第二十五話 衝撃の正体説
ボンドとリナが来た道を戻って行く。
駆け足で。
「ねぇ! ボンド!」
「何だよ! リナ‼」
ボンドとリナは手を結びながら進んで行く。
「何処に行くの?!」
「……--どっかだよ! ここじゃない場所だ!」
「どっかって何処よ!」
無意味にリナはボンドに食い下がる。
ように訊く。
「そんなのッ!」
当の本人も。
《どっか》が何処とも言えない。
(魔法界に連れて行けばいいのか?! ぃ、いや! っでも!)
人間自体をーーボンドの世界には連れては行けない。
毛嫌いされているからだ。
「それはっ! 外に出てから考えりゃあいいんだよ!」
「何、ソレ‼ 適当なことばっか言わないでよ!」
「いいから! 黙ってついて来いよ‼」
『考えなしで行くの? ボンドも大概ね』
ボンドのもう一つの手には。
鬼灯トントの端末ーー《パドラBOX》
半透明の四角く液晶画面。
彼のありとあらゆる研究の全てを。
コピーや、ダウンロードをした。
まさにーー《未曾有》
『ねぇ。ボンド』
「何だよ! 何かいいこと思いついたのかよ!?」
『《人円類》のことを教えて?』
「ああ! んでもって、いい案を出して欲しいもんだぜ!」
ボンドはバーチャル初号のサト江に。
自身の正体を包み隠さず。
彼女に伝えた。
恐らくーー彼も《人円類》側の人間だとも。
罠をサト江によって避け。
あっという間に。
研究施設の一階に戻った。
辺りは静まり返っていた。
「……--静かだな」
「防音仕様だからだわ! きっと!」
『ええ、防音壁よ♪ 流石、お姉ちゃん』
冷やかすかのように、言うサト江に。
「止めて! 反吐が出るわ!」
リナも端末に吐き捨てた。
『あらら♪ 酷い言われね♪』
「あんたねぇ‼」
「いい加減にしろよ! お前らッ!」
間にボンドが仲裁に入った。
それに納得いかないリナは、
「だって! ボンドッッ!」
言い返そうとしたが。
「今は、そう言っても居られないだろう?! だろう?!」
眉間にしわをよせ。
強い口調で言うボンドに。
「--……分かってるわよ! もぅ‼」
ついにはリナも折れてしまう。
「じゃあ! こっから出るぞ? いいな?!」
「‼ ええ! 行きましょう‼」
広い通路を来た道へと走った。
すると。
「「!?」」
小型と言ってもいいが。
リナやボンド以上も大きい蜘蛛が四匹。
目の前に。
いやーー囲まれてしまう。
『あららー~~囲まれちゃったわねぇ♪ ボンド』
「ああ! そうだなァ‼」
ボンドの声も強張ってしまう。
だが。
「っだ、りゃああああァアアッッ‼」
シャベルを武器に。
リナが蜘蛛へと向かった。
「り、リナ‼」
『勇ましぃわね♪ ……教えようかな?』
「! いい! 教えなくたっていい‼」
『…どぉしてぇ? 教えてよ♪』
蜘蛛の正体。
『元、島民だって。言ってもいいじゃない♪ ボンド♥』
鬼灯トントが水源にいれた薬品。
体内に蓄積され、何らかの仕組みによって。
人外となったーー《光圀島》の。
リナの友達や、両親の成れの果てである。
「止めてくれ……頼むよ。本当に、本気でさ」
目の前で繰り広げられる。
蜘蛛と、人間との闘いの場面。
ボンドの目が涙潤む。
『言わない方が。結果として恨まれるのは君だよ? ボンド』
「恨まれたっていいさ。生きててくれるなら、喜んでーー」
『ボクにも見せてよ。記録したいんだ』
ボンドは言われるがまま。
サト江に見せた。
『--《記録録画》開始』




