表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

第23話:左京<3>

 「能力者?」

 「おや、青嵐の若君は、そんな事も知らないのですか?」

 「何だと!! さっきから、黙って聞いてれば何なんだよ、あんたは!!」

 

 それまで必死に耐えてきた疾風だったが、ついに左京の挑発に我慢の限界がきた。


 ダンッとテーブルを拳で叩くと左京に掴みかかろうと立ち上がる。そんな疾風を見ても左京は、悠然とした態度で座っていた。


 「疾風!」


 晶は、咄嗟に疾風の手首を掴み、それを阻む。しかし、疾風の気は収まらないようで晶の手を振り払おうともがいた。


 その時だった、扉を控え目に叩く音が聞こえたのは。そしてすぐに扉は開き、先ほど自分達を案内して来た女性が現れる。


 「オーナー」

 「どうしましたか?」


 女性は、左京に何か耳打ちをする。すると、一瞬だけとても楽しげな笑みを浮かべた。そして、突然商談の終わりを宣言する。


 「今回の商談は、これで終わりにさせて頂きます。結果の方は、どちらに連絡をすればよろしいですか?」

 「我々も独自で動きますので、椿さんの方へお願いします」

 「あぁ、彼女ですか。…………彼女にねぇ。いいでしょう、では数日中にご依頼を果たせるかと」

 「えぇ、お願いします。さぁ、疾風行こう」

 「はぁ? 何だよ、いきなり。まだ、話は終わってねぇよ」

 「申し訳ありませんが、次のお客様がいらっしゃいますので」

 「ほら、行くよ」


 晶は、立ち上がると掴んでいた手をそのまま引っ張り歩きだした。疾風は、左京を睨みつけながらもそれに従った。


 ここでこのいけすかない男ともお別れかと思っていたのに、何故か左京は、疾風達の後を追ってくる。


 「着いてくんなよ」

 「別に貴方方に着いてきた訳ではありませんよ。大切なお客様のお出迎えに来たまでです」

 「はぁ? 客の出迎え?」


 自分達の時とのあまりの違いに疾風は、左京に噛みつく。


 また、不穏な気配を漂わせる二人を見た晶は、小声で涯を呼び出す。


 「涯、申し訳ありませんが薫殿と二人で控えていて下さい」


 その声に涯は、薫と二人ですっと現れる。もちろん、姿は隠したままで。


 「何だ? 随分と殺気だってるな」


 疾風の姿を見るなり薫は、目を丸くする。基本的に疾風は、人との争いを好まない。なので、他人に対してあのように目を吊り上げる程、怒っている姿は、めずらしい。


 「ふふっ、保護者登場ですか…………。どちらが主何だか…………」


 そう言って笑いながら自分達を見てくる相手に薫は、驚く。まさか、一般の人間で自分達が見える程の力の持ち主がいるとは思ってもみなかった。


 (この男は、何者だ?)


 薫は、目を細め注意深く男を観察する。


 「…………何だと!?」

 「ふん、まだまだですね」


 いきり立つ疾風を左京は、鼻で笑うと表へと続くドアを開き出て行った。


 「こんな奴に仕事なんか依頼出来るかよ!!」

 「疾風!! 落ち着いて下さい。椿さんが彼だったらと紹介してくれたんです。依頼した件を私情で取り消すなんて事、彼女の面子に泥を塗るつもりですか?」

 「…………分かったよ」

 「申し訳ありませんが、依頼は続行という事でお願いします」


 晶の横で、自分から顔を背ける疾風を眺めながら、左京は頷いた。


 「ふふふ、若いですね。まぁ、今回はお得意様の顔をたてて引受けましょう」

 「よろしくお願いします。ほら、疾風行くよ」

 「うっせーな、ムカつくんだよ。このおっさん」

 「疾風!!」


 左京に掴みかかろうとした疾風を見て、薫は姿を表し後ろから羽交い絞めする。

 その時、凛とした少女の声が店内から響く。


 「ここは公共の場よ。静かにしなさい、少年」


 そう言って立ち上がり、自分達に近づいてきたのは、以前会った九重 沙紀という刑事だった。


 「何だよ!! ………ってあんたはあの時の刑事さん」

 「あなたも公共のマナーぐらい分かる年齢でしょう。左京、あなたもからかわないの」

 「これは、お嬢様。何かご依頼で?」


 左京は、態度を一変させると、沙紀に対して恭しく一礼した。


 「ええ、そうよ。ここに書いてあることを調べてちょうだい。とりあえず1枚目は、早急に。2枚目以降は、時間がかかってもいいから詳しく」


 そう言うと2枚の書類を手渡した沙紀は、すぐに帰り支度を始めた。


 「承知しました。そのご様子ではもうお帰りで?」

 「ええ、早く帰らないといけないから。失礼するわ」

 「よろしければお送りしますが」

 「けっこうよ。少年、左京と取引したければもう少し大人になりなさい」

 「分かってるけど、こいつが……」

 「あなたがそうやってすぐ反応するのがおもしろいのよ。一緒にいるお友達を見習いなさい」


 沙紀の言葉に疾風は渋々頷いた。


 「じゃあ、失礼するわ」


 軽く会釈をすると沙紀は、店から出て行った。


「では、我々も失礼します。ほら、行くよ」


 晶は、この争いが止んだ隙を逃す手はないとばかりに疾風の腕を掴み店から出た。しかし、店から出る瞬間、また後ろから笑を含んだ声がかかる。


 「またのお越しをお待ちしております」

 「誰が来るか!!」

 「疾風!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ランキング

HONなび
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ