1万は超えているように見える。
向こうもこちらに気づいたらしく、一部の兵士たちが本隊を離れこちらの進路方向へと向かっている。
交戦してもいいが、今ここで数を減らしても同盟軍にとっては蚊に刺された程度でしかないだろう。
わざわざこちらの戦闘能力を見せる必要性もない。
ノエルたちも寝ているし、無視してもいいだろう。
ちょうど木々の間にヘリが飛べるくらいの道らしきものを見つけたことだし、そこを飛んで逃げるとしよう。
操縦桿を少し前に倒し、高度を下げる。
少し幅が狭かったらしく木の枝がローターと接触して撥ね飛んでいくが、少しすると道幅が広くなりそれもなくなった。
「今の音って……どうしたの?」
シャルが今ので起きたのか、眠そうな声で聞いてくる。
「いや、別になんでもないよ。うるさくしてゴメンな」
チラッと肩越しにシャルを見るが、もうすでに眠っていた。
そんなにヘリのイスは気持ちいいのだろうか?
また眠ってしまったシャルとさっきの音でも起きなかったノエルの寝顔を見てふとそう思った。
「こっちまで眠くなってきそうだ。……ふぁ~」
欠伸をしながらも方位を確認して西北西へと進路をとった。
PM 5:40 魔王の城から北東へ3km
勇者SIDE
結局ヘリコプターを見失った後は発見することができず、野営地へと戻ることになった。
いったいどうしてヘリコプターがこの世界にあるのかは気になったが、知るすべもないので推測するしかなかった。
俺と同じように召喚されたのだろうか。
しかし、召喚魔法はノイリアスでごく最近に作り出されたもので、ほかの国には伝わっていない。
まして、味方でない魔国たちに伝わるはずがない。
ならなぜこの世界にいるのだろう。
それよりなぜあのヘリコプターは城の近くを飛んでいたのだろうか。
あのヘリコプターに乗っている人は何者なのだろうか。
いろんな疑問が浮かんでは消えていき、気づいたときには野営地に着いていた。
あのヘリコプターは敵なのだろうか。
しばらく更新ストップしてすいません。
言い訳は活動報告にでも書いておきます。
今回質が落ちてるような気がします。
一番思ったことが、ノエルたちが寝すぎてる。
でもこうしないとうだうだと長引いてしまうし話がまったく進まない。
作者的には戦闘描写が書きたくて仕方がないんでちょっと展開が速くなるかも。
シリーズでまとめてるもうひとつのほうがまったく変わってないので、あっちもどうにかしないと。
何かが原因で一日が27時間くらいに増えればいいのにと思うこの頃。