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4話 『露店街』

月1ノルマセーフ(。-`ω-)

時間は少し遡る。

皆と別れた自由人は異世界の町の観光を楽しんでいた。


「さすが異世界、変わったものが多いな・・・てかなんだこれ?肉か?」


自由人が興味を示したのは店頭に並べられていた黒くなった何かの肉。

この世界の文字は元の世界と違うようで何が書いているか分からないが、何種類かの味付けがあることは伝わり、どれも香ばしい匂いがして食欲をそそるのだがその形が気になって仕方がない・・・

店先で立ち止まっていれば当然気付かれるように露店のオヤジが自由人に気付く。


「おぉ兄ちゃん!変わった格好だな!旅人かい?」


「まぁそんな感じだ。で、おっちゃん、それ何?」


「これか?これはアクアフロッグの黒焼だ」


アクアフロッグ?向こうでは無い奴だな・・・ん?フロッグ?・・・ってことはカエルの肉かコレ!?

いや、でも、食用のカエルは存在するし鶏肉に似てさっぱりして美味いって聞くからアリなのか・・・?


「どうだ兄ちゃん食ってくかい?おすすめは辛味テイストだ!」


「すまんおっちゃん、金銭持ってないこと思い出してな、また今度にするわ」


「おぅ、じゃあまた今度来な!」


フレンドリーなオヤジに別れを告げ、その場を後にする。

そういえばこの世界の金を持ってないから買おうにも買えないんだよな。

文字が違うのだから金銭も当然違うだろうし。

文字通り観るぐらいしかすることないってことか。

あの黒焼少しぐらい食ってみたかった、と未練がましく次の露店に行くと座り込んで商品を眺めている久那衣を見つけた。


「何かあったのか?」


「・・・」


聞こえていないようだ。

久那衣の視線を辿るとその先には二つで一つとなる組み合う形の黒いキーホルダーがあった。

それを見る久那衣の目がなにか物悲しい感じがしたのは気のせいだろうか。


「欲しいのか?」


「別に・・・思い出してただけ」


そう言って久那衣は去って行った。

昔の何かと形が似ているのだろうか?

早々と立ち去ったところを見ると、このことには触れない方がいいのだろう。

というかこの店の人寝てるんだが大丈夫なのか・・・まぁいっか。


「にしても小さい町の割には意外と露店が多いな、祭りか?」


町に入ってからそんなに歩いてはいないがここまでで軽く10店はあった。

似たような商品を扱っていたりするところもあるがそれでも多い方だろう。

自由人が見て回っていると店内から荷物を抱えたアイリスとソフィアが現れた。


「おぅおぅ、そこの無一文の君ぃ、観光楽しんでるかい?」


「なんか腹立つ言い方だなオイ」


「まぁ冷やかしはこれくらいにして。」


「冷やかしかよ」


「それで?異世界はどうだい?」


「まぁ・・・流石異世界って感じだな。文字も金銭も違ったな。言葉がみんな同じなのは助かったが」


「言葉が通じるのは召喚魔法による補正みたいなものじゃ。あの時の魔法にはその手の要素も含んでたからね。」


「へぇ、つまりはアンタのおかげってことなのか」


さっき冷やかされたけどな。


「まぁ、こういうことはまた今度落ち着いた時にでも話すさ。さて、アタシ達の用事は済んだから残りの2人でも探そうかな」


3人は残りの2人を探しに町をゆく。

・・・で、女性陣2人が荷物を持っていて、男の俺が何も持ってないというのは気になるわけで・・・


「荷物持とうか?」


「いえ大丈夫です。有難う御座います」


「ねぇ、アタシは?」


「アンタは頑張れ」


ソフィアが自分で持つというのなら任せることにしよう。

アイリス?知らん。

それから、アイリスが小鳥の襲撃に遭ったり、ソフィアの為に休憩を挟んだりしながら町中を歩くこと15分ほど、町の隅にあるベンチのようなものに腰掛けている久那衣を見つけた。その傍らにはいくつかの紙の容器や袋が積まれていた。


「やっと見つけました」


「どうしたんだこの量、金持ってたのか」


「貰った・・・ん」


応えながら容器から串に刺さった団子を取り出し食べる久那衣。

その団子は緑色をしていてどうやら草団子のようだ。腹減ったな・・・


「何か為さったんですか?」


「・・・手伝ったり、届けたり、呼び止められたり・・・」


「色々だねぇ」


なんにせよ、合流できたから後は神月だけだな。

結構町中を歩いたが一度も見かけなかったが何処へ行ったんだ?


「久那衣さん、セーラさんを見てませんか?」


「見てない」


「一体何処まで行かれたのでしょう?」


「意外と入れ違いになってるだけかもな・・・どうしたんだ?」


気付くとアイリスが先程までとは違う真面目な顔で彼方を向いている。


「いや・・・気のせいか?」


「その方向に何かあるのか?」


「・・・さぁ?」


「さぁ?って・・・」


「まぁ・・・警戒しておいて損はないか・・・アタシは急用できたから離れるけど、みんなはセーラを探して合流してきな、良いね?」


そう言い残し離れていくアイリス。

残された2人はアイリスの変化に勘付いていながらも指示通りにセーラを探すことにした。

ソフィアだけは気づかず、どうしたんでしょう、と疑問符を浮かべていた。


「さて、早いとこ合流しないとな・・・ってもどこに居るんだ?」


「どちらにいらっしゃるんでしょうね?」


「いっそ別れて探しに・・・いや、だめか。」


どうこう言っているのは時間の無駄だと判断し、まずは目撃証言を集めることにした。

すると、ソフィアが早速露店を開いていた商売人に尋ね始めた。


「・・・あの、すみません」


「なんだい、嬢ちゃん。値引きなら無理だよ」


「いえ、違うんです。今、人を探していまして、この辺りで白い髪の女性を見かけませんでしたか?」


「白い髪?見てないねぇ。そんな珍しい色の奴が来たら忘れな・・・いや・・・もしかしたら・・・」


「なにか心当たりがあるのですか?」


「いや、少し前にそこの路地を入って行った娘がいたんだが・・・そうかあれは白だったのかもしれないな」


「あの路地ですね。有難う御座います」


道を外れて路地にとは・・・土地勘無い筈なのに一体どこに向かってるんだ?

態態わざわざ入って行くぐらいだから迷子ってのも考えづらい。

・・・そういえば変な声聞こえてる的なこと言ってたからそれが絡んでるのか?


「路地に何かあるんでしょうか?」


「さぁな。また変な電波でも受信してるんじゃないか?」


「電波?」


その手のことは伝わらないのか。

まぁ、魔法がある世界にそんなデジタル要素あんまりなさそうだからな。

伝わらないことも頷けるか。

そんなことはさておき、路地を入っていく3人。


路地を進みながら久那衣について自由人は思う。

彼女は普通と違う。

なら何かと聞かれると答えられない。

では何故そう思うのかは・・・正直に言って勘である。

何か浮いた存在感というか身のこなしが軽すぎるというか・・・

何を考えているのかよく分からないからなのか、味方と判断するにはまだ早い気がする。

・・・まぁいずれ分かることだろう。

今は合流することを念頭に置こう。


路地を進んだ先は特に何かあるわけでもなく町の出口に辿り着いてしまった。


「・・・あれ?途中別の道ありましたか!?」


「いや、無かったな・・・あの証言が嘘だったって可能性もあるが、本当だった場合は町から出た可能性が出てきたな」


「・・・どうする?」


「いや・・・今はやめておこう。ここは戻ってあの魔術師にでも伝えるか」


「そうですね」


来た道を戻り露店街に出てからアイリスの向かった方に歩き出す。

アイリスが一人で向かった理由を勘付いていながらも外を捜索する為にアイリスとの合流を目指す・・・前にソフィアの為に休憩を挟む。


「すみません」


「いいよ、それくらい」


「・・・食べる?」


「・・・はい、いただきます」


さて、どうするかな。

可能ならば急ぐべきなのだろうがこの娘を連れて行くなら休憩は必要になるだろうし、かといって今は置いていくわけにもいかない・・・


ォ―――――――!


なんだ・・・今のは・・・。

店先で一服している自由人たちだったが突然空気が震えたような気がした。

もし今のが気のせいではなく自由人の思う通りなら聞こえた方角にアイリスが居る可能性がある。


「向こうか」


「どうかしましたか?」


「聞こえなかったのか?」


「何がでしょう?」


ソフィアには聞こえていなかったのか・・・

その隣の久那衣は様子を見る限り聞こえていたようで先程よりも警戒を露わにしている。


「さて、行くか・・・吉と出るか凶と出るか・・・」


「・・・どうせ凶」


「ネガティヴだな」


時が来てしまったのかもしれない。

自由人たちはいつかは来るであろうことに覚悟を決めて音が聞こえた方角に歩き出した。



一旦ここで区切ります。


次回、心底に眠る力が目覚める―――

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