ほんとはスパダリじゃない
「大社、ごめん、大丈夫だった?」
「ん?」
ホームへ降り立つ。外は、すっかり夜になっていた。
横を見れば、伽羅が申し訳なさそうに、大きな身体を縮こませている。
「その……重かった、でしょ? よっかかっちゃって」
タッパもある体格のいい女が、もじもじしているその様は、とかく。
「嫌じゃないから、大丈夫。よく眠れたんなら、良かったよ」
可愛い。
たまらなく可愛い。
可愛すぎて真顔になる。
「ほんと?」
真顔過ぎて、心配なのだろう。伽羅が、心細げに私の袖を摘まんだ。
は?
「かわよ……」
可愛い。
「え?」
「や、何でも」
あぶね。声に出てた。いや、出してもいいんだろうけど。恋人同士なんだし。
けどまあ、『クールでかっこいい大社さん』結構お好きでしょうし? もうしばらくは真顔を貫き通しますよっと。
「そんな心配せんでも。嫌なら、そもそも提案すらせん」
「……そっか」
彼女の顔が安堵に綻び、ふわっと柔らかな笑顔になる。
は? かわよ(二度目)。
「お前さ」
「ん?」
「や、何でも」
いかんいかん。
独占欲丸出しな科白が飛び出すとこだったわ、あっぶね。
まだまだ『クールでかっこいい大社さん』で居たいんだから。気を付けろ。
「さ、早く駅出て何か食お」
「うん。ラーメンがいいな」
「お、いいねぇ。何処のラーメン行く?」
END.




