第十三話 前方の危険
『莫迦にも色々、個々があるわ』
ボンドとリナを引き連れながら。
そうバーチャル初号のサト江が言う。
それにリナも、
「馬鹿は馬鹿よ! 以上も以下だってーー一緒よ!」
サト江に言い返した。
ボンドは、我関さずとばかりに、大欠伸をしていた。
だが。
それはーー何の前触れもなく。
『気をつけて。二人とも』
低い声がサト江から吐き出された。
彼女の異変に、ボンドも。
目をつり上げた。
「気をつけろたってよォ? 何にからだ……--よ?」
明るい通路の前方に、何かが動く影があった。
それは人の形ーーのような、人間に近いモノ。
「何なんだよ! ありゃあよォ‼」
「--……ホラーゲームのような」
「今はそれから離れろよ! ゲーム脳!」
そう罵られたリナは、
「だって! そうじゃない、この展開!」
「ならそれでもいい! 何か案はねぇかよ!」
前方から来るソレ達は。
異様に歩くのが遅いのだが、数が多く。
隙間がない。
サト江はいいとして。
ボンドと、リナが通れない。
直接対決のような構図になってしまう。
戦えるのが唯一としてリナのシャベルだけ。
「本当にあんたって、役立たず!」
「! だーかーらー~~お前らが居る世界じゃ使えないの! しつけぇなァ!」
「「--~~ッッ‼」」
リナとボンドが顔を近づけ睨み合う。
それにサト江が。
『? リナ、この少年は誰?』
ようやく、ボンドのことを訊いた。
気づかなかったのか。
どうでもよかったのか。
それが彼女の中でどうなのかは不明だったが。
ただーー彼に興味が湧いたのだ。
「剣ボンドっていう変人! 頭おかしいのよ! こいつ!」
前方のため立ち止まりながら話していた。
リナはボンドの頬を指先で突いた。
「おい! やめろよ! くそ女~~ッ!」
「はぁ?! 誰がくそ女よ! っざけんな‼」
『--ボンド。貴方、どなた?』
落ち着いた様子でサト江が訊く。
それにボンドも。
「あ゛? 《人円類》だよ! 何か問題でもあーー」
『じゃあ。あの人と一緒だね♪』
「? あの人ってのは??」
「‼ 来た!」
じり。じり。
ぞろぞろーー……。
「案だって? っそんなもん‼」
ひゅん!
「ない!」
ガッシャーーン‼
リナがシャベルを彼らの脳天に。
彼らの肩を。首元を。
勢いよく切り刻んでいく。
のだが、彼らは立ち上がる。
「キリがないんだけど!? キモイ~~‼」
彼らは真っ青の顔で。
皮膚は爛れーー開けっ放しの口からは血が混ざった涎が垂れていた。
そして、何かを呟いていた。
『声に耳を貸さないで。意識を持っていかれちゃうから』
サト江に頷きながらボンドが言う。
「訊かざるね」
『ええ。そうね』
「じゃあ。見ざるってのやって見っか?」
『面白いね♪』
カッ!
サト江がそう言うと、通路の灯りが落ちた。
突然に真っ暗闇になってしまい。
「っきゃ! っちょ! ボンド?!」
「ここだ。くそ女」
ぐい! とボンドがリナの腕を掴み。
胸元に引き寄せた。
もっふ。
もふもふふ!
「……人狼化、したの?」
「半分な」
「全身毛まみれなの? 見たいかも」
「いいから! 黙ってろよ! ったく!」
リナの口をボンドが手で覆った。
「息を止めろ!」




