表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/29

第十四話 世界の中心

 真っ暗な通路には、バーチャル初号のサト江の姿もない。


(っこ、この展開は、何なのよ‼)

(恐らくだけどよォ。あいつらはーー)


 ゆっくりと歩き出す。

 近くに寄れば、白い衣類が破けた。

 彼らが身体を小刻みに揺らしながら。

 立ち竦んでいた。


(光と、熱かなんかを頼りにしているに過ぎない)


 息を潜めながら。

 ボンドがリナに言う。

 そこ言葉に、

「んな訳がーー」

 顔を近づけた瞬間。


「ッシャアアアァあああッッ‼」


 鋭利な牙がリナへと向かった。

「!?」

 突然のことに、リナは防御もままならない。

「っこ、馬鹿女ッ‼」

 慌ててリナを片手で持ち上げ。

 ボンドが、そいつを蹴飛ばした。


 ッガ、ンんンッッ‼


(いいから黙ってろよ! 死にてぇのかよ‼)


「--……っく!」


 ◆


『母はいつだって自分中心に回っているんだ』


 ◆


 ふとだったが。

 バーチャル初号のサト江が思い出した。

 それに、反射的に訊き返してしまう。

『それはキミも同じじゃないか。トント博士』


 見えないようになっていた彼女に、

「誰だって……いや、俺だってーー同じは嫌だね」

 ボンドが呟くように言う。

『--《人円類ウロボロタルト》は、本当に面倒な生き物だよね』

 次いでサト江も、強張った声で言う。

(何? 俺たちを馬鹿にしてんの??)

『まさか、まさか♪ そんな、そんな♪』


 言い合いながらもリナを抱えたまま。

 ボンドが突き進んでいく。


 ただ。


 たまにーー死体に触れてしまい。

 攻撃を受けるも、何とか防御した。


「あのさーいい?」


(何だよ! 大きい声を出すんじゃねぇよ!)

 リナを胸元に下して、顔を額をつけながら言う。

 唾が勢いよくリナの顔に飛び散る。


「……一か所に、ライト点けとけばよくない?」


 そのリナの言葉に。

 ボンドの目が泳いだ。

(だ、と言う案が……案だが。サト江)


 ぱっちん!


 サト江が照明を操作して。

 二人から離れたところに点けると。

 勢いよく、走って行った。

 巻き込まれないように、壁に身体を寄せ。

 事なきを得るのだった。


「……何だったの、結局ーーあれは」

「さァ? どうだっていいさ。リナ?」

「? 何よ」


「お前、ダイエットしろ! めっちゃくちゃにおっもい‼」


 ボンドの一喝に。

 リナも拳を握った。


「--~~これでも、っに、二キロ痩せたのよ‼ 死ね‼」


 ◆


 通路を進むと。

 そこには大きくも、頑丈だと分かる扉があった。

 ガラスの窓から覗く室内には。

 大きな液晶が幾つもあった。


 液晶には様々な映像が流れていた。


「……この中に。マッドサイエンス野郎が居るんだな?!」

『居ないわ。何回も言わせないで』

「居ないってんならよぉーこんな、地下の研究所に何だっーー」

 リナがボンドの口を手で覆った。


「--……殺す気ね? 私たちを!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ