プロローグ 0:カビの生えた楽器
バイオリンを始めたのは八歳くらいの頃だった。当時の僕にとって、音楽は想像していたものとは少し違っていた。楽器に触れる前に、まずは理論があった。「ボナ:リズムと読譜のメゾット」という、リズムと音符だけに焦点を当てた練習帳だ。すぐにバイオリンを手に取れると思っていた僕にとって、それは大きな期待外れだった。熱心に取り組まなかったせいで、他の生徒が一ヶ月で終わらせるボナに、僕は二年も足止めを食らった。
ようやく試験に合格し、本格的にバイオリンを学び始めた頃には、かつてのやる気はすっかり失い、無気力に飲み込まれていた。ソルフェージュの教本を学び、賛美歌集も始めたが、情熱の火は消えかけていた。僕は両親に「もうやりたくない」と告げ、それで終わりにした。
それから数年が経ち、十五歳になった頃、再び弾きたいという思いが芽生えた。しかし、手元にはもう楽器がなかった。バイオリンの行方を尋ねると、両親はカビが生えてしまったと言った。僕がクローゼットの上に放置して忘れ去っていたせいで、手入れを怠った楽器はダメになってしまったのだ。
成人してからは働き始め、自分でお金を稼ぐようになった。何度かバイオリンを買おうと考えたこともあったが、あの無気力さがいつも戻ってきた。ただ、それは以前とは違う無気力だった。仕事が忙しく、休みは日曜日だけ、時には日曜日も残業で、月に二日しか休みがないこともあった。職場が遠いせいで一日のうち十二時間は家を空け、疲れ果てて生きていた。わずかな自由時間は、眠るか他のことに費やすのを好んだ。疲労が欲望に勝っていたのだ。
そして今、二十四歳になった僕は、昼食を食べながら母の髪に目をやった。以前よりも白髪が増えている。その時の流れの跡に、僕は愕然とした。人生はあまりに早く過ぎ去ってしまうのだと気づいた。もう一度学び直したい、自分のバイオリンを買って独学で始めたい、ただ自分のためだけに。そんな思いが再び脈打ち始めた。動画を検索し、弦の音色を聴き、僕は思った。「これについての物語を書いてみたらどうだろうか?」
しかし、これは僕の物語ではない。僕とは対照的に、人生のすべてを「最高」であることに捧げた男の物語だ。才能と努力を兼ね備えながらも、借金と鬱、そして唯一の心の支えを失ったことに窒息し、忘れ去られたまま死んでいった男の物語。
彼は成功も、名声も、大金も望んでいない。彼はただ、僕がカビさせてしまったものを求めている。彼はただ、奏でる権利を欲しているのだ。
これは、音のない世界に生まれ変わり、音楽が存在しないのなら自らの魂の底からそれを探し求めようと決意した者の、再生の旅路である。




