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21針目.性悪蛇女

 「お綺麗な顔立ちなのに残念な女性でしたね・・・」

 「旦那も固まってたぜ」

 「そろそろ性悪蛇女の本性に気付いて手焼いているんでしょうね~」


 ホテルのレストランで夕食を取りながら一日を振り返るが、件の悪女との邂逅が一同にとって今日一日最大のインパクトであったのは言うまでもない。


 「あの方はお母様も平民なのですか?」

 「どこか東洋の国の娼婦ですよ!それなのに皇帝のハレム出身~、とかうそぶいてて!出自がコンプレックスだからひれ伏せとか言うんです!」

 「混血か、まあそんな感じの顔だったな」


 元夫の再婚相手に関する話題にダイアナは苦笑いする。


 「でもシオンとヘーゼルさんが上手く行って良かったわ。明日も商談があるんですよね?」


 それとなく話題を逸らし、今日の成果を喜んだ。


 「ええ、明日も一日中会場にいることになりそうです。名刺もたくさんいただきましたし」

 「良かったわ・・・!」

 「明日もお願いします、ダイアナ様」


 手ごたえを感じた初日を労い、王都の一流レストランの食事をゆっくり楽しんでから、皆部屋に引き上げる。


 スイートルームの広々としたリビングでシオンが明日のダイアナとエリンの衣装を整えようとした時、部屋のドアを叩く音がした。


 ドアを開けると、そこにはホテルの支配人が立ちシオンへの来客を告げる。


 「・・・俺に?」

 「はい、少々お時間くださいませ」


 今日会った誰かかと思い、ヘーゼルに出てくると告げ廊下に出ると、支配人は階段のある方とは反対側に歩き始めた。


 (どういうことだ・・・?)


 ロビーに向かわない支配人に一抹の不信感を覚えながらも付いて行くと、突き当りのドアの鍵が開錠され扉が開き、入るように促される。


 そこにはもう一つ、広々とした立派な階段ホールがあった。


 (要人用の階段か・・・)


 VIP専用階段を素通りし、またドアが開かれると内装がガラリと変わる。


 重厚な緑の壁紙と、磨き上げられ光沢を放つオーク材の腰壁が続く廊下。


 中央にある客室ドアを支配人はノックする。


 中から声が聞こえ、支配人が扉を開けシオンに入るように促すと明るい声が飛んできた。


 「入って入って!遠慮しなくていいわ!」


 一歩足を進めると、柔らかく毛足の長いカーペットの感触が、この部屋に滞在できる人間の格を語る。


 「今日はすごい人気だったわね、疲れているでしょう?お茶を用意したから飲みましょ!」


 細工が美しい応接用ソファの上で、クッションを抱えていた少女が立ち上がる。


 「あなたとお話がしたいの」


 そう言って、王都一の美女はにっこりと微笑んだ。

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