流星群の下で
上上手取は、静寂に包まれたグラウンド が舞台で『コーヒー』が出てくる明るい話を3500文字以内で書いてみましょう。持ち時間は一時間。
しんと静まり返った学園のグラウンド。今、ここには太陽の差しこむ時間のような騒々しさはない。刻限は真夜中、本来ならこの時間に学園内に生徒が入り込むことなどない時間だ。
今、ここにいる団体の名称は天文部。今日は数十年に一度の流星群を観測するため学園に泊まりこみだ。本来なら屋上が使えればよかったのだがフェンスが老朽化しているため一般生徒はおろか職員も立入禁止になっている。
「ホイ、コーヒー。キンキンに冷えてまっせ~」
「阿呆。こんな真っ白な湯気立てておいてどこが冷え冷えだ。ありがたくいただきます」
そんな小咄を他の部員としつつ流星群が始まる刻限を待つ。温かいコーヒーが冷えきった体を温めてくれる。今日の夜中は寒くなると言っていたから結構着込んできたんだがそれでもまだ冷えるなぁ。
「だ~れだ?」
そんな声とともに俺の襟首から背中に冷たいものが突き入れられた。俺は声にならない声を上げながらなんとかコーヒーの入ったカップを取り落とさずに済むことを成功させる。
「あ~げ~は~!!」
「あっはっは、冗談冗談。あれ? ひょうっとしてマジギレ……す、すんませんしたー」
そう言って謝る素振りを見せながら明らかに面白がって俺から距離を取る彼女は鹿島揚羽。飄々としてつかみどころのないトラブルメーカーで俺がこの天文部に入ったきっかけでもある。
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「やあやあそこの君、君には破滅の相が見える。ここは天文部に入ってその運命を乗り越えようじゃないか」
そんな勧誘文句とともに俺の前に現れた彼女。くりくりっとした小動物のような目につんと整った鼻立ち、口元には常に自信をたたえた笑みが浮かんでおり髪の毛はボリュームが多いがそれが逆に彼女の顔を小顔に見せている。
端的に言えば一目惚れだった。彼女を見た瞬間、その容姿が俺の心のなかの琴線に触れたのだ。俺はそんな彼女の誘いにホイホイとついていき他大な苦労を背負い込むことになる。
彼女、鹿島はとにかく落ち着きのないやつだった。俺を天文部に入れるやいなや、
「となり町にツチノコが現れたらしいから一緒に捕まえに行こう」
と俺を引っ張りだした。ツチノコと天文部となんの関係があるのかと聞いてもあれやこれやとはぐらかされるばかりで結局その日から一週間、放課後はこいつと一緒にとなり町で潰されるは目になってしまった。
それから後もやれ「旧校舎の女子トイレで幽霊が出た」や「学校の裏山で謎の石碑が出た」等のうわさ話が出るたびに俺は鹿島に付き合わされた。
挙句の果てには「駅前の喫茶店のどれそれとゆうケーキが美味しいらしいから一緒に食べに行こう」というものまであった。まったく鹿島の行動力には困ったものだ。
だがそれに付き合わされるのにも妙な心地よさを感じているのも事実だ。これが惚れた弱みというやつだろうか?
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「じゃーん。毛布借りてきた」
もうすぐ流星群が始まろうという頃になって鹿島は俺のところに再びやってくると毛布をマントのように広げてみせた。
「で、俺の分は?」
「いや~一枚しか借りられなくってさ」
おい、何だそれは。借りれた自分を見せびらかしに来たのか?
「だから二人で一つ。一緒に入ろ?」
その提案に俺の思考は一瞬硬直した。
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「あはは~あたたかいね~あ、ほら! 始まったよ流星群!」
「あ、ああ」
俺達が一つの毛布を共有した頃にちょうど流星群は始まった。だが俺は正直それどころではなかった。
近い! 近いぞ! 鹿島ぁ~~~~!!
触れた部分から感じられる鹿島の体温に胸の鼓動が鳴り止まない。正直流星群のことなど頭からスッポ抜けていた。いや、流星群の明るさに夜中だというのに鹿島の顔がやけにはっきりと見えたのはかろうじて自覚していた。
「ねぇ、君はどんな願い事をするんだい? こんなに流れ星があるんだからもしかしたら願い事の一つや二つは叶うかもしれないよ?」
そんな問いかけをされたが正直オレは一杯一杯でそれどころではなかったので言葉を濁すことしかできなかった。なので俺は逆に鹿島の願い事を聞いてみることにした
「僕かい? 僕の願いはねある人に思いが通じるようにお願いするつもりだよ」
それを聞いた瞬間俺はさっきまでとは別の意味で意識が飛んだ。
「ほら、僕ってさ結構わかりやすいじゃん。それなのにその人は僕の気持ちに全然気づいてくれなくてさ。このまえだっていつもの調子で勇気を出して駅前の喫茶店に……」
そうつらつらと並べ立てる鹿島の言葉を俺は俺は右から左に聞き流していた。鹿島に好きな人が……そうか……そうなのか。何だ俺ってとんだピエロじゃないか。かってに惚れてよく連れ回されるから相手が好意を持っているんだと勘違いして……
「……とおもうんだけど君はどう思う?」
「いいんじゃないか。俺は応援するよ。思いが通じるといいなそいつに」
うん。俺は鹿島の恋を応援しよう。俺自身の恋は悲しいがきっぱりと諦めよう。こういう運命だったんだきっと。
「あちゃーこれでも通じないとなると本気で星に願うしかないのかな……あっ……」
でも最後にこれくらいの役得は合ってもいいよねと俺は鹿島の肩を抱き寄せた。抵抗されるかもと思ったがそんなことはなく俺は最後に鹿島のぬくもりをこの身に刻みつけるのだった。
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後にこの頃の俺達が天文部一のバカップルと称されていたのを知るのは随分と後になってからのお話。
これ結構よく出来たな~とおもって加筆してなろうに単体投稿したら……うん
タイトルとあらすじがまずかったんだろうね
そちらにブクマ入れてくれた人ありがとうございました




