代わりのカップ麺
上上手取は、静寂に包まれた部屋 が舞台で『ハンバーガー』が出てくる明るい話を1500文字以内で。持ち時間は一時間。
ハンバーガーの包み紙を解きお皿の上にセット! ナイフとフォークを用意! 椅子に座っていざ!
「いただきます」
ちょっとシャレオツなハンバーガーの食べ方を俺はためしてみることにした。
どこぞの雑誌で見た高級料理店でのハンバークの食べ方である。手づかみではなくナイフとフォークを使う。こんな食べ方があるのかと驚愕したものだ、それで今日は誰も居ない時を見計らって家でその食べ方に挑戦、というわけだ。
まずは上に被せられたパンズからいただく。さすが全国チェーンの大衆食。具の熱気で湿気ってフニャフニャだ。俺はそれをナイフとフォークで切り分け一切れづつ口にする。
はむゅ、むぐゅ、もぐっ……
フニャフニャの歯ごたえのないパンズがなんとも言えない感触を醸し出す。
続いてレタス。これはフォークで突き刺しそのまま口にする。レタスだね。うん、しなびたレタスだね。
さて次はいよいよお待ちかねメインとなるハンバーグだ。これが挟んであるからハンバーグだと言っても過言ではないだろう。いわばハンバーグの中の王。俺は今からそいつに手を付ける。俺はハンバーグに切れ込みを入れようとして、
「一体どんな食べ方をしているんだ弟よ」
帰ってきた姉ちゃんに呆れられた。
「お前バカか? ふつう縦に切るだろ縦に。上から一枚ずつはがしながら食べていくってどんな馬鹿だ」
バカバカいうなし。これが今話題の食べ方なんだい。
「それがまちがっているというに。それにしてもマヨが足りなくないか?こうぐにーっと」
ああーっ!! 哀れハンバーグの上には姉ちゃんが持ち歩いているマイマヨによってみるも無残な姿に!!
俺は姉ちゃんに向かってだんごとした抗議をする。俺は姉ちゃんみたいなマヨラーじゃないんだ! こんなマヨネーズだらけのものなんて食べられないよ!
「わかったわかったそう怒るな。代わりになんか作ってやるから」
やった。こうみえて姉ちゃんはかなりの料理上手なのだ。今日は家に誰もいないからハンバーガーを買ってきたんだが美味しい料理が食べられるならそれに越したことはない。一体何を作るのかな? 楽しみだなー。
「三分間待つのじゃぞ」
そう言って俺の目の前に置かれたのは早い安いうまいのカップ麺。正直コレはないと姉ちゃんに講義しても「材料がない」と一蹴された。
あうあうと、俺は涙を流しながらカップ麺をすするのだった。
なおマヨまみれのハンバーガーは姉ちゃんがおいしく頂きました。
2月に自サイトに投稿した分はここまでです




