第二十九話 名付けと鉱山
次の日、10時きっかりにダンテのところに向かう。
すると、他にとってぃとミウが座っていた。
「なんでとってぃまでいるんだ?」
「ボクがいちゃいけないのかな?せっかくお弁当持って来てあげたんだけどね」
「いや、全然問題ない。というかありがとうございます。で、ミウは?」
「そこにネタがあったから!」
「某記者さんみたいなこと言うんじゃない」
「まあまあ、ほな行きましょか。取り敢えず扉の設置はこの商館の後ろで頼みますわ」
ダンテの商館はかなり広い。
建物もそうだが、敷地で言えば小さなショッピングモール1つ分はあるだろう。
その内容は表に商館、後ろではプレイヤーやNPCの職人を雇い生産する場所を設けている。
職人たちは素材や経験値、賃金が貰える代わりに作成した商品を提供するというウィンウィンのシステムらしい。
ダンテによると生産職200人、接待100人程度ほど雇っているらしい。
「んじゃ、適当にここに設置してな」
「ほいほい」
アイテムボックスを開き宙に出たウィンドウに手を突っ込む。
普通、通り抜けるはずの手のひらはウィンドウが隠すかのように姿を見せない。
(次元の扉)
頭でそう念じると、手のひらに何かが付着した。
それをウィンドウから引っ張り出すと見た目は次元の鍵で出てくる扉と同じ風貌の扉が出て来た。
それを完全にウィンドウから出すと指定された場所に置く。
ちなみにアイテムボックスの機能で、出したものは一定時間手に負荷がかからない仕様になっている。
「おし、上出来やな。これを開いたら向こうのフィールドに繋がってんのか?」
「ちょい待ち。設定は俺しかできないみたいだから直ぐにやる」
そこにただ置かれただけの次元の扉に手をかざすと、メニューと同じ半透明のウィンドウが開く。
そこにはいくつか設定する項目があった。
まず最初にこの場所に扉を固定化させる。
次は出る場所を設定するっと。
あれ?出来ない。
いつもの場所で反応しない。
…そうか、あの場所には明確な名前がなかった。
こんなダンテの裏でも一応"ダンテの商館の裏口"という名前が付いている。
ということはあのフィールドに名前つけなきゃいけないのか。
「すまん、あっちのフィールドに名前が付いてないから設定できなかった」
「あー!じゃあミウが付ける!前のダンジョンで言ってたしね」
「そう言えばそんなこと言ってたな。じゃあミウ適当にあの草原にいい奴つけてくれ」
「いいなー。ボクもつけたかったんだけど」
「じゃあとってぃは別の場所を付けてやってくれ。俺は特に付けたい場所が無いからな」
「そう?ありがと!じゃあ今日は名前つける場所も見つけなくちゃだね」
「わいも付けて見たいんやが……」
ダンテをスルーしながらわいわいと喋ってる。
しばらくしたらウーと唸っていたミウがいきなり顔を上げた。
「決まったよ!」
「おお、早かったな。で、どんな名前になった?」
「あの草原はミウがシェル草原と名付ける!」
「良いんじゃない?」
「ああ、良い感じの名前だな」
小さくピカッと目の前が光った。
今更と言えばそうだが、ようやくあの草原にも名前がついた。
シェル草原と名付けられたいつもの草原に次元の扉を固定化させ、扉をくぐった俺たちはシェル草原に来た。
「じゃ、まず今日の1つ目の案件はクリアだな」
「まだあるの?」
どうやらミウたちは知らされていないらしい。
「鉱山を作るんだよ」
「ええー!?」
「そりゃまたびっくりだね」
とってぃはあんまり驚いてないみたいだな。
ミウも少しは見習ってほしい。
「なんで鉱山!?」
「いやなんかランキング報酬でそういうのあったからさ。さっきの扉も報酬の1つ」
「ええー!いいなー!ミウなんてユニークスキル1つだけだったよ!」
「いや、それも十分すごいと思うんだが」
「ちなみにボクはキッチンと調理器具の上位セットを貰ったよ。マリと同じで収納可能のやつ」
何せユニークスキルの強さは【食は大事!】でよく知ってるからな。
どうせミウのも破格の性能だろう。
それにとってぃはキッチンと。
つまりどこでもとってぃの料理が出来立てで食べれるようになったってことか。
最高だなそれ。
「で、鉱山はどれくらいの規模なんや?」
「ざっと10キロ×15キロらしい」
「わいはあまり鉱山の大きさは知らんのやが大きいんかそれ?」
「かなり大きいぞ。昨日暇だったんで調べて見たら最高峰にでかかった」
「その大きさやったらこの草原は丸々埋まりそうやけどな」
「もちろんこの草原に作ったりはしないさ。丁度北の方でルーの脚で30分程言ったところに砂漠っぽいのがあったからそこに作れば良いんじゃないか?」
「そんなところがあったんか。取り敢えずそこに見に行くことは出来るか?」
「もちろん出来るぞ」
再び次元の鍵を使い、砂漠に空間を繋ぐ。
どうやらこの鍵は扉とは違い言った場所にならどこでも繋げることが出来るらしい。
現れた扉をくぐると砂丘に出た。
後ろを振り返ると後ろには緑が多少だがあり、丁度境目が見える。
砂漠といってもそれほど日は照っておらず多少暑いと感じる程度だ。
それにここは前に探索したがモンスターも何も出なかったし素材アイテムも全くといって良いほどなかった。
ここなら鉱山を作るのに最適な場所だろう。
そのことをダンテに話すと頷き、
「そうか。ルーの脚で30分ちゅうことは大体草原から50キロ程度やろ。それくらいの距離なら運ぶのも簡単やし、ここに作るのでええと思うで」
「じゃあそっちもパパッと片付けますか」
メッセージから鉱山作成のボタンを押す。
こっちの報酬はアイテムじゃないからアイテムボックスに入れることができなかった。
場所は……あ、また名前決めないと行けないのか。適当にアツクナイ砂漠でいいか。
アツクナイ砂漠を設定っと。
掘れる鉱石は分からないのか。
こういうところは不便だな。
まあなんでもわかったらつまらないか。
所有者の欄は勿論俺、出現モンスターは設定しないでおこう。
掘ってる時に襲われるメリットなんてないから。
鉱山作成のページを一通り埋め終わった俺は【完了】のボタンを押す。
すると目の前が急に光った。
ヤバい、この光は目が焼けそうだ。
幸い、暫くして光が収まった。目を開いた俺たちを待っていたのは、ひたすらに長く、高くそびえている焦げ茶色の山の姿だった。
主人公らが何やら別のゲームになってる気が...
なるべく戻してこ〜




