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苺のケーキ(食べかけ)

上上手取は、静寂に包まれた部屋 が舞台で『傘』が出てくるご飯を食べる話を3500文字以内で。持ち時間は一時間。

 カチコチと時計の音がやけに耳について僕は目を覚ました。頭がぼぉとする。


 ああ、そういえば今日は風邪をひいて学校を休んだんだっけ。


 回らない頭でそんなことを考える。枕元の時計を見やれば午後一時。朝ごはんも食べずに寝込んでいた僕のお腹はく~と可愛らしい音を立てた。


 自分の部屋からリビングへと階段を降りる。おぼつかない足取りながら足を踏み外さないようにそ~っとそ~っと、ゆっくりとおりた。

 辿り着いたリビングのテーブルには母からの書き置きが一言。


 ”ガッツリ食べて早く風邪なんて治しちゃいなさい”


 ……お母さん。病人にコンビニのハンバーグ弁当はどうかと思います。試しに蓋を開けてみたらむせ返る肉の匂いにくらくらするよ。おかゆとか栄養ゼリーとかはないのかな……。そうやって僕は台所をゴソゴソと調べたのだけれど胃に優しそうなものはなにも見つけることができなかった。


 ……なにか……たべるもの……


 ふらつく頭でなにもないなら買い物に行けばいいんだと思いたち玄関へ。ドアを開けたら雨が降っていたので傘をとりに行ったん戻ろうとして僕の身体は誰かに抱きかかえられた。


朝日(あさひ)! お前なに出歩いてんだ!」


 おおう、きみは僕の幼なじみの優木(ゆうき)クンじゃないか。今日は一緒に学校に行けなくてごめんね。


「おおう、ってかそれは気にしてないけどどうしたんだよお前、病気なのにこんな玄関でぶっ倒れそうになって」


 それに返事をするかのように僕のお腹がく~と音を立てる。は、恥ずかしい……ってちょっとまて、たしか僕の今の格好って……

 キャー! キャー! キャー!


「うわっ、こら朝日暴れるな! 変なところが当たるっ!!」


 うう、見られた。見られた。バジャマ姿をこいつに見られた。こんな姿見てこいつ幻滅したんじゃないか。そう考えてる最中にまたおなかがく~と鳴った。


 ねえねえ、優木クン。ちょっと足になってくれない?


――――――――


 優木クンにおぶさってコンビニに行こうとしたら何故か僕の部屋へと運ばれた。


「コンビニへは俺が行ってきてやるから代わりにこれでも食ってろ」


 そう言って差し出されたのは富士屋の苺ショートケーキ。おお、優木クン、ナイスセンスだね。


「お見舞いってやつだよ、お前の好物だからな。」


 おお、神様仏様優木様~ありがたやありがたや。


「お前本当に風邪引いてるんだな」


 なにか失礼なことを言われた気がする。だがこの苺のショートケーキの前にすべてをゆるそうではないか、うむ。


 買い物に出かける優木クンを見送ってケーキを箱から取り出します。

 さぁ、折りたたみ式のテーブルの上には見事な富士屋の苺ショートケーキが!

 いちごの匂いが芳しい……ん? なにか微妙に別の匂いが混じっているような……この匂いどこかで……あ! 僕の汗の匂いだ。ん? ちょっと待てよたしかさっき優木クンに僕は抱きかかえられていて……か、嗅がれた!? 僕、汗臭い? シャ、シャワー浴びないと!


――――――――


 ん~、と気持よく伸びをすると額を指で弾かれた。

 痛いじゃないか! なにをするんだい!


「なにが痛いじゃないか! だ! お前風呂場でぶっ倒れてたんだぞ!」


 はてな? これは変なことを仰る。僕はずっとこの部屋で寝ていたのにそんなわけがないじゃないか。


「おまえ……まぁ忘れてるならいいのか? いいもん見せてもらったし……」


 はっはっは、後半なにを言っているのか聞こえないぞ優木クン。もっと大きな声でしゃべりたまえ。それにさっきから顔を赤くして僕と顔を合わそうとしないのはどうしてだい? 僕の魅力に気づいたのかい? ん? ん?


「そんなわけねえだろ! それより頼まれていた食料買ってきたぞ」


 そう言ってコンビニの袋から栄養ゼリーやプリンなどを取り出す優木クン。


 ほうほう、それにしてもよく僕がお腹が空いているってわかったね。キミに買い出しをたのんだ夢を見たんだけどこれぞ以心伝心というやつじゃないかい? これはもう恋人になるしかないんじゃないかい?


「いや……冬の海にわざわざ名札付きのスクール水着用意して”無人島に漂着した時の訓練を開始する”とか言い出した挙句しっかり風邪をひいてる自分は天才だと思っているアホの子はちょっと……」


 失礼な! 僕のどこがアホだというんだい!


 その叫び声と一緒に僕はテーブルの上においてあった食べかけの苺のケーキを口にする。


 ケーキ……食べかけ……うっなにか思い出せそうな……


 結局僕はその場では思い出せず真夜中に叫び声とともに思い出しお母さんに頭をこづかれるのでした、まる。





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