第三十話 鉱山を掘ろう
「……マジかいな。いや、え?マジか」
「すっご〜!え、何これ!」
「これはボクも驚いたね」
3人とも驚いているようだ。
いや、俺も含めて4人か。
正直、地面の下からゴゴゴって感じでちょっとした小山が出てきて後は露天掘りしないとダメなんて感じのちょっとした意地悪を仕込んでくるかと思っていただけにこれほどの大きさというのはかなり驚いた。
「んじゃ、見てるだけでもアレやし早速中に入って採れる鉱石の調査でもしましょか」
比較的回復が早かったのだろうか、ダンテが声をかける。
「ちょい待ち。この鉱山は今出来たばかりだぞ。坑道なんてあるわけ無いだろ」
「……そういえばそうやった」
やはりまだ落ち着いてないっぽい。
「んじゃ、早速今日から職人さんらには掘っていって貰おか。ちょっと呼んでくるからここにも扉設置してや」
「良いのか?そんな簡単に使っちまって」
「わいが1週間言うたのは既に坑道があることを含んでしもうてたからな。今から作って行くなら軽く1週間なんて過ぎてくやろ。それなら今もう設置した方が楽なんや」
「まあダンテがいいなら大丈夫か」
そしてパパッと次元の扉を設置する。
出る場所は同じくダンテの店の裏。
「出来たぞ」
「今回は早かったな」
「二度目だからな」
「じゃあちょいと行ってくるわ」
「信用できるやつだけ連れて来いよ」
「当たり前や」
そう言ってダンテは扉の向こう側に消えて行った。
「そう言えば二人とも知ってる?フィールドボスシステムが廃止されたみたいだよ」
「「マジで!?」」
「なんかフィールドごとにボスがいるのは普通のRPGとしては当たり前だけどこの世界はいつでもボスがいたらおかしくね?って事で廃止になったみたいだね。ただその分ダンジョンとかでは普通にボスがいるからそっちで素材を集めたりすることはできるらしいよ」
「そっか。フィールドボスが消えてもユニークはいるんだよな?」
「ユニークは関係なく存在するよ。出現率の悪さから結構批判の声も届いているらしいけど」
「とってぃさんよく知ってたね!ミウは全く知らなかったよ」
「ちょっと小耳に挟んだだけだよ」
適当に会話をしているとダンテが戻ってきた。
後ろには6人程引き連れている。
「おう、待たせたな」
「その後ろの人たちが?」
「わいの店で鍛治部門を任せとるガルとその幹部さん五人や。お前ら、こいつがスグルや。あと水色のちっこいのがとってぃに銀髪のちっこいのがミウや」
「「その説明はなんだ!」」
ちっこいのと言われた二人がダンテに食ってかかる。
そして後ろに控えていた六人のうち一人が前に出てきた。
「俺はガルだ。ベータではマリの姐さんにシゴかれててな。その時から噂は聞いてるぜ。勿論そっちの二人もな。これからよろしく頼むぜ」
そう言いながら手を差し出してきたのは丸太のように太い腕を丸出しにしている髭が濃い男だった。
差し出された手を握り返す。
「こちらこそよろしくお願いします。今日から取り組んでいただく、という認識でいいんですか?」
「ああ、そんな敬語なんて使うんじゃねえ。言うならそっちの方が雇用主。立場は上だぜ?」
「……では失礼して。よろしくな、ガル」
「それでいい。でだ、勿論今日から掘っていく。必要なことはさっき大まかに聞いてきたが一応念のためにもう一回言っておいてくれ」
「わかった。まずは俺に報告、渡してもらう。そして必要な分をダンテが言ってくるからそれに応じて渡すことになる。ちなみにダンテ、彼らの賃金はどうなっている?」
「一日あたり5000ゴルド。少し高めやけど口封じの分も入っとる」
「ならそれで良いか。もし鉱物で欲しいのがあったらダンテに言うことだ。卸値で買わせてもらえるだろう。あと一つ忠告を。勝手に盗もうなんかするなよ。まあダンテの部下なら心配はいらんか」
「心配は無用だ。あんたは敵に回したくない代表だしな」
「おっしゃ。自己紹介は済んだやろ。んじゃガルらは早速掘ってってくれや」
「了解だ、ダンテの旦那」
ガルと後ろにいた人達はゾロゾロと鉱山に向かっていった。
なんと言うか、お疲れ様だ。
「じゃあミウは攻略に戻るね。こっちのフィールドは高く売れるものが多いから儲かるんだよね〜」
「ボクもついていっていいかな?あ、これスグル達のお弁当ね!」
「全然大丈夫!じゃあ二人でいこっか!」
「ここで取れるんはレベル高いもんが多いからうちに卸してくれると助かるで」
「じゃあまた持ってくね!」
ガル達の流れに乗じてとってぃが弁当を渡した後、ミウたちは何処ともなく歩いていった。
「あ、そうだダンテ」
「なんや、まだなんかあるんか?」
「明日予定空いてるか?」
「無理矢理開けることならできるがなんかあるんか?」
「明日始まりの町のギルド長達と会う。で、この建国の事も言っておいた方が良いんじゃねえかと思ってな」
「いや……あんさん急に何言うてんねん。マジで」
やっぱり急だったかね。
でも誘われたのが昨日だったし仕方ないよな。
そんな事をダンテに言うと、
「な訳ないやろ!昨日言いや!準備する暇も無いやんか。だいたいそれは明日のいつ、何処であるんや」
「すまん、まだメッセージが送られてきてな……」
ピロン、と軽い音が響く。
ちょいと失礼、と断りを入れてからメニューを開くとメッセージに新着が一件。
タイミング良すぎだろと思いつつメッセージを開くと案の定リーシェさんからだった。
手早く読みつつ、もう一人顔合わせに連れて言って良いかと返信する。
すると直ぐに『別に良いよ〜』と言うコメントが帰って来た。
「あー、すまん。今メッセージが来たわ。もう一人連れて行ってもいいってさ。冒険者ギルドの会談室に9時集合って事で」
「ちょい、勝手に話進めんなや。誰も行くなんて言っとらんやろ」
「行っといた方が良いと思うぞ〜。この町のギルド長ってことは実質町のトップ達だ。前に始まりの町との繋がりが持ちにくいって言ってただろ」
「建国の事も言うつもりか?」
「ああ、少し調べてみたらわかった事だが始まりの町は最近まで霧で隔離されていたらしい。ただ俺のルーが移動した事で霧が晴れ、他国が向かってくる可能性があるって事だ。それならいっそ協力関係になってもらったら一気に建国が楽になる」
ほんとは殆どがリーシェさんに教えてもらった事だが、ここは自分が知ったと言っておく。
「はぁ、しゃあないか。後でゆいにもこの事は言っておくわ。と言うかゆいも連れてこか。いや、連れてく。わいらのリーダーはあいつやからな」
「それも大丈夫だな」
「じゃあ早速建設作業も前振りで進めんといかんか。ったく、あんさんのせいでやることが増えぱなしや」
渋っているが、笑いを含んでいる。
既に次の算段を頭の中で弾き出しているのだろう。
「あ、言い忘れてたが明後日から俺は始まりの町の使節団とやらでしばらく町から離れるけど頑張ってな」
「……あ?」
最後にもう一つ爆弾を落とした。




