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フラグは残らず回収する主義

【前回のあらすじ】

 我が家に新しい家族が増えました。

 私とシドさんの赤ちゃんです♩

 …だったら良かったんですけどねー。超奥手な旦那様がお相手じゃ、いつになることやら…。


 コホンッ。話を戻すと、それはラリスくんのクラスメイトの大伴御幸おおともみゆきさん…愛称ミユちゃんです♩

 ラリスくんにあの血染めのラブレターを何通も送り付けてたストーカー…あーいえ、忍耐強いお隣の席の子でした。

 とっても小柄で、タレ耳みたいなツインテールがトレードマークのカワイイ彼女を一目で気に入ってしまった私は、さっそく彼女をお持ち帰り…いえ、我が家へ御招待♩

 そして一緒にお風呂に入ったときに、思わぬ事実が発覚!

 彼女のツインテールは、紛れもなく本物のタレ耳…リアルケモ耳少女だったのですっ☆


 そう、彼女もまた私達と同じ宇宙人…。かつて滅亡した母星から逃れ、たどり着いた地球で独自の進化を遂げた『ケンネル人』でした。

 なし崩し的にミユちゃんはラリスくんと同じお部屋にお泊まりして、まあ彼なら大した事態にはならないでしょう…とタカを括っていたら…

 コイツら、たった一晩で色々やらかしてくれやがりましたよ!

 私たち夫婦ですら、まだそこまで進んでないというのに…くぱぁとか…くぱぁとかっ!


 そんな案外抜け目のないミユちゃんを地下室に閉じ込めて懲らしめたりしている内に、さらなる思わぬ事態が…。

 先日の巨大マンタ出現かーらーのぉ一連の騒動が世界中に知れ渡ってしまった日本政府は、ついに異星人の存在と、彼らが既に地球に来ていることを認めてしまったのでした。

 衝撃的なそのニュースは瞬く間に世界各国に拡散して…。

 私達、これからどうなっちゃうんでしょうか?





《徹底討論・宇宙人出現で私達の今後は!?》


 お夕飯の時間になっても、あの衝撃的なニュース以来テレビから目を離せなくなった私達は…お行儀悪いけどリビングでお食事しながら、なおもテレビ画面に釘付けになってました。

 あれから事態は沈静化するどころかますます加熱して、国によっては早くも暴動や抗議デモに発展しているところも…。

 日本はまだそこまでの騒動には至ってませんけど…こういうのって国民性が如実に顕れますよね。

 現在でこそ友好的な宇宙人が出てくる映画や漫画が増えましたけど、大昔のロボットアニメなんて敵は異星からのインベーダー一辺倒でしたし。

 サブカル文化が未成熟な地域ほど『宇宙人イコール悪』ってイメージがすっかり定着しちゃってるんですよね。


《さて、お茶の間の皆さん。驚愕の情勢下で、私達はこれからどうやって暮らしていけば良いのでしょうか?

 スタジオにお集まりいただいたコメンテーターの皆様とご一緒に、その糸口を探っていければと…》


 司会者のナレーションに合わせて、情報番組でよくお見かけする人気パネラーや有名政治家、評論家たちがズラリと居並んだスタジオの光景が映し出されます。


《いやどうやっても何も、エイリアン側からはまだ何の発表も無いわけでしょう? それで何をどうしろとおっしゃられましてもねぇ…》


 真っ先に口火を切ったのは、常に辛口なコメントで人気を博す?情報ワイドの常連さん。

 発言内容がいつも尖り過ぎてる上に御意見も偏り過ぎなので、私個人はあまり好きではありませんが…。

 今回も初っ端から自己主張の塊で、討論に参加する気など元から毛頭なさげな感じです。

 ホンット、誰ですかコイツ呼んだのは?


《おっと先生、今のはイケマセンなぁ。

 『エイリアン』というのは本来差別的な意味合いの言葉であって、既に地球上で暮らしていらっしゃるそうした方々に失礼な…》


 さっそく反論するのは、良識的な意見ながらも誰彼構わず否定しがちで煙たがられる、どこの会社やクラスにも一人はいるような優等生タイプの政治家さん。

 いますよね〜常に他人の揚げ足を取ることを生き甲斐にしてらっしゃる人って。

 これまた、ご自分はそれで討論できてる気になっているという、前者とは別ベクトルの困ったちゃんです。


《ハンッ、似たようなモンですよ。侵略などの不純な目的もなしにわざわざ地球までやって来るエイリアンなんて、いるわけがないでしょう?》

《いや、だからね。何かしらの悪事を考えているなら、彼らもとっくに行動に移しているはずでしょ?

 宇宙からはるばる此処まで来られるくらいなら、きっと地球文明を遥かに上回る優れた科学技術の持ち主なわけですし…》

《先日の巨大マンタがですかぁ? あんなろくに手足も生えていないバケモノ、怪獣以外のナニモノでもないでしょう!?》

《む、むぅ…っ》


 脚なんて飾りですよ偉い人には以下略。

 口さえ開けば問題発言…本当、社会への配慮がカケラもない腐れ老害おやぢですね…。


《だいたいアンタは、いつも通り一遍な事しかおっしゃらないから、話してても退屈で仕方ありませんよ。それでよく政治家なんて務まりますな?

 これならネットの掲示板でも相手にしてたほうがマシですよ。ヘッ!》

《何ですとぉ!? 私が退屈ってアータ、掲示板ってそんなアータ失礼でしょうがアータ訂正してくださいアータ!》

《アータアータとオウムみたいに囀りおって。

 その語彙力の無さ…実はアナタもエイリアンなんじゃないですか? ワハハッ!》

《黙れっ! 貴様こそエイリアンに脳みそいじくられてんだろが、この不良国民ハゲッ!》

《ムッキャアーッ!? ハゲはお互い様だろがこのハゲちらかし火星人めッ!!》


 ガシャーン! ドンガラガッシャーンッ!

 討論会のはずが一気に闘技場と化した席上を椅子やらマイクやらが飛び交い、もはや話し合いどころの騒ぎではありません。

 騒動はすぐさま他の出演者にも伝染し、スタジオのあちこちで取っ組み合いのリアルファイトが勃発しています。


《み、皆さん静粛に! まずは落ち着いてガコンッ!!》


 両者を必死になだめようとした司会者のドタマに飛んできたモノがブチ当たり、マイクが痛々しいノイズを拾います。


《…っっっ痛ってぇだろがこんボケナスハゲがぁ〜〜〜〜っっ!?》


 遂にはブチ切れた司会者までもがハゲネズミどもに飛び蹴りを喰らわせたところで唐突に映像が途切れ、


《只今、お見苦しい点がございましたことを切にお詫び致します。》


 というお決まりのお詫びスーパーとともに、何処ぞの島々を豪華客船が巡る、いかにも何処ぞの旅行会社が提供したらしいお決まりの環境映像に切り替わってしまいました。


「…ナイスボート。」


 シドさんがこれまたお決まりのコメントを呟いて、テレビ前の私達は苦笑するしかありません。


「いざという時って本当、人間性が如実に表れますよね〜」


 さすがにこれほどではないものの、コロナの時にも同様な、出演者同士の見るに耐えないギスギスぶりが度々お茶の間に流れてましたっけ…という私のぼやきに、


「まぁ…アレだな。ろくな会話能力もない連中に討論させたのが一番の敗因だよな」


 ラリスくんが実に的確な回答を寄せたのが意外すぎて驚きましたが…

 そういえば彼って『保護管理官ガーディアン』として働くときには交渉役を担ってるんでしたっけ。


「毛髪の本数低下に合わせて知能指数も間引きされてんじゃねーのかアイツら?」


 …やっぱりこの子も討論には不向きな気がギュンギュンしてきました。

 確かに、トウモロコシのお髭の一本一本は、中の実の一粒一粒に直結してますけど…人間にもそれが適用されるかは定かではありません。


「…いつまでもナイスボートばっかり見せられてるのも飽きちゃいますよね〜?」


 延々と環境映像が流れ続けるテレビ画面に痺れを切らしたミユちゃんが、リモコンを拾ってチャンネルを切り替えます。

 今日び、特に御年配の方々には大人気だという優雅な船旅も、彼女くらいの年頃には退屈すぎるようです。

 かくいう私も、いかに広々してるとはいえ、あんなすぐに飽きそうな船内で十日間以上も過ごすだなんて拷問にも等しい愚行だと思いますけど。

 ちなみに、映像の合間合間に時折、某有名毛生え薬のCMが挿入されていたのは、局側の粋な計らいでしょうか?


《突撃! 隣の宇宙人!!》


 う〜わっ、これまた輪をかけて意味不明な番組がおっ始まりましたよ?

 内容的には、リポーターがマイク片手に街へと繰り出し、行き交う人々に手当たり次第に、


《スミマセン、アナタは宇宙人ですか!?》

《えっ? いえ違います違いますっ!!》


 などという不毛なやり取りを繰り広げるとゆー…いったい何がしたいのか、企画意図が皆目不明な内容です。

 これじゃあ仮にホンモノだったところで「ハイそーです」などと答えようがありませんし、相手を怒らせてエライコッチャになったらどーするつもりなんでしょうか?


「未知への恐怖と、相反する好奇心…。

 今の地球人はそれに振り回されて混乱してるだけだね」


 シドさんが学者らしくまとめます。

 かつてコロナが流行り出した頃もそうでした。

 未知の事象に遭遇した場合、ある者はまずは相手の出方を見極めようと身構え、またある者はとにかくそこから逃れようと闇雲に騒ぎ立てる…。

 マスクや消毒液は瞬く間に品薄となり、将来的な供給不足が予想される食料品や消耗品を買い漁ろうと、商店前には長蛇の列。

 そこへ一部の者が「蜜です!蜜です!」と執拗に騒ぎ立てて、ますます増大するカオスっぷり…。

 いずれにせよ、誰も彼もが無関心なままではいられず、いまだ相手の正体も不確かなうちから独自の防御策に走った結果…雑多な虚偽情報に振り回された世の中は、ますます混乱する一方なのです。


「…あたし達…これからどーなっちゃうのかな?」


 テーブルに頬杖をついたミユちゃんが、不安げに呟きます。

 そう…不安なのは地球人だけではなく、私達宇宙人も同じなのです。

 だからって、ここでいくら考えたところで、どうしようもありませんけど…。


 かくいう私は『ルナリアン』ではあるものの、太古にそれを模して生み出された地球人とまったく変わりません。

 シドさんやラリスくんも、自ら擬態を解かない限りはそこいらの人間と大差ないし、バレる危険性は少ないでしょう。

 けれども、『地球型ケンネル人』のミユちゃんは…擬態もできず、タレ耳もモロに晒したまんま。

 よもや彼女が宇宙人だなんて思う人が今まではいなかったというだけで…運が良いだけで今まで普通に過ごしてきたのです。

 でも…誰もが隣人に疑惑の目を向けるようになってしまった今日、この瞬間からは…

 彼女は…そして私達は、これからどうやって暮らしていけばいいのでしょうか?


「…あっ、パパとママは…?」


 ふと気づいたミユちゃんに、私達もハッとさせられました。

 昨夜スマホのビデオ通話越しにお会いした彼らは、彼女と同じくケンネル人でした。

 特徴的なタレ耳は帽子でカバーしていたものの、今となっては充分とはいえない身バレ対策で…。


「それならさっき、彼らにも一応声掛けはしておいたよ。何かあったら、遠慮なく我が家へどうぞってね」


 さすがな手際の良さのシドさんに、私はキュンッと惚れ直し、ミユちゃん達はホッと胸を撫で下ろします。

 良かった、これで一安心…


「…いたぞっ、宇宙人だッ!!」


 突然、窓の外で響き渡った大声に、再びギクリとさせられた私達。まさか、もうバレて…? …けれどもその声は、家の中の私達へ向けてではなく、外にいる"何か"に向かって浴びせかけられているようで…もう、嫌な予感しかしません。

 恐る恐るリビングのカーテン越しに、外の様子を窺えば…


「コソコソ逃げ回りやがってコイツらっ!」

「答えろっ、地球へ何しに来やがった!?」

「フンッ、どーせ侵略に決まってんでしょ!」

「ンな貧相なナリの分際で、フザケやがって!」

「ギャハハッ、変な耳ぃ〜!」


 近隣の人々が、通りにいる何者かを取り囲んで、罵詈雑言の限りを尽くしています。なかには石を投げつけてる子供の姿も…。

 その何者かとは…うちのミユちゃん並みに小柄で、ミユちゃんみたいなタレ耳が生えてて、それを今さら帽子で必死に覆い隠そうとしてる、夫婦と思しき中年夫婦で……って!?


「パパッ!? ママッ!!」


 その光景を目撃してしまったミユちゃんが、半狂乱で泣き叫びます。

 …恐れていた事態が、現実になってしまいました…!





「ちょっと…何やってるんですかっ、人ん家の前で!?」

「パパッママッ…みんなやめてぇ〜っ!!」


 たまらず玄関から飛び出した私の横を、ものすごい勢いで飛び出していったミユちゃんが、御両親を庇おうとします…が、


「をっ、また一匹増えたぞ!?」

「へぇ〜…侵略者の分際で、けっこーカワイくない?」

「よしっ、とっ捕まえて見せ物にしようぜっ!」


 カワイイ闖入者の登場で、とっくに理性や倫理観のたがが外れた群衆は、ますます危険なほうへと大盛り上がり。


「やーいやーい、これでもくらえーっ!」


 大人達が誰も止めないのをいいことに、子供達の投石もますますエスカレートして…。

 野良犬をいぢめただけでも社会問題化するこのご時世に、いったい何をやらせてるんでしょうか!?

 ちょっとタレ耳が生えてるだけで、あとは普通の地球人と変わらないばかりか、こんなにカワイイ子をとっ捕まえて見せ物ですと!?

 コロナのときでも過剰に騒ぎ立てる連中は少なくなかったとはいえ、もう少し理性的だったかと…。


「うわあぁあんっ!?」


 怯えて御両親と一緒に路上にうずくまるミユちゃんを、私はなんとか助けようと…


「…ここは僕に任せて。」


 その私を制止して、代わりに出て行ったのは、ここぞとばかりに頼りになる旦那様♩


「僕の大切なお客様に、何か御用ですか?」


 群衆にツカツカ歩み寄ったシドさんは、自らミユちゃん達の盾となり、毅然とした態度で話しかけます。


「シディウス教授…。お客様って、コイツらは宇宙人ですよ!?」

「知り合いだったんですか!? なんでこんな奴らと!?」


 ここへ越してきてから、半年そこそこで早くもご近所の顔役となった彼に、群衆はたじろぎつつも果敢に詰め寄りますが…


「確かに彼らは元々、宇宙から来ました…もう、何千年も前にね。」

『んなっ…!?』

「それからあなた方にすっかり溶け込んで、地球人となんら変わらない生活をここで送ってきたんです。

 私はいまだ外国籍ですが、それよりもずっとあなた方に馴染んでいる彼らが…今さら侵略なんて考えるとお思いですか?」

「う…い、いや、しかし…っ」


 ここいらの地域一帯で一番の知識人であるシドさんの説得に、群衆は一様に押し黙りつつ、それでもなお納得いかないご様子。

 ついさっき知ったばかりの事実が衝撃的すぎて、すぐには呑み込めない気持ちは解らなくもありませんが…。


「とにかく、この場は私の顔に免じて、お引き取りを。

 さもないと…『彼』が黙っちゃいませんよ?」


 シドさんの視線に促され、群衆が見上げた先には…


『ッ!?』


 いつの間にそこにいたのか…巨大化したラリスくんが腕組みをして、仁王立ちで跨いだ彼らを見下ろしていました。

 街明かりに照らされて、闇夜にボウッと浮かび上がるその姿には、彼の正体を知っている私ですら恐怖を覚えるほどの威圧感…。

 あまりにも巨大すぎる上に、いつになく黙りこくっていたため、かえって誰も気づかなかったようです。

 でも、私には解りました。あーこれは…だいぶんトサカに来てますね。


「ヒィッ!?」

「あ、あの巨人だ…!」

「どうしてこんな所に…!?」

『う…うわぁーーーーっっ!!』


 前日から話題になっていた謎の巨人の突然の出現に、血相変えた群衆は一目散に逃げ出しました。

 ホッ。今日のところはなんとかなったみたいですけど…


「うっううっ…パパ、ママ…」

「ごめんよ御幸、私達のせいで…」


 抱き合って涙に暮れるミユちゃん達の姿に、心が痛みます。私達のせいも何も…彼らは、何もしていないのに…。


「…なんとかできないでしょうか?」

「うん…まだ、何とも言えないな…」


 どの国のどんなに偉い人も強い武器も、大衆が団結した『革命』という名の暴力の前にはてんで無力だということは、歴史が証明しています。

 今回の件は、下手をすれば世界レベルの大暴動にも発展しかねない事態…。

 私達は…これから、どうしたら…?





「本当に…ご迷惑をお掛けして…」


 涙を滲ませて恐縮するミユちゃんのパパさん達に、私達はかける言葉もありません。


「あの会見から…何もかも、変わってしまって…」


 ママさんが言うには、直後にご近所の人達がご自宅に無遠慮になだれ込んできて、「お前たちもそうなんだろう!?」と問い詰められたのだとか。

 それまでは単に個性的な髪型として見過ごされていたタレ耳が、途端に好奇の視線に晒されて…。

 コロナ騒動が加熱するにつれて、それまで気にも留められていなかったマスク未着用な人や、不用心に街を出歩く人々、夜間営業を続ける店舗に非難が集中した、あの頃を彷彿とさせます。

 そのまま取るものも取りあえず自宅を追われた彼らは、電車に飛び乗り、いつ周囲にバレるかと冷や冷やしながら我が家の最寄駅へと降り立ち…

 そこでつい気が緩んでしまったのか、帰宅を急ぐ人々にぶつかって帽子が脱げてしまった結果…。


「…このままじゃ…もぉ学校、行けないよぉ…っ」


 嘆き悲しむミユちゃんの悲痛な呟きが、私達をますます暗く沈ませます。

 彼女だけではなく、その御両親も同じでしょうし…今はまだ正体が知られていない私達も、いずれは…。


「ったく、余計なことしやがって…」


 歯噛みしながらテレビ画面を睨みつけるラリスくんの視線の先には、会見後も釈明に追われ続ける政府首脳のニュース映像が。


《え〜、現状のような無用な社会の混乱を極力抑えるべく、我々は過剰な情報が公開されぬよう統制に務めてきた次第でして…》


 大地震だの巨大隕石襲来だのというテーマの映画等で、大昔から繰り返されてきた口実そのまんまです。

 やはり政治家たるものは国民よりも自らの世間体を重視し、まともな情報公開に応じる気などはいまだにサラサラ無いようですね。

 当事者の私達が引き起こした一件とはいえ、巨大マンタや巨人、果ては巨大UFOまでが人前に降臨した一連の出来事により、既に地球上に到来している宇宙人の存在を隠しきれなくなった日本政府。

 だとしても、その後に何のフォローもないというのは、せっかく地球人に溶け込んでいたミユちゃん一家のように平和的な彼らをイタズラに悪目立ちさせただけのような…


「政治家なんて人種は、どこの世界でも自己保身に躍起なものさ。

 国民の怒りが自分達ではなく彼らに向かうなら、これ幸いってばかりにね」

「ついでに厄介者払いまでできるなら、一石二鳥ってヤツだしな」


 シドさんとラリスくんが吐き捨てるように言います。って、やたら実感がこもってるよーな…。

 立場上は『保護管理官ガーディアン』というお役人なこの二人も、上役には散々無理強いされて苦労してるみたいですね。


「って…もしかして、この件についても?」

「あぁ、これくらい僕らで対処しろってさ」

「辺境の未開惑星の出来事なんか、自分達の出る幕じゃないってよ…ケッ!」


 そうは言っても惑星レベルの暴動を、この二人だけでどうしろと?


「『保安官』も独自に動いてくれてるけどね。何かあったら頼ってくれってさ」


 学長さんも? それなら少なくとも、この一帯はなんとかなるかもしれませんけど…。


「パパ…ママ…」


 まだまだ甘えん坊さんなミユちゃんや、人畜無害なその御両親にまで実害が及んでしまった現状をみるに…他の地域では、今頃どうなっているのやら…。

 これは早急に手を打たないといけませんが…だからといって、どうすれば…?

 私なんかじゃ何もできるはずもないのに、気持ちばかりが焦って悶々と過ごした一夜でした。

 もう、旦那様の調教どころじゃなくなってしまいましたし…。


「ホッ…これでやっと普通に眠れる…」

「普通は、隣に無防備な格好の女の子が寝てたら、手を出したくて仕方がないものなんですけどね〜?」(←人によります)

「ゔ…」

「それに…こんな時くらい、眠れない妻を慰めてくれてもいいと思うんですけど…ネ♩」

「せ、誠心誠意、努力いたします…」


 まったく…こちらも前途多難ですね。





 どんなに眠れずとも、皆に等しく朝は訪れます。

 そして学生であるからには、学舎まなびやへ向かうのが私達の務めです。


「それじゃあ…行ってきますね」

「…行ってらっしゃい」


 寂しげに見送るミユちゃんを後に、私も大学へと向かいます。

 今日はラリスくんにも特別に休んでもらって、彼女達についててもらうことにしましたから、そう酷いことにはならないでしょうけど…。


 …空は今朝も晴れやかですが、私の心は昨夜からずっと曇ったままです。

 大学へと向かう道すがら、眺める街並みはいつもと何も変わりませんが…

 どこかが…何かが確実に違うような…

 そんな肌寒さにも似た感覚が…


「…ちょっといいですかぁ?」


 突然、誰かに呼び止められてギクリとしました。


「は、はい…?」


 おっかなびっくり振り向けば…そこにいたのは、一人の男の人でした。

 ヨレヨレのシャツやズボンに、春だというのにヨレヨレのトレンチコート、そしてお決まりのハンチング帽。

 いまどき類を見ないほど典型的なマスコミ関係者だって、私にも判りますが…その顔色は、まるでガミ◯ス人かゼント◯ーディ人のような度を超えた土気色。

 てっきり新手の宇宙人かと思いましたが…どうやら不摂生が祟っただけの、ごく普通の地球人のようです。

 不健康極まる顔色のせいか、ずいぶん老けて見えますが、声色からすれば三十〜四十代くらいかと。

 その彼がこの私に、いったい何の御用でしょうか…?


「いやぁ、お伺いしたいことが二、三ありましてね?」


 などと言いつつ、無遠慮に距離を詰めてきた記者風な男から…ゔ…っ!?

 雨に濡れた野良犬みたいな、一種独特な臭いがモワッと鼻を突きます。いったい何日くらいお風呂をサボったらこうなるんでしょうか?


竹取美沙兎たけとりみさとさんですね?」


 いきなりフルネームで呼ばれて二度ビックリです。

 私は大学内では有名人らしいので、見ず知らずの人に名前を知られていても、不思議はないかもしれませんけど…こんな、明らかに学生じゃない人にまで知れ渡ってるだなんて…?

 動揺する私に苦笑した彼は、懐からスマホを取り出して、


「ここに映ってるのは…アナタですよね?」


 差し出された画面に表示されていたのは…もうすっかりお馴染みな、街中での巨大マンタと巨人の対峙シーン。

 そして、両者の足下に小さく映っているのは、長い黒髪の長身美女…って言うまでもなく、この私ですけど。

 それを訊くために、わざわざこの場所で待機してたってことは…いよいよ居場所を突き止められてしまいましたか。

 …けれども、驚くのはそこからでした。


《くぅおらぁーッいつまでチンタラやっとんじゃいバカ息子ッ!? とっととソイツのエイヒレむしり取ってヒレ酒にしたらんかァーイッ!!》


 え…? コレって、あの時の私のセリフ…!

 巷に出回ってる動画の音声は不鮮明すぎたのか、ニュース番組などでは全面カットされた無声状態で放送されてたはずなのに…!?

 直後、それに激昂したエイラス人が、私めがけて目玉シュートを放って、それをラリスくんが身体を張って阻止するところまで…。

 後半シーンはショッキングすぎたためか、現在公開されているバージョンではバッサリカットされていたのに…!?


「どうやら、アナタの言葉はこの連中に通じている…。

 いや、そればかりか、アナタもコイツらの『言語』を理解できてるようですねぇ?

 俺たち地球人には、誰が聞いてもただの遠吠えにしか聞こえなかったにもかかわらず…!」


 宇宙人同士の同時通訳音声は、やはり宇宙人にしか聞き取れず、現地人である地球の人々には受信できないはず。

 それが理解できてるということは…。


「で…"どちら"がアナタの『息子』さんなんです?」

「ッ…!?」

「今さらすっとぼけるのはナシですよ。アナタが御結婚なさってることは、既に調査済みですから…♩」


 ここぞとばかりにニヤけながら、記者がまたも懐から取り出した、今度のモノは…一枚の紙切れ?

 いえ、コレは…シドさんの『名刺』!!

 あの時、私が絶滅種族『ルナリアン』であることを打ち明けた彼が、私達が乱獲の憂き目にあったそもそもの理由である『黄金比』について説明した際、参考資料として手渡されたモノです。

 それと同一の品であることは、私が退屈しのぎにソレを爪弾いたときに付いた、紙面端のヨレが証明しています。

 その後、先程の動画の騒動に紛れていつの間にか紛失してしまいましたが、特に必要ないし、まいっか?程度に思っていたソレが…

 よりにもよって、こんな人の手に渡っていただなんて…!

 あの動画といいこの名刺といい、マスコミの執念恐るべし!です。調査能力では警察をも上回るんじゃないでしょうか?


「さぁて、詳しくお聞かせ願えますかねぇ?

 アナタは地球人ですか? それとも…やはり、宇宙人なんですかぁ?

 そこんトコどーなんですかぁあ〜〜…っ?」


 スマホを持っていたにもかかわらず、わざわざメモ帳を取り出して、チビた鉛筆の芯先を舌先でネチョネチョ舐め回しつつこちらに迫る記者の、蛇のように執念深い眼が、怯える私の顔を捉えて放しません。

 周囲には私同様に大学へと向かう学生がチラホラいますが、巻き込まれたら大変とばかり、一様に目を伏せて通り過ぎていきます。

 あぁ〜もぉ…朝っぱらから気分最悪ですっ!


「…うちの学生に、何か御用ですかな?」


 とそこへ、グッドタイミングで横槍を入れた人が…!


「保安…学長さんっ!?」


 渡りに船とはまさにこのこと。大学の警備員を数名従えた彼が、ニコニコ笑いかけながら立っていました。

 いえ、表情はたしかに朗らかなのに…何でしょうか、この例えようもなく凄まじい"圧"は?


「いやはや…昨夜、すぐ近くで同様な騒ぎがあったと聞きつけましてな。念のため、周辺警備にあたっていたところなんですよ」


 さてはシドさんが先に手を回してくれてたんですね…ホッ。


「さてと、アナタのほうこそ詳しくお聞かせ願えますかな? いったい何処のどなた様で?」


 警備員とともに速やかに記者を包囲し、ジリジリ歩を詰める学長さんに、


「ぅぅ…な、なんで俺の方が悪者扱いされてんだっ? 悪いのは、そっちのエイリアンだろーがッ!?」


 私を指差し反論する記者の目は、昨夜ミユちゃん達を取り囲んでいた街の人々と同様の光を放っています。

 宇宙人は害悪以外の何物でもなく、自分達はそれから世の中を守る正義の味方なのだという、確固たる自信に満ちた光が…。


「はて…彼ら彼女達が悪者だと、何処のどなたがお決めになったのですかな?

 昨夜の政府会見でも、彼らは古くから地球でともに暮らしてきた隣人…としか言及していないはずですがねぇ?」

「隣人だぁ? 地球人に隣人なんて要らねーだろがっ!? この星は俺らのもので、他所者は全部敵だっ!

 この俺の言い分のどこか間違ってるか!? 正しいに決まってんだろがッ!!」


 学長さんの言及にも、記者はめげずに反論します。

 ネズミであれゴキブリであれ、我が家に勝手に侵入した害虫は許さない…彼もまた、そうした思考の持ち主なのでしょう。

 古くから島国根性が染み付いている日本においては、その傾向はなおさら顕著です。

 大多数の外国人観光客はきちんとルールを守っているのに、極一部のならず者たちの行為をあたかも全体がそうであるかのように吹聴して、事実上の追い出し政策である法律まで制定するよう国に働きかける。

 そうしてわざわざ敵を作ることで、あぁ、自分はなんて良い事をしているんだと自己満足に浸る。

 なかなか減らないイジメの根底にあるものも、突き詰めればこうした思想かと…。


 それでは、この記者は何故、この私を標的に選んだのでしょうか?

 それはもちろん…私が世間的によく知られた存在だからです。

 どこに潜んでいるかも不明な見ず知らずのエイリアンよりも、もはや誰もが知っているだろう私を槍玉にあげたほうが手っ取り早いからです。

 そして、善と悪という古来からの普遍的な対立構図に持ち込めば、周囲の扇動もしやすい上に…

 最初に私の正体を暴いた彼は、必然的に正義の味方として多大な支持を集め、記者としての名声も上がる。

 世のため人のため…なんて謳いながらも、結局は自分のためだけに新たな敵を作り続ける輩のなんと多いことか。

 何処ぞのタレントがいかに不倫しようが、大衆にとっては本来どうでもいいこと。それを世間的な大悪事にまで祭り上げて完膚なきまでに叩き潰すことに、いったい何の意味があるというのでしょうか?

 なかには本当に世の人々のために心血を注いでいるマスコミの方々もいらっしゃるでしょうが…こういった下賎の輩を目の当たりにしてしまいますと、どーにもこーにも…。


「たとえどんな立場であろうと、地球に居住して此処で学ぶ以上、学生の身分に上も下も内も外もありません。

 我が大学は、学生の自由と権利を全面的に保証致します…!」


 敢然と言い放つ学長さんに、私は希望の光を見出しました。

 彼の本業は、宇宙連盟から未開惑星・地球に派遣された保安官…ですが、その思想に一切の偏りはなく、地球人と宇宙人を平等に見ることができる数少ない人物だったのです。

 まぁ、そうでなければ保安官なんて重責は担えるはずもないでしょうけどね。


「フザケんな畜生ッ、そこをどけっ!

 俺には世間の悪を暴き出す使命があるんだ!

 正義は俺でッ、そこのエイリアン女が悪なんだァーッ!!」


 やれやれ…記者さんのその志はご立派ですけどね。

 常に公平な立場から物事を見て、大衆には真実のみを伝えなければならない…というマスコミの大原則が、出発点からしてことごとく崩壊している時点で、彼の主張にはもはや何のメッセージ性もありません。

 こうして聞いてるだけでも虫酸が走るほど稚拙極まりない、彼個人の単なるエゴに過ぎないのです。


「やれやれ…こうしていても埒が明きませんな。

 仕方ない。最寄りの署までお連れして。」


 学長さんの号令一下、両脇を警備員にガッチリホールドされた記者は、


「放せぇっ、放せチキショオーーーーッ!!」


 怨嗟の絶叫をたなびきながら、何処ぞへと連行されていきました。

 あの様子じゃ、いかに彼の主張が正しくとも、誰もまともに取り合おうとはしないでしょうけどね…。本当にやれやれです。


『…誠にご迷惑をお掛けして…』


 二人揃ってまったく同じ謝罪を口にしかけて、私と学長さんは思わず照れ笑います。


「いえ本当、助かりました♩」

「こちらこそ、お役に立てて何よりです。

 ですが…今日のところは、このままお帰り頂いたほうがよろしいかと…」


 そう警告した学長さんによれば、昨夜の政府会見以降、学舎内の至る所で同様な騒動が勃発して、対応に追われているのだとか。

 個人的な偏見を交えて言わせてもらえば…インテリな人ほど単純明快…いえいえ、良くも悪くも純粋な心の持ち主なため、突発的な出来事に惑わされやすい傾向にあるような気がします。

 それならば…このままのこのこ大学にお邪魔して、学長さんにさらなるご迷惑をお掛けするよりは、おとなしく引き下がったほうが身のためでしょう。


「昨日中断した教授会をこれから再開して、至急対策を講じますので…それまで、しばしのご辛抱を…」


 申し訳なさそうに頭を下げる学長さんに、私は丁寧にお辞儀して、来た道を引き返し始めます。

 とはいえ、こんないくら議論しても答えなんて出しようのない無理難題…シドさんも本当にご苦労様です。


「ねぇねぇ…今の話、本当?」

「竹取さんが宇宙人ってヤツ? まっさかぁ」

「確かに地球人離れした美人だけどさ…」


 通り過ぎる学生達がヒソヒソと私の噂話をしています。

 数日前の私なら、根も葉もない噂と笑い飛ばせたかもしれませんが…それが事実であることを知ってしまった今となっては、ただただ肩身が狭くて…


「…………?」


 …そうですよ。なんで私がこんな肩身の狭い思いなんてしなきゃならないんですか?

 ただ単に宇宙人ってだけで、実質的には地球人と何ら変わらないし、何も悪いことなんてしてないのに…!

 なんか…なんだか、だんだん腹が立ってきましたよ?

 私だけじゃありません。シドさんも、ラリスくんも、ミユちゃんも、彼女の御両親も…っ。

 此処でただ、平和に暮らしたいだけなのに…どうして周りにウダウダ言われなきゃならないんですかっ!?


 どうにもならない?…そんなコトないっ!

 こんな間違った現実は…私が変えてみせるっ!!

 

 

 


「皆さん、初めまして。竹取美沙兎と申します」


 リビングのカーテンを背景に、うやうやしく頭を下げる私の前には…自撮りスタンドに固定された、一台のスマホ。

 こんな簡単なシステムで動画配信って出来るんですね。ミユちゃんに教えてもらうまで知りませんでした。

 そのミユちゃんは、パパさんママさんやラリスくんと一緒に、リビングの端から私の動向を固唾を呑んで見守ってます。


「スゴイです、お姉さま…! ご挨拶だけで、同時接続数がもう一千件を超えましたよ!?」


 別のスマホでこのリアルタイム配信をエアチェックしていたミユちゃんが、小声で囁きかけながら小躍りしています。


「ま、見てくれだけはカワイイからなコイツ♩」


 ラリスくんウルサイ。

 てゆーか、また性懲りもなく母親をカワイイ呼ばわりして…そーゆーのは他に誰もいないトコで言ってちょーだい♩

 …ともかく、それがどれだけ多いのか少ないのか、私には判りません…が、今回に限っては多いに越したことはありません。

 なぜなら…


「今日、私がこうして動画配信なんて慣れない真似をしているのは…皆さんに一つだけ、お願いを聞いてほしいからです」


 そう…これは地球人に向けた、私たち宇宙人からのメッセージだからです…!


「それはとても簡単なお願いで…私たち宇宙人を一方的に敵視することを、やめてほしいのです。」


 そして、それをワカラセるためにも…まずは初っ端から、私自身の正体を明かさねばなりません。


「そう…私は『ルナリアン』。

 アナタたち地球人の側から見れば…一種の『宇宙人』です。」


 さぁ、これでもう後戻りはできません。

 この私の一世一代の告白は、地球人達に届いたでしょうか?


「…凄っ…接続数が一瞬で数万件に達しましたよ!? さすがはお姉さまですっ☆」


 ミユちゃんの浮かれっぷりを見るに、ちゃんと届いてるみたいですね。

 ならば、もう一押し…


「ですが、私がその事実を知ったのは、ほんの数日前で…それまではアナタ達と同じ、普通の地球人のつもりで生きてきました」


 もちろん詳細は伏せてありますし、地球人が実はルナリアンによって産み出されたというショッキングな事実も今は内緒。

 …どうせ言ったところで信じてはもらえないでしょうし。

 今、伝えたいのは、そんなことよりも…


「現在、地球に住んでいる宇宙人さんも私と同じく、遥か昔になんらかの理由で地球へたどり着いた人々の子孫で…広義の意味では、彼らもまた地球人に相違ないんです」


 ミユちゃん達のように御先祖様の身体的特徴を受け継いでいる種族もあれば、私のようにもはや完全に地球人と変わらない種族もあり…

 そこいらへんは千差万別ですけど、地球上で生まれ育ち、地球上で暮らしているからには、地球人の一種族も同然です。

 地球人だって白人・黒人・黄色人種…と様々ですし、細かく見ていけば結構な差異があるじゃないですか?

 それと同列に捉えていただければ、過剰な差別意識も収まるのでは…と。


「だいたい、考えてもみてください。

 今現在、日本に住んでる外国の方々で、日本侵略なんて大それたコトを考えてる人はどれだけいらっしゃるでしょうか?

 大抵の人は、日本が気に入ったから住み続けているだけに過ぎません」

「そ…そうですっ。あたし達はただ、此処で暮らしたいだけなんですっ!

 生まれてからずっと住み続けてきた、この国で…この星で、これからも…ずっと…!」


 私のメッセージに居ても立ってもいられなくなったミユちゃんが、飛び入り参加でカメラにかじりつきます。

 さすがに予想外の展開でしたが…これは使えますね、ムフッ♩

 涙ぐむ彼女のラブリーな懇願を断り切れる人など、まずいないでしょうからっ!


『お願いしますっ! 私達を、これからも…此処に置いてくださいっ!!』


 最後には一家揃って頭を下げて…ミユちゃん達は肩を抱き合って泣き崩れました。

 私も思わず目頭が熱くなって…本当に、どうして彼女達がこんな思いをしなければならないんでしょうか?

 どうしても次々と溢れ出す涙を堪えきれず…


「…以上が、私からの…私たち宇宙人からのお願いです。

 地球の皆さん、どうかよろしくお願いします…!」


 私も泣きながらカメラに頭を下げて…やっとの思いで配信を終えました。

 そしてミユちゃん達と一緒になって、さめざめと泣き続けます。

 私達の必死のメッセージは…地球の人々に、どのように届いたでしょうか?


「…ご苦労さん。なかなか良かったんじゃねーか?」


 プロデューサーみたいに簡素な感想を口にして、傍らでずっと見守っていたラリスくんが、優しい微笑とともに私達をねぎらいます。


「観てた連中の反応もえらいコトになってるぜ、ホレ♩」


 と、彼が投げてよこしたミユちゃんのスマホを見れば…その画面はまさに、今の配信に対する夥しいコメントの大洪水でした。


《泣けた》《そうだよ、彼らが何をしたってんだ?》《オレは許すぜ!》《許す許さないじゃない、彼らには当然の権利だ!》《彼らも俺達と同じ、地球人なんだ!》


 それは、読んでてまたしても涙がこぼれてしまうほどの、温かいメッセージに溢れてて…。

 もちろん中には《泣き落としで誤魔化せたつもりか?騙されねーぞ!》なんて、さっきの記者さんみたいに否定的なコメントもちらほらありましたが…

 そうした少数派の意見は、それを遥かに上回る大多数の好意的な意見に、瞬く間に押し流されていきます。

 …え、《お姉さん美人だね♩》? 今はそんな感想どーでもいいんですケド…でもアリガト♩


「とにかく、これで私の作戦は大成功…」

「…じゃないでしょ、まったく…っ」


 不意に背後から飛んできた怒声に驚いて振り向けば…そこには肩でゼェハァ息するシドさんが、怒ったような顔で立っていました。


「怒ったような…じゃなくて、怒ってるんだよマジで! なんてコトしてくれたんだ、まったく…!」





「会議の合間に学長から今の配信を見せてもらって、心臓が飛び出すかと思ったよ。

 キミの自由を奪うことになった代わりに、大概のことには目を瞑るつもりでいたけど…いい加減にしてほしいね、まったく…っ!」


 教授会が行われていたはずの大学から大慌てで帰ってきたらしいシドさんは、戸惑う私の両肩をガッシリ鷲掴んで、怖いほどの怒りをあらわにしています。

 彼がここまで激怒したのは、初めて見たものですから…


「え…だ、だって…この状況をはやく何とかしなくちゃって、私…」

「それについては、よくやったと思う。おかげで暗礁に乗り上げていた教授会も、とりあえずこのまま様子を見ようってことで落ち着いた。

 けどね…」


 褒められてホッとしかけた私の肩を、彼はますます力強く握り潰して…い、痛っ!?


「キミは、自分の価値が本当に解ってるのか?

 どうして自分が『ルナリアン』だなんて公言したんだッ!?」


 あ…。で、でも、そうしないと説得力が…


「そのせいで…キミはますます、宇宙中から狙われる羽目に陥ったんだぞ…っ!?」


 え゛…インターネットって、宇宙人さんも見てるんですか?


「そもそも、キミの存在を僕達が知ったキッカケもネット経由だっただろう?

 一旦、情報の大海原に流れ出てしまった個人情報が、もう二度と取り返しがつかない規模で広がり続けるのは、地球も宇宙も同じなんだよ…っ!」


 ッ!? あ…あ…っ。

 つまり、私は…かつて宇宙中から狙われた挙句、約一千年前に絶滅したはずの『ルナリアン』が、此処にこうして生き残っていることを…自ら宇宙中に知らしめてしまった…!?


「何を今さら吠えてんだよ? どのみち時間の問題だったし、そのために俺達がここにいるんだろ?」

「そんな問題じゃないんだッ!!」


 余裕ありげに笑い飛ばすラリスくんを真正面から怒鳴りつけて、シドさんは…


「キミはもう…キミだけのものじゃないんだ。

 頼りない夫だってことは百も承知だけど…それでも、僕は…っ!」


 私を両手で抱きすくめて、わなわな震える彼の身体の温もりに…なんて申し訳ないことをしてしまったんだろうと、今さら後悔を覚えると同時に…

 彼がそこまで私を想ってくれていたことに、例えようもない幸せを痛感する私がいました。


「…ごめん…なさい…っ」


 再び込み上げる…けれども、今度は温かい涙で視界が掻き曇る私の頭をポンポンあやして、


「…僕のほうこそ、言い過ぎた。

 こうなったら、もう…僕の命に代えてでも、絶対キミを守り抜く…決心がついたよ」


 シドさんは静かに囁きかけます。

 それだけで、私はもう…


「つーか、所構わずラブラブオーラ全開大炸裂させまくりやがってコイツら…」


 ツッコまれてハッと我に返れば、ニマニマほくそ笑むラリスくんや、真っ赤な顔に押し当てた両手のひらからちゃっかりこっちを凝視してるミユちゃん、見て見ぬフリをしつつでもやっぱ見てるその御両親とバッチリ視線がカチ合いました。

 ううっ、恥ずらかちい…。

 でもいいもんイイモン、こんなにカッコイイ旦那様なんて滅多に見られないんだから♩


「しゃーねぇな、微力ながら俺も協力させてもらうぜ?」

「当然だろ。わざわざキミを監視役に置いていったというのに、てんで役に立たなかった責任を取ってもらわなきゃな。微力と言わず全力で頼むぞ」

「ヘッ、こんなじゃじゃ馬、どーやって手懐けろってんだよ? そんなに大事なら手綱でも付けとけ」

「キミにさえ無理な芸当が僕にできるとでも?」


 なんだか散々な言われようですけど…。 

 しょっちゅう言い争ってるようで、不思議と息がピッタリ合ってるんですよね、この二人。

 …つくづく羨ましい。

 いまだぎこちない私たち新米夫婦も、早くこんな阿吽の呼吸でいられるようになりたいものです。


「でもセンセ、気ぃつけとけよ? 女にイイカッコできたと思って浮かれてるときほど、足下すくわれるぜ?」

「ハハハ、常に浮かれまくってるキミと一緒にしないでくれよ」

「おいおい、どんだけメスにモテたって嬉しくもなんともねーぜ?」

「え゛?…ちょっとラリスくん、今のってどゆこと!?」


 あ〜、ミユちゃんまで参戦しちゃった…。

 ちゃんと説明したげると、ますます面倒臭くなりそう…。

 すると慌てたラリスくんはお返しとばかり、


「そーいやセンセ、ここへ来る前にデキてた女とは結局どーなったんだよ? 結構イイ雰囲気だったじゃねーか?」

「んがっ!? い、今ココでそんなことバラすんじゃないっ!」


 …あ゛?


「ヒィッ!? ヤッてませんヤッてませんっ!」


 でしょーねっ、ベジタリアンの分際で満遍なく愛想振り撒きまくりな色男サンッ!

 結局そのまま旦那様を小一時間…どころか一晩中問い詰め続けたため、夜毎の枕修行もお休みせざるを得ませんでした。

 まったく、これじゃあ私の表情ばっかり阿形吽形さんそっくりになっちゃいますよ。プンスカッ!





 私の必死の呼びかけが人心を動かしたのか、はたまた昨夜の巨人の出現が効果覿面だったのか…

 昨夜、ミユちゃん御一家を親の仇のようにとっちめていたご近所の住人達は、その後、全員総出で謝罪に訪れました。


「まったくもって申し訳ない! 昨夜のテレビ番組を観てたら、どんどん不安になってしまって、つい…」


 真実の追求だの何だのと崇高なお題目を唱えつつ、闇雲に大衆を焚きつけるだけのマスコミの功罪は、今に始まったことじゃありませんけどね…。

 結局のところ、相手がどんな代物か皆目不明だからこそ不安が募り続けるわけで…いざ、その正体が判ってしまえば、そこまで恐れるほどでもなかったと拍子抜けすることもしばしば。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花…とはよく言ったものです。


「いえいえ、こちらこそ! もっと早く私達の正体を明かしていたら…でも、いざ言ってみたところで信じてはもらえないだろうな…などと思い悩んでいるうちに、こんな事態になってしまいまして…」


 気さくに応じるミユちゃんのパパさんママさんの飾らない人柄に、ご近所の方々の警戒心もみるみる解かれたようです。

 あと二人とも、今のお勤め先からは「これまで通り勤務し続けてほしい」と打診され、仕事面の不安も解消されたとか。

 企業的には、今話題の宇宙人がいる会社ということで、知名度や話題性が高まると目論んだのかもしれまけんけど…ひとまず安心しました。


『今後とも、何卒よろしくお願い致します』


 両者揃って笑顔で握手し合う頃には、わだかまりはすっかり解消されたようです。

 けれども…それはあくまでも我が家のご近所界隈だけの話であって、他の地域…とりわけ、大伴家が元々住んでいたご近所ではどうなっているのか怪しいもの。

 そこで、現在は私の屋敷で同居中のため、空き家となっていたシドさん達のお家を、大伴家に提供することにしました。

 住み慣れた元の賃貸マンションを離れるのはお寂しいでしょうけど、少なくともそこよりは広いので、快適に生活して頂けるかと。


「本当に、何から何までお世話になりっぱなしで…」


 深々と頭を下げる御両親に、


「いえいえ、空き家にしておくぐらいなら誰かにお住み頂いたほうが管理も楽…あ、こっちのことで♩」

「それで、あのぉ…これからは『女神さま』とお呼びしてよろしいでしょうか?」


 オホホホホ…それもぉやめて。

 なんで皆、寄ってたかって私を神格化したがりますか?

 

「これからはお隣さんだねっ。えへへ♩」

「なんだよ、ウチでまで隣同士かよ…」


 先日の一件で里心がついてしまい、結局は御両親のもとに戻ったミユちゃんですが…

 ちゃっかりラリスくんのお部屋とお向かいの部屋を自室にキープしやがった模様です。

 中坊同士が同部屋で生活するよりは健全ですし、窓の距離が離れてるから容易には行き来できないでしょうけど…

 夜中にこっそりミユちゃんがラリスくんを襲来することのないよう、ゴキブリホイホイ的な罠の一つも仕掛けておきましょ。ウフフ♩


《昨夜、自分が宇宙人であることを公言した海外の有名タレントに、称賛の声が高まっています》


 テレビニュースによれば、私達の配信に勇気付けられた世界中の宇宙人が次々と自ら正体を公開し、衝撃と驚愕をもって受け入れられつつも、事態は次第に鎮静化しているようです。

 なにしろ、彼らはそれ以前からずっと地球人に溶け込んで暮らしてきたのですから、その事実を受け入れることさえ適えば、それ以上の騒動には発展しようがないのです。

 もちろん中には、地球人以外の人類など絶対に受け入れられないという人々も、少なからずいらっしゃるかと。

 けれども、そうした人は元々、自分達とは違った主張や宗教観、肌色等の身体的差異を持つ同族をも受け付けない奇特な方々なので、放っておくしかないでしょう。


「竹取さん、宇宙人ってホント!?」

「ハイ、そうらしいですね。私もいまだに半信半疑ですけど」

「マジかよ!? メチャ勇気あるよな。俺だったらそんな秘密、他人には絶対言えないぜ…」

「私だってそうでしたよ。でも必要に迫られて、なんとかしなきゃって焦っただけで…」


 大学では、今までは容易に近づけない高嶺の花と見做されていたこの私に、あの配信以来、恐る恐るながらも話しかけてくる人がかえって増えました。

 なんだかむず痒いですけど…やっと私も皆の輪に入れたようで、とても嬉しいです。

 …もっとも実際のところは、私達ルナリアンは地球を創った張本人にして原住種族…『超地球人』なんですけどね。


「奥さんだけじゃないよ。この僕もさ♩」

「えっシドゥス教授も!? マジっすか!」

「てゆーか、そっちが本当の姿!? ヤバーイ超カッコイイ〜ッ☆」

「夫婦で最強すぎんだろ!? つーか宇宙人カップルだったのかよ、スゲー!」


 今まで以上に私を守ってくれると決意したシドさんも、学生に正体を明かすと同時に、自分こそが私の夫であると人前でも公言するようになりました。

 これまた気恥ずかしい限りですけど…嬉しいです、旦那様♩


「…けど、アンタらの正体が宇宙人って判って、最初はそりゃ〜ビビったけんどもよ?」

「うん、だからって別になーんも変わんなくなーい?」


 …そう思って頂けるのが、いちばん嬉しいかも…です。


「駅前とかネットとかで、いまだにウダウダ言ってビラ配ってるアホどもも、チラホラいるけどな」

「エイリアンがどうとか、地球侵略がこうとか、バカの一つ覚えみたいにね。ゴミが増えるだけだからやめとけばいいのにさ…」

「どっかの大国が小狭い土地を攻め落とすのですら一苦労してるってのに、星一個まるまる侵略って…一騎当千な主人公が出てくる映画や漫画じゃあるまいし」

「あーゆーのに限って、ろくに相手と話したこともないくせに毛嫌いして、憶測と捏造だけのテキトーな話ばっか吹聴してるしな」

「リアリティもへったくれもなくて、笑っちまうほど幼稚な、まるでガキンチョのホラ話みたいな屁理屈こねてやがるし」

「全部作り話だからね。エイリアンと超大国が結託とか…そんな怪しげな連中と手を組む大国なんて、ある訳ないじゃない?」


 皆さん、思いのほか堅実ですね。

 大半の人は笑い飛ばすような、見え透いた作り話でも、必要以上に怖がる人は、うっかり信じちゃうんでしょうね…。

 世の中から詐欺被害がなかなか無くならないのも道理です。


「トチ狂って正義の味方ヅラした連中にゃ、何言っても無駄だろ。コロナワクチンが毒だの陰謀だのゆー奴らと同じさ、ほっとけほっとけ」


 ん〜、それで済むなら取り越し苦労だって、笑ってられるんですけどね…。





 とゆーわけで、学生たちに触発されたからって訳でもありませんけど…今日は旦那様と二人っきりで初デートですっ☆


「いや、二人だけのときって割と多いと思うけど…。それに今日は、参考書を買いに来ただけでしょ?」


 クッ、相変わらずムードもへったくれもない…っ。

 まぁ実際その通り、講義で必要になった参考書を買うために駅前の本屋さんまで行ってくるって言ったら、シドさんが護衛役を買って出ただけですけど。

 自宅からは歩いて行ける距離だし、街の様子もすっかり落ち着いたみたいだから、そこまで心配する必要もないって思うんですけどね。


「というか、参考書くらい僕のをいくらでも貸すし、なんなら担当教授に単位をまけてもらえるよう言っとくのに…」

「ダメですよソレは! 裏口入学だけでも罪悪感満々なんだから、せめて単位くらいは自力で取らなきゃ…!」

「真面目だねぇ。

 …ここだけの話、何かと有名人なキミが在籍してるだけで、大学への問い合わせが連日大盛況だし、来年度の入学希望者も例年の数倍は殺到してるから、大学関係者もホクホクでね。

 もぉ〜どんなお願いでも聞いてもらえると思うよ♩」


 だーかーらぁ! それで万一裏口だってバレちゃったら、それこそ目も当てられないことになるでしょーが!?

 そーゆーコトは…テストがどうしてもダメっぽいときに、是非お願いしますっ♩(←ぉぃ)


「あ…ちなみに、ラリスくんはミユちゃんとお家デートらしいですよ?」

「ハハッ、もう尻に敷かれてるねぇ。

 でも二人とも、はやくも引き篭もり気味なのが気にならなくもないけど」


 ゲーマーですからね。ソレはソレで、本人的には外出するより楽しいのかも。

 てゆーか最近のゲームセンターはプリクラとプライズ機ばっかりで、肝心なゲーム筐体は片隅に追いやられてるという本末転倒ぶりですし。


「いい若いモンが、休日の真っ昼間から家で顔ばかり突き合わせてたら、早めに倦怠期を迎えてしまうぞ?」

「…その言葉、まんまブーメランですよ。シドさんだって、こんな用事でもない限り、日頃は自宅と大学の往復ばっかりじゃないですか?」


 そういう私も以前は似たようなものでしたけど…ここ最近は積極的に街中を出歩くようになりました。必ずシドさん達が一緒ですけどね。

 それに、いつもはたいてい車を使うので、こうして徒歩で街を闊歩するのは久しぶり…というか、たぶん初体験です♩


「…ねぇ見て、すんごい美男美女!?」

「はいCG、CG。」

「いやいや現実だってば!」

「現実にいるわけないでしょ、あんなファンタジーから抜け出たような人達が?」

「…うん、言われてみたら、なんかだんだんそんな気がしてきた」

「そう…夢よ。きっとこれは夢なんだわ…ィヒ♩」


 通りすがりの人々が残らず私達に注目し、場合によっては即座に思考回路をバグらせます。まっ、それほどでもありますけど♩

 ちゃんと実在してますよ〜早く夢世界から戻ってきてね〜?


「どんな関係なのかな?」

「親子でしょ、ハーフとかの」

「てかタレントさんじゃない、ロケ中の?」

「後ろからカメラがついてきてるとか?」


 がくっ…。ま、そうなりますよねー。

 地球人状態のシドさんとは、見た目にかなりの年齢差がありますし。

 でも、誰か一人くらいは夫婦だって気づいてほしいかも…うるうるっ。


「…やれやれ。ホラ、これでだいぶん違うでしょ?」


 見かねたシドさんが片手を差し出します。

 嗚呼、夢にまで見たお手々つなぎデート!

 う〜んわかってますねぇ旦那様…♩

 そんな二人の仲を周囲に散々見せびらかして歩くうち…気づけば、目的地の駅前まではもう目と鼻の先。

 うう…もう少し、この幸せに浸っていたいな〜…と辺りをキョロキョロ見渡した、私の目に飛び込んできたのは…


「…もしもし、ミサさん…?」


 私の視線の先に気づいたシドさんが、警戒心を露わにします。

 そこは、街の喧騒からポツンと取り残されたように静まり返った、鄙びた裏通りの一角。

 にもかかわらず、一見かなりゴージャスなお城を思わせる建築物が軒を連ねます。

 そう…いわゆるラブホテル街です。

 最盛期ほどではないとのことですが、今でもこうして一種独特な空気感を醸し出して、怖いもの見たさの私にまるで手招きしてるよーな…


「いや幻覚幻覚。ミサさん、気をしっかり!」

「あ、あはは…やっぱりダメ…ですかねぇ?」


 目の前にあるオモチャを渋々諦めたような顔で応える私に、シドさんはハァ…と溜息ひとつ。


「…ま、もういいオトナなキミが何処で何をしようと、咎める権利は誰にもないさ。

 もちろん…僕も同行するけどね」


 え、それって…あの奥手なシドさんが、珍しくノリ気になってる…!

 それにココなら、うちに居るジャリタレどもに邪魔されることもなく、二人っきりで心ゆくまでゆったりしっぽりと…ハァハァ♩

 こんな絶好の機会を逃す手はないと…そして気が変わった彼がいまさら逃げ出さないように、物理的に繋いだ手に力を込めます。


「痛てて…そこまでしなくても、今さら逃げないよ。エッチな奥さんだなぁ…♩」


 ハイッ愛しの旦那様の殺し文句いただきましたァーッ!

 日頃の修行の成果がやっと実って、シドさんもいよいよ女体の探求に積極的になりましたか…ンフフ♩

 ぃよぉ〜しっ、今日こそは…っ☆

 善は急げと白亜の城壁を目指し、ズンズンズンズン突き進みます…っ!


 まさに猪突猛進な私の視界の片隅に…周囲の淫靡な雰囲気にはまるでそぐわない無骨な建物が映り込みました。

 繁華街の外れには必ずといって良いほど建っている、この地域一帯を管轄する警察署です。

 どうしてこんな場所にあるのかって? 理由は考えるまでもないでしょう。

 最も"事件性が高い場所"だからに決まってるっしょワクドキッ☆

 けど、ある意味これから"事件を起こしに"行く私達には無縁な場所なので、さっさと通り過ぎて…ウィーーン。


「…!?」


 丁度タイミング良く?正面玄関の自動ドアが開き、そこから背中を丸めてコソコソ出てきた人物と目が合った、刹那。

 それまでのウキウキ気分は瞬時に霧散し、背筋が凍りつくほどの戦慄が走り抜けました。

 …あの男です。

 先日、朝っぱらから私にぶしつけな取材をかました、あの不気味な記者です。

 初対面時よりもさらにヨレヨレ具合に磨きをかけた、不摂生の塊みたいな風体といい、そのままゾンビ映画に出してもノーメイクでイケそうな顔色の悪さといい、見間違えようがありません…!

 それにこの、まるで腐乱死体みたいな耐え難い異臭…。いくら平静を装おうとしても、どうしても眉間にシワが寄ってしまいます。


 大学の警備員にしょっ引かれていった当時の彼の容疑といえば、この私に無理やり取材を迫った程度のことなので、大したことにはなるまいと思っていたのですが…

 よもや、こんなに長々と取り調べを受けていたということは、よっぽど余罪が多い、タチの悪い男だったのでしょうか。


「なっ…出やがったなっ、エイリアン女ァーッ!?」


 その記者はやはり私と目が合うなり、大げさな仕草で私を指差し、素っ頓狂な大声で喚き散らしました。

 よりにもよって、このタイミングでバッティングしてしまうなんて…最悪です…っ!





「ミサさんっ…!」


 色々なことがありすぎて、例の一件は彼には伝え忘れていましたが…それでもシドさんは即座に相手の異常性を見抜き、私を庇って前に進み出ます。


「…何だ、またアンタか!?」

「まだ懲りてないのかっ!」


 遅れて署内から、騒ぎを聞きつけた警官が三人ほど飛び出してきて、すぐに記者を取り囲みます。やはり署でも相当困ったちゃんな言動を繰り返していたようですね。

 でも…それがかえって災いしてしまいました。


「ほらっ、おとなしくしガフッ!?」


 警官の一人が、記者を背後から羽交締めにして取り押さえようとしたところ…なんと記者は警官の顎先に頭突きを喰らわせ、難なくノックダウンさせます!


「お、お前何やって…!?」


 慌てた二人目の警官が別方向から掴み掛かりますが、記者は今倒したばかりで卒倒しかけた一人目の警官の胸ぐらを鷲掴み、ブン回して二人目へと放り投げた!


『ぐあっ!?』


 同僚のボディプレスをまともに受けた二人目の警官は、運悪くよろけた先にいたシドさんを巻き添えにして、二人揃って転倒!

 な、何なんですか…あの記者? まるで海外のアクション映画のように、流れるような身のこなし…到底素人じゃないですよ!?


「…フヘヘヘ…!」

「ヒッ…!?」


 護衛を失って丸腰となった私に狙いを定めた記者は、肉食獣のように獰猛な笑みを浮かべてジリジリと歩を詰めます。

 対する私は、もう身体がこわばって言うことをききません。こ、怖い…っ!


「や、やめろ、そこで止まれっ! じゃないと撃つぞっ!?」


 そこで残る三人目の警官が、腰のホルダーから抜き放った拳銃を記者に突きつけて、射撃予告を行います。

 普通の人ならここで思いとどまるところでしょうけど…この記者は普通じゃなかった!

 やおらクルリと警官に向きを変えた記者は…突然ガクンと腰を落として、地表を這うような低姿勢で警官を襲撃!

 予想外な標的の動きに狙いを狂わされた警官は、慌てて記者を照準し直しますが…銃というものは手に持って引き金を引くという機構上、手首の可動域に影響され、左右はともかく上下のズレには対応しにくくなっているのです。

 最近のアクション映画で、拳銃を真横に寝かせて構える描写をよく目にするのは、その対策ですかね?…なんて与太話はともかく。

 あっさり記者の接近を許してしまった警官は、拳銃を握った両手を記者に鷲掴まれ、蛇口を捻るように強引に…ゴキュッ!


「ぎっ…ゃあぁあああっっ!?」


 ここまで聞こえるほどの骨が砕ける嫌な音とともに悲鳴を上げ、もんどり打って倒れ伏した警官の手から拳銃を奪い取った記者は…

 またも勝ち誇った笑顔とともに、銃口を私にピタリと重ねて、


「今度こそ終わりだ…死ねエイリアンッ!!」


 えっ、あんなのに撃たれたら…私、死んじゃわない?

 昔から怪我の治りとか異常に早くて、周りの子から「アイツはきっと宇宙人だ」って陰口叩かれて、でも実際ホントにそうだったけど…コレはさすがに無理でしょ?

 あ〜ぁ、思えば短い人生だったな。自由なんて何も無くて、ずっとつまらなかったし…

 でも最後に、シドさんとラリスくんに出会えて…家族になれて…自分は幸せだって、やっと感じられたから…もう、思い残すことなんて…

 …嫌よ…嫌に決まってるじゃない!

 私、まだ死にたくないっ!!

 だってまだ、愛しい旦那様とエッチもできてないし…彼の赤ちゃんだって、この手に抱いてないのに…っ!


「や、やだ…やめて…っ」


 いろんな思いが頭の中でグルグル、本当に走馬灯のように駆け巡って…私は涙ぐみながら後ずさります。

 が、記者は容赦なく引き金に力を込めて…パンッ。

 人の命を容易く奪える威力にしては、哀しいほどチープな乾いた炸裂音がして…

 誰かが私の前に、ドサリと崩れ落ちました。


「…あ…れ?」


 そう…倒れたのは私じゃありません。その証拠に身体のどこにも痛みはなく、血も流れていませんし。

 けれど…目の前で倒れた人の下から、真っ赤な鮮血がジワジワ路上に広がって…


「え、あれ…シドさん…?」


 そこまできて、私はやっと、そこに倒れているのが彼だと気づきました。

 どうやら、一旦は二人目の警官ともつれ合って倒れた彼は、すぐに起き上がるなり、放たれた凶弾と私との間に割り込んで…私の代わりに…?

 意識を失ったからか、擬態が解けて…ぴくりとも動かないシドさんの容姿は、元のハンサムで若い宇宙人に戻っていました。

 もともと色白な整った顔立ちからは、ますます血の気が失せて…撃った記者に負けず劣らずな土気色に…。


「な、なんてことをっ…!?」

「貴様ァーッ!!」


 騒ぎを聞きつけ、新たに署から飛び出してきた警官たちが、惨状を目の当たりにするなり記者の背後から飛び掛かりました。

 はずみで記者が取り落とした拳銃を、さらに別の警官が蹴って遠方に弾き飛ばします。

 記者は離れた場所に転がった拳銃と、私や路上に倒れ伏したシドさんを、悔しげな様子で交互に睨み、


「…チッ、外したか…っ。

 だがまぁいい、これでお仲間は片付いた。

 ハ、ハハ…ワハハッやったぞぉ! 俺は地球を救ったんだぁ〜〜っ!!」


 狂気の勝鬨かちどきを上げた記者に、


「何言ってんだこの野郎ッ!」

「貴様はただの『人殺し』だッ!!」


 やっと起き上がった一人目と二人目の警官が、さらにタックルを喰らわせて、仲間の警官ごと記者を押し倒します。

 人殺し…人殺しって…え? 誰か死んだの?

 …シド…さん…?


「クッソォ…ほ、本部、応答願います…っ!」


 記者に利き腕を折られた三人目の警官が、それでもかろうじて動く逆の手で無線機を引っ張り出し、県警本部へ応援要請しています。


「現時刻…◯◯時◯◯分、当△△署前にて発砲事件発生!

 被疑者は、あ〜…住所不定、自称・週刊誌記者、井谷奈貴志弥いやなきしや三十五才…元自衛官っ!」


 手帳を確認した警官が、記者の個人情報を手短に伝えます。

 自衛官…それであんなに手練れた身のこなしだったんですね。

 それがどうして畑違いなハイエナみたいなご身分に落ちぶれたかは、知ったこっちゃありませんけど。


「先刻まで同署にて別件で取り調べを受けた後、保釈直後に同署正面玄関口にて巡査数名を襲撃…

 拳銃を強奪し、通行人に向けて発砲!」


 本当に…こんな危険人物を、なんで保釈しちゃったんでしょうか? まさしく警察の手落ちですよ!


「ガイシャは、え〜…身元不詳、推定年齢二十代の男性。外見的特徴から…宇宙人と思われます!」


 人間離れした眉目秀麗な顔立ちと、人間ではあり得ないド派手な虹色の頭髪から、そう推察するのは誰にでも容易でしょう。


「意識不明、心肺停止の模様。至急、救急搬送の手配を…!」


 …結局、警官の応援要請が終わるまでの間、私は何もできずにぼんやりその場に立ち尽くしていました。

 だって、こんなの…さっきの通りすがりの人達が言っていた通り、現実味がぜんぜん無くて…。

 まるで夢の中のように、身体も思うように動かせないし…

 ということは、これはやっぱり、夢…?


「これで俺もやっと評価される…ヒャハハハッ、ヒィヤァッホォーーウッ!!」

「やかましいっ! とっとと来いこの野郎ッ!」


 常軌を逸した高笑いを続ける記者を、取り囲んだ警官たちが再び署内に押し込めていきます。


「…すみません、この方のお知り合いですか?」

「…え? あ、はい…家族です…」


 三人目の警官に声を掛けられた私は、熱にうかされた患者のようにぼんやり答えます。


「そうですか…大変申し訳ありませんでした!」


 記者に握り潰された利き腕を痛々しげに痙攣させつつ、警官は無念そうに私に頭を下げました。


「あの男の異常性には、我々も取り調べ中から危惧していたのですが…保釈許可が下りてしまっては、どうすることもできず…っ」


 やむにやまれぬ大人の事情があったのでしょうが…結果的に警察の大失態に繋がってしまったのは、賢明な判断といえるのでしょうか?

 文句の一つも言ってやりたいのは山々ですが、負傷した警官が相手では…ズルいです。

 …いえ、今はそんなことはどうでもいいんです。けれども…


「…そんな申し訳なさそうにするのは、やめてください。

 そんなの…シドさんがもう、助からないみたいみたいじゃないですか…っ」


 騒動を聞きつけた野次馬が続々と増え、それに署の関係者が大声でどやしつけ…現場は大混乱の様相を呈してきました。

 要請に応えた応援のパトカーのサイレンが、遠方から近づいてきます。

 それに乗じて、一台の救急車が赤色灯を回転させて目の前に滑り込んできました。

 ストレッチャーを抱えた隊員たちが慌ただしく飛び降りて、


「ぅわ…これは酷いな」


 凄惨な現場状況を目視した若い救急隊員が、露骨に顔をしかめます。


「バカモンッ!…ご家族の前だぞ。無駄口を叩いてる暇があったらさっさと運べ!」


 隊長と思しきベテラン隊員が若いほうを嗜め、昏倒したシドさんを抱き起こします。

 早くも乾き始めた血液が、ガムテープを引っ剥がすようにベリベリッと、生理的に耐え難い嫌な音を立てて…

 まるで、道端で車に撥ねられた、猫の死骸みたいに…っ。

 そうして掬い上げたシドさんを、二人掛かりで重たそうに、ストレッチャーに横たえて…

 …え? ど、何処に持ってくの?


「あ…」


 つい最近、お爺さんお婆さんの棺を見送ったときの記憶が、なぜだかその光景に重なって…。

 今、シドさんをこのまま見送ってしまったら…もう、二度と会えないような気がして…!


「…シドさん?…シドさんっ!?」


 ハッと我に返った私は、必死に彼に追いすがって、無理やり目を覚まさせようと、その身体を揺さぶりますが…


「ダメだっ動かすなッ!!」


 すぐに隊長さんに制止されて…。

 ストレッチャーからズリ落ちかけたシドさんの、真っ赤に染まった胸元の銃創から…ブシャッ!


「ッ!?」


 出が悪くなったケチャップボトルの最期の悪あがきみたいに噴き上がった彼の血が、私の顔に飛び散って…!

 たった今、出血したばかりなのに…もう、こんなに…冷たくって…!?


"センセ、気ぃつけとけよ? 浮かれてるときほど、足下すくわれるぜ?"


 昨日、ラリスくんがシドさんに投げかけたセリフが、頭の中でリフレインします。


"僕の命に代えてでも、絶対キミを守り抜く…!"


 そして、シドさんが珍しく男らしい決意をにじませて私に語りかけた、あの約束も。

 彼の誠実さはよく解ってたつもりだけど…

 何も、こんなにすぐに…律儀に守ってくれなくてもいいのに…っ!?


「…ぃ…いや…嫌ァーーーーーーッ!!」


 半狂乱になった私の悲鳴が、街の片隅にこだましました。




【第四話END】

 あれよあれよという間に四話目です。

 自分の場合、通常は一話執筆に二週間前後かかりますが、それをほぼ倍速で毎週更新してます。

 お話によっては実質三日程度で書き上げ、あとはひたすら寝かせたりしてます。

 その理由としては…あ〜やっぱ一人称視点ってメッチャ楽ですわ〜(笑)。

 いつもはあっちこっちの視点から見た話を統合して一本化する作業が必要ですけど、これなら最初から一人分だけ考えればいい訳ですからね。


 そういえば他の作家さんて皆、どーゆーふうにお話書いてるんでしょーか?

 自分の場合は、勝手に頭の中で展開される光景を、自動書記的にそのまんま書き写してるだけですが。

 ええ、初めから映像として見えてます。

 お話なんてもんはキャラだの設定だの必要な要素さえ揃えば、あとは脳内で自然に再生され始めるものだと思っとりますので。

 新しいシーンが追加されたら、その都度、他のシーンも自動的に描き変わります。

 でも自分ではコントロール不能(笑)。

 なのでプロットとかも書きようが無いんですケドネ。

 小難しい屁理屈とかは後から捻じ込めばいいだけですし、これもなんか自然と思い浮かぶので、さほど苦労しません。

 一説によれば、人間の意識は深層心理下で他人と繋がった巨大プールと化しているそうで…そこから拾い集めてきてる感じですか。

 まさに共感覚、ニュータイプ的な(笑)。

 自分で考えてる感覚が希薄な分、他の人に比較して割と速筆かもしれないですね。


 ちう訳で、今回はのっけから波乱の幕開けで修羅場続きとなっとります。

 そう遠くない未来にあり得るかもしれない、「政府が宇宙人の存在を認めた」場合に起こり得るだろう市民の混乱ぶりを、宇宙人側の視点でシミュレートしとります。

 とりわけ農耕民族である日本人の場合、世間を震撼させるようなデカい事件が起きるたびに、なーんかすぐ「みんなで横並びで耐え凌ごうぜ。勝手は許さん!」みたいなイヤ〜ンな空気になるじゃないですか? いわゆる全体主義的な。

 東北大震災の直後なんて、東電や被災とまるで無関係な地域まで、夕方になると灯りを消して節電に努めたりね。

 逆に灯りをつけっぱなしだと、自称正義の味方に「こんな御時世にあんたは危機感ないんですか!?」って怒鳴り込まれたり。

 そーゆーアンタのオツムのほうが危機的状況だよ。ただでさえ停滞気味な経済活動を完全に止めちゃってどーすんの?(笑)

 そんなイヤ〜ンな感じを散々受けまくった頃の怨念を、これでもかと封じ込めときました。

 いや〜人間ってホンット、憐れな生き物ですね♩


 そんなこんなで、今回もまた前回以上にトンデモネー幕引きになっとりますが。

 ま、そろそろリタイアするキャラの一人や二人は出てもおかしくない頃合いですしねぇ…クッククック♩ 私の青い鳥♩

 こうした事態に直面したヒロインの心情をなるだけリアルに表現すべく、終盤はノーカットの長回しドキュメンタリーな感じに仕上げてみましたけど、如何なモノでしょうか?

 普通はここまでやんないだろ?ってことを平然とやってのける、そこにシビ以下略…と思って頂ければ幸いです。

 ちなみに作者自身は、いまだかつてこんな切迫した事態に見舞われた経験は皆無でして。

 すべては空想上の産物ですので、ちっがーうよバカちっがーうよ!(懐)と思った方はご一報ください。

 対処はしませんけど次回の参考にはしますので(笑)。


 てな次第で、いつになくダラダラ書いてしまいましたが、そろそろ毎週更新にも疲れてきたんで…ここいらで『第一部・完』とかにしときますか?

 え、やり逃げはダメ?(笑)

 はてさて、どー考えてもどーにもならなさそーなヒロイン夫婦の今後はどーなるのか、乞うご期待♩…フフリ(鬼)。

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