竹コップ
宿に戻った途端、わかばちゃんが起きた。
「おはよう、わかばちゃん。もう、屋台は決めて来たよ。」
「うん、お腹すいた。」
「一旦部屋へ戻って、さっぱりしてからでもええやん。」
ふわまろは、ずーとわかばちゃんを抱っこしてたので、疲れたんだろうな。
「お風呂に入ってからでもいいよね。」
「うん。」
森への往復だけでも、結構疲れる。僕もちょっと休憩したい。
お風呂から出たら、早速1階へ夕飯を食べに行った。
今日のメインは『ハンバーグ』。
何肉かは、深く考えない。
ふわまろは「チーズインハンバーグ」、僕は「おろしハンバーグ」、わかばちゃんは「ハーフハーフハンバーグ」。
ふわまろの、「チーズインハンバーグ」は、まんまハンバーグの中にチーズが入っていた。
まあ、これはわかる。
僕の「おろしハンバーグ」は、大根おろしに和風ソースがかかっていて、美味しかった。
この世界へ来て何度目か忘れたけど、昔の迷い人さんにお礼を言ったよ。
ちなみに、わかばちゃんの「ハーフハーフハンバーグ」は、熱々のハンバーグだった。
てっきり、「チーズインハンバーグ」と「おろしハンバーグ」が半分づつお皿に載っていると思った僕は、思わずハンバーグに突っ込みそうになったよ。
美味しい夕食をいただいた後は、屋台の小物の書き出し。
今回は、わかばちゃんも起きているので、今のうちに大筋だけ決めて明日わかばちゃんが眠っていても大丈夫なようにしたい。
「まず、メインカラーを決めよう。」
「メインカラー?」
「遠くからでも、屋台を見たときにわかばちゃんの屋台ってわかるような色が良いよね。」
「茶色と青緑か?」
「そうだね、屋台が木製だから淡い緑にする?」
「うん。」
「わかばちゃんの屋台なんだから、もっと一杯希望を出してもいいよ。」
「私は、美味しいジャムを売れれば満足。」
おっと、商業ギルドに入ってまで屋台をやりたがっていたから、こだわりがあるのだとばかり・・・。
「僕のホットジンジャーも売ってね。」
「ハルのホットジンジャーってどうやってうるの?」
「どうって、コップに入れて・・・。あ、紙コップもプラスチックコップも無いか!」
一応、紙は庶民にも行きわたってるけど、現代の日本のように使い捨ての紙コップや紙皿は売っていない。
「ちびっ子が、土でコップ作ればええんやないの?」
「そうか、土魔術で作ってもらえば良いんだね。」
「無理、数が多いとできない。」
「わかばちゃん、でもできない事あるんだね。」
僕がびっくりして言うと、ふわまろがボソッと言った。
「ただ単に、面倒なだけじゃ・・・。」
あ、わかばちゃんが目線を外した。
「まあ、コップを売るわけじゃないしね。コップ付だと値段が高くなりすぎるしね。」
「ああ、それやった。竹コップがええんやない?」
「竹コップ? そういえば、今迄屋台で買った果実水ってどうやって入ってたっけ?」
ふわまろが、竹で出来たコップと陶器のコップを出してくれた。
「これが、竹コップ。竹の節を利用した入れ物やな。屋台の果実水は、この陶器のコップに量り売りで入れてもらったん。」
「え? 容器持参なの?」
「ハル、1階しか使えない容器はあまりない。洗って何度も使うんだよ。」
さすがに、使い捨て文化は持ち込んでないか。良いことだ。
「じゃあ、お持ち帰りの紙袋とかもいらないね。あとは・・・、売り子用にお揃いのエプロンとかは? 色違いで、黒・茶・緑なんてどう?」
「え? 俺も売り子やんの?」
なんか、おままごとみたいでちょっと楽しい。
とか思っていたのは、僕だけだったみたいだ。
ふわまろは、飽きてるし。
わかばちゃんは、また眠ってた。




