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見送った私はボーッとしながら考えていた。どうやっても出れない。扉から30センチくらいまではいける。でもシュンって部屋に戻される。段々転送酔いが気持ち悪くなってきて一旦休憩してみたが怖い。
ガチャと扉が開きルイ様が帰ってきた。ルイ様!おかえりなさいと言いながら近寄るとルイ様が固まっている。
「ルイ様?」
「あぁ…すまない。女性に部屋で待たれるという事が無いので動揺してしまった。」
なにそれ。こんな端正な顔立ちしてるのに勿体無い。ルイ様は荷物を机に置きながら耳を少し赤くしている。
「婚約者や恋人とかはいないのですか?」
「婚約は身内に急かされるがまだそんな余裕が無くて後回しになっているんだ。恋人はいないよ。」
全くモテないんだと笑っている。絶対嘘だ。こんなに幽霊にも優しくて男前しかも閣下なんでしょ?絶対モテる。あ、高嶺の花すぎて誰も近寄れないのか!そっちだ!可哀想にとルイ様を見つめる。
何才ですか?って聞くと24歳だよって教えてくれた。高物件じゃん!本当勿体無い。
「君は何才かはわかんないよね?名前とかもわからない?」
「んー年齢わからないですね。名前はミアて呼ばれてた気がします…なんとなく。」
「じゃミアて呼ぶね。こうやって少しずつ思い出せば部屋からも出れるんじゃないかな?焦らずいこう。」
最大級の微笑みをいただく。あぁルイ様の元にこれて良かったです。もう昇華しそうです。
「さようならルイ様」
「え!急にどうしたの?ミアもういっちゃうの??」
いや、行かないです。気まずい思いをしてしまった。落ち着いたルイ様はソファーに座りこめかみを揉んでいる。疲れたのかな?お茶でも入れてあげたいが触れない。ただの役立たずな居候でごめんなさい。
「…役立たずでごめんなさい。」
そんな事思ってないよって。嬉しすぎて飛びつきに行ったがスッと通り過ぎてしまった。やっぱりダメか。
「レディがそんな事しないの。」
顔を赤くしたルイ様に注意された。それからルイ様に家族のことや仕事のことなど色々な話を聞いた。魔術師団をまとめていて、去年公爵家の跡を継いだらしい。なかなか忙しくてどうしても決裁がいる分を朝と夜ココで仕事していて、それ以外は任せているとのことだった。
じゃ悪いけど仕事するねと執務机に座り書類を捌き出した。私はまたボーッとする。幽霊て暇だな。本もさわれないから読めないし、お菓子も食べれない。喪失感に襲われる。
「ミア?ミア!」
ハッと見上げるとルイ様が心配そうに名前を呼びながら見ていた。仕事が終わり私の様子を見たら憔悴していたから心配してくれたらしい。周りはすっかり暗くなっていた。
落ち込む私を見ても、撫でてもあげられないって項垂れているルイ様は本当に良い人だ。
消灯時間になり寝室のベッドで寝るよう勧められ笑ってしまった。幽霊にベッドを譲る貴族がどこにいるのか。私は浮いてるので大丈夫ですと固辞し寝室へ見送った。そもそも幽霊て眠るのかな?ふわふわと漂いながら目をつむり今日1日を振り返っていた。




