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一次審査

俺たちが試験会場の広場に着くと、既に試験が終了した者達なのか結構な人だかりができていた。 出来が良かったのか満足げに他の候補者と談話している者もいれば、意気消沈して項垂れている者もいた。

試験を行うホールの電光掲示板に俺の三つ前のナンバーが表示されると、一人の金髪の青年がドアを開けて中に入っていった。


今回の試験は一人ずつであるため、中の様子を他の候補者達は見ることはできない。ただし、自分の前の候補者の様子は見ることができる。というのも、ホール内の待機場所がガラス張りであるため、前の人の試験の様子が否応なしに見えてしまうのだ。

つまり、俺のナンバーはリベルタのすぐ後ろだから、俺は彼の審査の様子を見ることが出来るというわけだ。



「なんか緊張するな。一次審査は能力測定だったから気軽にできたんだけど、今回は下手したら落とされる可能性あるからな…」


リベルタが不安げに頬をかきながらそう言った。恐らく、次に待機に入らなくてはいけないからということもあると思うが、大方広場内の雰囲気にやられでもしたのだろう。


「練習でやったことをそのまま審査官に見せるだけでいいんだ。それに…リベルタには強靭な身体能力と天性の素質がある。基礎トレをこの一週間隣で見てきた俺が保証するんだ。最悪困ったら、それを魅せつけてやればいい。」


さっきまで健気に素振りをやっていた単純バカでもこういう場面では不安になるんだな、とかなり失礼なことを考えながら、そう笑って言った。


「さんきゅ、やっぱお前良い奴だな!」


ニカッと満面の笑みを見せる彼に少し決まりが悪くなって横を向く。


「そうか?…かなり失礼なことを考えてしまっていたんだが」


「?」


知りたそうにこっちを見ていたが、あえて言う必要もないな、と思い曖昧にはぐらかしておく。


そういったやりとりをしたあと、電光掲示板にリベルタのナンバーが表示された。これで彼は待機に入らなければならない。


「じゃあ、行ってくる。また後でな」

「あぁ」


そして、やや緊張した面持ちのリベルタがドアに向かって歩いていった。


さぁ次は俺の番だ。とはいえ、武器を何にするかまだ決めていない。


…困った。人のこと言っている場合ではなかったようだ。

刀剣といっても幅広く、剣・刀・ナタ・大刀・大剣・短剣(ナイフまたはダガー)・双剣・銃剣など色々とある。今回の戦闘シミュレーションがどんなものなのかはあまり良く分かっていないが、恐らく相手とのリーチは長い方がいいはずだ。そうなると必然的に短剣は消去される。短剣も使いどころによっては良武器になるが、メインとするには中々にリスクを負わなければならない。いや…そもそも、使用武器はひとつだけなのだろうか。シュバリエ審査官は得意な武器とは言っていたが、ひとつとは言っていなかったはず…



そうやって色々と思案したものの、結局いい答えは見つからず。それなら、待機中にリベルタの審査を見物しながらゆっくり考えればいいか、という他の候補者が聞いたらびっくりするようなマイペースな発想で、電光掲示板に表示されるまでの時間を過ごしたのだった。



           ***



俺が待機場所に入ると、既にリベルタの審査は始まっていた。


彼は銀色の背丈ほどある大剣を手にし、向かい来る敵を次々と薙ぎ払っていた。だが切っても切っても復活するそれに少し焦りを見せているようだった。そして別のところから何体も出現する。動きが早かったり遅かったり、持っている武器も違ったりと個々様々で、全ての敵の動きを把握していないとたちまち隙を突かれてしまう。


なるほど。これが、戦闘シミュレーションか…

これなら簡単にあらゆる動きを再現することができる。便利なものができたもんだな、と人知れず感心した。


ただ敵と言ってもCGスキャンで作られたまがいものであるため、人のような形はとっているものの実体はない。


防音設備がしっかりしているのか全く中の音が聞こえないななどと考えながら視線をホールからリベルタの方へと移すと、さっきよりも増して彼が焦っていることに気づいた。素振りの時も思っていたが、振り方がかなりおお振りなのでそこでタイムロスが生じてしまう。だからその隙を突かれて、敵に懐に入り込まれてしまっていた。胸を斬られた瞬間、彼の頭のあたりに『1HIT』という文字が─これもおそらくCGだが─映し出された。


一応、敵に斬られたからといって外傷を与えることがないように作られているらしい。斬られた瞬間リベルタは驚いた表情をしたがすぐに体勢を立て直した。

流石身体能力が高いだけある。実戦に近いこのシミュレーションで、尚且つ初めての体験でそれだけの動きができたら良点だろう。


それからしばらく時間が経ち、もう既に限界が近いのか、肩で息をしながら彼は大剣を地面に突き刺していた。彼の頭の上には、『64HIT』という文字が表示されていた。


そこで試合終了のようで、審査官と何やら話した後、リベルタは武器を元の場所に戻しこっちに歩いてきた。


疲れてはいるようだが表情は晴れやかで、待機している俺と目が合うといつものように片手を挙げた。


すれ違いざまに、結構くらっちまったと苦笑を漏らすので、あれだけできれば上等だろと返しておいた。なんたって、敵を()()んだ。HIT数は多いものの、審査中に何度も立ち上がってくる敵の弱点を見つけたことが勝機に繋がったのだと思う。まぁ、知っていても中々当てるのは難しいので、それができたリベルタはかなり優秀だと言える。



そう考えながら今度は俺の番だな、と頭を切り替える。

さっきの審査中に、使う武器もあらかた決まった。あとは、敵の弱点を潰すだけ。


そうして、ホール内にいる審査官の前へと歩を進めた。






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