第八十四話 森林エリア
120万PV、14万ユニークありがとうございます。
10層のボス戦を軽く突破し階段を降りた先には、見渡す限りの森が広がっていた。
「……ここってダンジョンだよな?この下に広がってる森……って、え?マジか。ルー、お前が隠してたのはこれか」
視界一面に広がる緑を見て戸惑いながら口にする。
『うむ。我も最初は驚いたのだがな』
「ここは森林フロアと言うのですよ〜。11層から20層まで一つのエリアとして存在するんです。ちなみに21層から下もまた別のフロアになってるんですよ〜」
事情に詳しいスーがそう説明する。
「あとですね〜、森のちょうど真ん中に見えてる大きな木があるじゃないですか〜。あそこに下の階層に続く階段があるんですよ〜。因みにですけどその階段は自由に通れるんで、このまま一直線に行くのも有りですよ〜」
「あれ、勝手に通れるのか?ボスモンスターとか倒さないで良いのか?」
「ここ以外のフロアは違うのですがここに関してはそうですね〜。一応20層まではお試しフロアとも呼ばれているのでそこまで難しい難易度には設定してないんですよ〜」
「なんか設定っていきなりメタくなったな。でも、これ俺たちにはスーがいたから良いけど居なかったら何をすれば良いかもわからないで戸惑うんじゃないか?」
スグルはそう聞くと、
「そこまで手は回りませんよ〜。分からないなら帰ってもらってどうぞです〜」
と身もふたもない答えが返ってきた。
自分はアルラウネだから基本他のモンスターから狙われる心配は無かったのだとか。
このエリアにいるモンスターの種類は100種類以上いるんだとか。
など、様々な事を聞くことが出来た。
その後、森の中に入っていった。
森の中は普段から探索して居たこともあり、そこまで戸惑うこともなくむしろテキパキと動くことが出来るようになっていた。
森の中で襲って来るのは10層までのゴブリンと取って代わってパラライズモンキーや岩猪、モモンガや巨大な蛇など多岐に渡ったモンスター達だった。
いずれもレベルが20以上とそれなりに高く、しかも知性を持ってそれぞれのモンスターが人間のように連携までして来るので厄介である。
しかしモンスター達にとって不運だったのは、自分たちがスグルから見て見たことがないモンスターだったという事だ。
取り敢えず使えるかは分からないが、倒したことのないモンスターの討伐で手に入る探索者の経験値は大きいので率先して倒すことにしていた。
その為、出会ったモンスターは片っ端から夜鳴の錆にすらならず消えていった。
他のエリアについてはスーも知らないらしいが、このフロアに関して言えば青空なんかも有り、雨が降ることもあるらしい。
「雨がないと作物育てられませんよ〜」と呆れ顔で言われたのには心底腹が立ったが。
実際、ここは途方もなく広い。
10層からの階段で降りてきた時このフロアを見渡すことが出来たが、それでも中央に位置しているらしいあの巨大な木がかすかに見える程度だった。
アレまでの距離を半径とした広大なエリアの中で薄暗い森の中を移動するのはかなり方向感覚が散漫になる。
「そう言えばさっきここ以外にはボスがいるって言ってたよな。お試しってのが終わったらどんなのが待ってるんだ?」
「そうですね〜。残念ながらわたしが説明するよりも見た方が早いんじゃ無いでしょうか〜。話せることとしてはボスについてですかね〜」
「じゃあそれで頼む」
「良いですよ〜。と言っても知ってることは限られてるんですが〜。おほん、ここは森フロアで、まあお試しなのでフロアごとのボスモンスター、通称フロアボスは居ないのですが他のエリアには居るんですよ〜。
因みにですが一つのフロアは10層纏めで存在し、広さはみんな一緒ですね〜。で、フロアボスは通常モンスターと同じようにエリア内を自由に徘徊することが出来るんですよ〜」
なんじゃそりゃ、と思いながらもこの世界なら有り得るかと納得し話を聞く。
「勿論、フロア自体かなり広いのでなかなか出会えないと言うこともザラらしいですね〜。フロアボスを倒さないと下の階層、もしくはフロアに降りることが出来ないのでそこは頑張って下さいとしか言えないんですが〜。まあ知ってるのはこの程度ですね〜」
「いや、十分助かった。で、目的地はそろそろなのか?」
既に森の中に入って1時間以上が経過、倒したモンスターも100匹を超えている。
一向に変わらない森の木々のみの景色もいいが、そろそろ他のところに出たいと言うのが本音だった。
「もうすぐのはずですよ〜。ルーさんもそろそろ知ってる場所じゃ無いですか〜?」
『……うむ。匂いが近ずいている』
「いや匂いなんてわからんが……どこに向かってるんだ?そろそろ教えてくれてもいいと思うんだが」
「ふふん、まだですよ〜。もう少しだけ歩いて下さいね〜」
そう言って肩の上で足をぶらぶらと揺らしているスーにため息をつきながら言われた方に進んで行く。
さらに5分ほど歩いたところで、急に森が途切れた場所に出た。
一瞬森が終わったのかと思ったが上から見た限り一面木々の深い緑のみだったのでそれは無いかと思う。
「着きましたよ〜。ようこそ、わたしのお家へ〜」
広がった空間いっぱいに広がる花畑を背に両手を広げたスーがそう朗らかに言った。
随分テンプレートを持ってきてしまったかな……
評価、ブックマークよろしくお願いします!




