第26話 ストップ
「では、白錦様は年齢が当方の水晶板では測定不能と出てしまい、種族も該当する記録が無いことから何者なのでしょうか?」
「うむ、我は凛城殿を主君として御身へ忠誠を誓う従者である。年齢は我も寡聞にして存ぜぬ故、ごめん」
「は、はぁ。凛城様が主君であると」
「うむ、そうである」
「わかりました。では、最後に凛城様、貴方は人族のように見えますが種族が不明となっています。亜人でも無いところを見る、どのような種族か教えていただけますでしょうか」
これは山籠もりの際に万が一自分の身元が知られそうになった際にどう答えればいいのかを予測して三人でしっかりと打ち合わせしたから不安はない。
「俺は、ルーと白錦の主人だ。そして、種族は人だと言われている。だけど、ギルドでは種族が不明となると、もしかすると白錦と同じなのかも知れない。よく分からないというのが実情です」
「な、なるほど。わかりました。鬼族と種族不明の冒険者ですか。承知いたしました。何かあればその都度何か質問があるかも知れませんがその際にはご協力頂ければ助かります」
「わかりました。後、質問よろしいでしょうか」
「はい、私で分かる範囲でしたら」
「魔獣素材の買取希望なのですが、どこかへ依頼出来ますでしょうか」
「魔獣ですか、それでしたら、隣のカウンターで受付しております。ご案内いたしますね」
隣のカウンターにいる受付の男性へと情報を共有したようだ。
「私の方で受付させていただきます。どのような魔獣を買取希望でしょうか」
「えーっと、例えばこれですね」
カウンターにどさっと魔獣の顔を置いた。
「うっわあああ、これって!」
「ええ、魔獣ですよ」
「これ魔獣じゃないですよ」
「え?」
「これは、王獣と呼ばれる魔獣の王じゃないですか」
ギルド内が、ざわりと空気が一変した。男性の受付の人が出した声にじゃない。この魔獣いや王獣が死しても放つ強烈な殺意と威圧が空気を変えたからだ。俺たちにとってはただの魔獣という獣として日常的に狩りの対象としていたので気にもしていなかったが、どうやら冒険者ギルド内ではそういう次元の話では無いということが理解出来た。ルーや白錦は平然としている。
「買取可能でしょうか?」
「あー、これはどうでしょうか」
「なら、他にもあるんですが」
「ちょっちょっと待ってください。ここでは放出されるのは一般冒険者に死体であろうが被害が出る可能性があるので場所を移しましょう」
男性の案内に従って魔獣を収納し、別の部屋へと案内された。案内されたのはギルド裏手にある大きな解体場だ。
「うむ、結界術が張られておるようだな」
「ほんとだ。白錦兄さんの言う通りだ」
「これが結界か」
神聖な雰囲気がするということはさっきの魔獣が放つ気配を外に漏らさないための代物ということか。
「俺が解体を担当するフィッツシモンズだ。よろしく」
エプロンに血がべっとりと付着して染みになっている。解体に特化した筋肉ということがわかった。
「俺は凛城だ、今日はよろしくお願いします」
「それじゃ、その王獣とやらを拝ませて貰いましょうか」
両手のグローブを擦りながら、フィッツシモンズは楽しんでいるようだ。
「それじゃ放出しますね」
広い石で出来たテーブルの上に山のように魔獣の死体を積み上げた。白錦の収納空間からも同時に色々な魔獣を放出したが、途中でストップが掛かった。




