第39話 ゴーストスケルトン
さて、その間、放置しておいたスケルトンたちはどうなっているのだろうか?順調に育ってくれていたらいいのだけれど。
地獄の揺り籠のマスタールームに転移して、スケルトンたちを空間透視してみると、スケルトンたちは、さらに進化していた。
スケルトンウォーリアから、ハイスケルトンになっていた。
ハイスケルトンは、外見はスケルトンとあまり変わらない。少し骨が太くなった気がするぐらいの変化だが、能力は格段に上がっていた。
何より、動きが速くて、精密になった。グールと互角の動きが出来ている。攻撃手段は、相変わらず掴みかかって噛み付く、抱き着いて噛み付くだけだが、力も強くなっているのかグールに押し倒されなくなっている。
その分、寄ってたかってグールに襲い掛かり、食べ尽くす回数が増えている。
スケルトンが食べたものは消えて無くなるので、無限に食べ続けることが出来るようだ。
そして、驚いたことに、レイスを捕まえて食べていた。レイスには物理的な実体がないので、レイスを捕まえることは基本的に出来ない。捕まえるとしたら、魔法的な何かの手段を使っているに違いないのだが、ハイスケルトンは、普通に手でレイスを捕まえては口に運んで食べている。
地獄の揺り籠では、レイスが無限に湧き出るので、ハイスケルトンにとっては、食い放題になっている。
私が見ていなかった昨日から、この調子でレイスを食べ続けているとすると、とんでもない数を食べていることになるんじゃないか?なんて思っていると、スケルトンたちがまた進化した。
骨の色が、灰色から真っ黒に変わった。だけど、外見的には、それ以上の変化がないので鑑定すると、ゴーストスケルトンになっていた。
ゴーストスケルトン?聞いたことがない魔物だ。
まあ、それを言えば、スケルトンウォーリアも、ハイスケルトンも、聞いたことがないわけだけどれも、それでも、何となく、どんな魔物か分かる名前だった。
ところが、ゴーストスケルトンって、ゴーストなの?スケルトンなの?って聞きたいほど意味が分からない。
鑑定にも
ゴーストスケルトン
ゴーストの特性を持つスケルトン
この説明では、どんな魔物なのか分からない。
すると、観察していた1体のゴーストスケルトンが壁に向かって歩き出し、レイスのように、そのまま壁の中に入っていってしまった。そして、スケルトンに着せていた鉄の胴鎧と腰の短剣の装備が地面に落ちた。
ゴーストスケルトンは、スケルトンのカタチをしたレイスの上位種なのかと最初は思ったが、そうではなかった。
別のゴーストスケルトンがグールに襲い掛かって押し倒し、グールの肉に齧りついていたからだ。
ゴーストスケルトンは物理的な存在でありながら、レイスのように物理を無視できる?だとすると、物理攻撃無効なのに、物理攻撃専門の魔物ということになる。
私は、ゴーストスケルトンの傍に転移して、調べてみることにした。
私が、傍に転移すると、ゴーストスケルトンはじっと立って、私の命令を待っているようだ。ゴーストスケルトンが何を考えているのか、それとも、考えていないのか、全く分からない。
手を伸ばして、その腕に触ってみたが、ただの骨で、レイスのように手が突き抜けたりしない。
「ねえ、その壁の中に入ってから、また出て来て」と、横の壁を指して指示すると、黒いスケルトンは、壁に向かって進み、そのまま壁の中に入っていった。
やはり胴鎧と腰の短剣が、ガチャリと地面に落ちた。
暫く待っていると黒いスケルトンが出て来たので、また、その腕を触ってみると硬い、普通の骨だった。
「それじゃあ、この壁の前に立って、腕だけ壁に突っ込んでみて」
黒いスケルトンは、私の言葉に従って壁の前に立ち、腕だけを壁に突っ込んだ。
何の抵抗もなく、壁に腕が入っていく。
「止まって」
と命令すると、スケルトンは動きを止めた。
私は、スケルトンの腕が壁に埋まったように見える境目を指でなぞってみたが、壁の外にある骨は、普通の硬い骨だ。
すると、壁に入った部分はどうなっているのだろう。
「腕を、壁から抜いて」
と命令すると、スケルトンは腕を抜いていく。
壁から抜け出てくる骨に手を添えているが、骨は硬いままだ。
この硬い骨が、壁に入っていく訳がないから、何らの変化をしているのだろうけれど、空間透視で、壁に入っている部分を見ても、何も分からない。
結局、骨がレイスのように霊体化して、壁に入っているわけではないようだ。
かといって、壁にも変化がない。
ということは、これは、壁に入っていくように見えて、実際には亜空間に体を入れているのだろう。
しかし、ゴーストスケルトンのステータスを見ても、スキルは何も持っていない、
まあ、スケルトン自体が、どうやって動いているのか分からない存在だし、考えても始まらないと、理由を考えるのを止めた。




