ブロック学
上上手取は、静寂に包まれた教室 が舞台で『積み木』が出てくるバッドエンドな話を3000文字以内で。持ち時間は一時間。
カリカリカリと静寂に包まれた教室の中で筆記用具の立てる音だけがこだまする。今はブロック学の補習授業。いわゆる積み木学と呼ばれる物理法則を学ぶ学問で赤点を取ったものに対するお情けの時間だ。
ブロック学とは”ビルド”の魔法を使った建築技法でこの世界での一般的な建物はこの魔法を使って建てられている。
このビルドという魔法だがかける対象によって様々な性質を持つブロックに変化させることができる。地面にかければ土のブロック、木にかければ木のブロックという具合だ。このブロックを使い積み木のように建物を組み上げる。その法則をまとめたものがすなわちブロック学でありこの俺がもっとも苦手とする教科である。
補修が始まってすでに30分が経過している。授業のはじめに配られた課題のプリントだがあいにくと1問たりとも手を付けていない。ひとつ目の問題は小石のブロックと木の枝ブロックを組み合わせると何になるでしょう? だ。
ブロック学の中にはこういった錬金術の要素も入っておりそれが俺のブロック学に対する苦手感を増大させている。
用意されたブロックを利用して建物を建築するセンスというものを俺は持っている。これはこの国で行われたブロック建築コンテストで隅っこながらも入賞を果たすことができたので紛れもない事実だ。
その実績を引っさげこの国立の建築学校に入学したのだがブロックを組み合わせて美しさを表現する表の華々しさとは反対に裏ではこのような複雑怪奇な法則を覚えなければならないといった苦行が待っていた。
俺はコンテストに入賞したということで学費を免除されつという恩恵を受けている。その俺が成績不振となると俺としてもそれを後押しする学園としても胸を張れる出来事ではない。この前も先生の一人にこのままの成績では退学もあり得ると忠告されたところだ。
チクタクと黒板の上に備え付けられた時計は無情にも時を刻み続けている。授業が終わりブリントが回収されるまであと20分といったところだ。俺の筆は一向に何かを記そうとする気配を見せない。
そもそもなんだって建築の積み木学に錬金術なんてものが混じっているんだ? そんなものを知らなくても素晴らしい建物は建てられるんじゃないか? 錬金術の組み合わせを学ぶなんて時間の無駄無駄。
そうやけになってプリントを白紙で提出した俺は先生から詰問されることになる。それに俺の思いを正直に答えたら学校から放逐されたしまった。
それから数十年が経ち俺は建築免許を持たないもぐりの建築士をやっている。はした金でこき使われる毎日だが他に俺が誇れる特技もなく仕事が終わっては酒場で酒を飲んでくだをまくのが俺の日課となっている。
この歳になって数多の建築現場に携わることになって俺はようやく錬金術の重要性を噛みしめるに至った。
現場をやっていればどうしても手に入らない素材というものが出てくる。それを補うのが錬金術だったのだ。時には高価な部材が必要になる時も錬金術を使えば比較的安価に調達することができる。
俺は誤ったのだ。あの時苦手意識を克服し錬金術の勉強をしっかりとしていれば……。そんなことを今さら思ったとしても後の祭り。俺は今日の稼ぎを全額賭け札にツッコミいつもと同じくスカンピンになってボロい借家へと帰るのだった。
うまく話が膨らませられずギブアップしました




