第24話:停滞
あれから数日たったが、情報屋からの連絡は一向に来なかった。一応、一族の伝手で自分達も調べてはいるが成果は上がらなかった。
「完璧に手詰まりですね」
「まぁ、動くとしたら水葵の怪我が治ってからだし、ちょうどいいっちゃいいけどな」
「確かにそうだけど、長引けば長引くだけ彼女を不安にさせてしまうわよ」
「あの情報屋も口ほどにもない」
(何が東京で一番の情報屋だよ)
「そう言えば、雪は学校に行かなくていいのですか?」
お役目優先の自分達とは違い、雪が里を出たのは学校に通う為だ。今は非常事態故に自分達に付き合わせているが、本来の目的を忘れてはいけない。
「それがね。転入手続きがうまくいってないみたいなの。今はあちらからの返事待ち」
「何だよ、それ。いい加減だなぁ。他の学校にしたらどうだ?」
「うーん、こっちじゃ割と有名な私立の女子高なのよ。母様のお勧めだから、勝手に変える訳にはね」
「あ〜、それじゃあ無理だな」
疾風は、母親を思い出し苦笑する。
母親の意見を無視するとどういうことになるか、これまで嫌というほど解らされてきた、肉体的にも精神的にも。
「青嵐の奥方お勧めの学校とは?」
「鏡花女学院って処」
「鏡花? もしかしてここの事ですか?」
晶は、近くにあった新聞を広げるとある一点を指さす。疾風と雪は、その先に目をやるとそこにはこう書かれていた。
『高校で謎の爆発騒ぎ。爆発により敷地内の教会が全焼』
「爆発!? 危ねー、学校だな」
「原因は不明。時刻が真夜中だった為、怪我人はなしですって。もしかして、これで手続きが遅れているのかな?」
「あぁ、かもな」
疾風と雪は、あまり気にとめていないようだが晶は違った。この東京で原因不明の爆発騒ぎ。ということは、能力者が関わっている可能性が高い。ただ、一族の者が関わっているのかと問われれば判断が難しい。この地は、焔の管轄である為、他の一族が力を行使するより制約はない。しかし、一つの建物を全焼させる程の力が使えるかは微妙だ。
「まぁ、これからの為にもこの地で起きる事件の把握は必要でしょう」