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2話 『呼ばれ出たのは迷宮森の中』

「ここが・・・異世界・・・?」


光に包まれ、気付くとそこは森だった。

天を覆うほどの木々は変わった形の葉をつけており、いくつか実っているものも知っているものもあるとはいえ、変わったものが多かった。それに、木々の間から微かに見える空の色も元の世界と比べると雲ひとつないのに白い、というよりなんだろ?なにかが光ってる?

視線を下げると地面に人の手が加わった跡があり、どうやら昔、道として使われていたようだった。


「あれ?そういえば・・・」


周りを見渡すがセーラの他には誰も居ない。一緒に来たはずの少女といつの間にかはぐれてしまったようだ。別の場所に飛ばされたのだろうか?というより私がはぐれたのだろうか?

どちらにしても、ここが異世界であること以外、北も南も分からない今、情報が欲しいセーラは森の中を歩き出すことにした。


森の中を歩き出してから少しした後、歩けど歩けど一向に変わらぬ風景に違和感を覚えていた。

広いってのもあるけど、この辺りさっきも通った気がする。真っ直ぐ歩いてたはずなのに。

ふと周辺を見ると、地面に先程自分が居たと思われる痕跡が付いていた。

迷ったわけではない、この森は何か変だ。

異世界なんだからそういうのがあっても不思議じゃないけどまさかいきなり経験するなんて・・・あれ、これ自力で出れないんじゃ・・・いやいや、きっとどこかに抜け道が・・・

不安になったセーラは周辺を見渡してみたが、これと言って抜け道のヒントらしいものはない。

さてどうしようかと考えていた時、


――――――― ―― ―――!


まただ、またあの声が聴こえた。・・・教えてくれるの?

セーラは聴こえた声に導かれるように森の中を進んでいく。するとさっきまでとは違う開けた場所に出た。そしてその奥になにやら大きな洞穴を見つけた。


「出口・・・ってわけじゃないよね」


森の中で洞穴・・・嫌な予感しか感じられないけど、ここに導かれたのもなにかありそうだから、進むしかないよね。洞穴からなにか異様な気配感じる気がするけど・・・

そう思いながら洞穴を覗き込むが中は真っ暗で奥が見えなかっが、"なにか"がいるようで暗闇の中から威圧感がヒシヒシと伝わってきた。だが、敵意のようなものは感じられない。

だからなのか、無意識に洞穴の中に入って行っていた。

すると、暗闇の中に光が視えた。いや、光とは少し違う、力強く、全てを見通しているような・・・

まるで"天に輝く満月のような黄金の瞳"。


「この感じ・・・あなたなの・・・?」


『―――――――ゥ』


「やっぱりあれはただの夢じゃなかったのね。それで、あなたは誰?なんで夢に出てきたの?」


『―――――――ゥ』


今目の前にいるはずなのに、夢と同じように言葉が聞き取れない。

でも、その"なにか"が吠える度に周りに青白い光が溢れ始めセーラに纏わりついていく。

その光は温かくて心が落ち着く感じがした。


「見つけた」


突然、後ろから声がして振り向くとそこには一緒に来た少女が立っていた。


「こんなところで何をしている?」


「いや、この子に呼ばれて・・・あれ?」


少女に説明しようと向き直すとさっきまであった気配も光もなくなっていた。

でも、さっきの温かい感覚はいつまでもセーラの中にいつまでも残っていて、またどこかから見守っているのだと思った。


久那衣くないさん居ましたか」


森の方から幼くて可憐な声が聞こえて、少女は、来て、と言って森の方へ歩いていく。

セーラもその後を追って歩いていく。するとそんなに歩くことなく先程の声の主と思われる頭に変な形のぬいぐるみを乗せた幼い少女と合流した。


「貴方が久那衣くないさんが言っていた方ですか、異世界に来ていただいてありがとうございます。私はソフィア・ミニアル・リリアスティと申します。」


「あ、これはご丁寧に」


そう名乗った少女は幼いながらも丁寧な口調で優しげな印象を受ける。どうやらこの幼女はセーラたちを呼んだ一人のようだ。


「詳しいご説明は戻ってからしますので、まずは行きましょうか」


「行くって・・・この森は同じところぐるぐるさせられるんだけど!」


この森の謎を思い出して歩き始めようとしていた少女--ソフィアを止めるが彼女は大丈夫ですと答えた。


「その件はワイがなんとかしたる」


――――ん!?


その声と共に幼女の頭に乗っていたぬいぐるみが動き出す。あぁ、こういうのもありなのね。普通じゃないことなのに”異世界だから”で済ませれてしまうから不思議だ。


「あれ・・・意外と反応薄いな、まぁええわ、この森の仕組みはワイの相方の防衛魔法でな、森の中を迷宮化するんやけど、君ようあんなところにおったな」


あんなところ、その言いようだとあの洞穴の場所はやっぱり他とは違うの?

私もあの声に導かれなければずっと同じところをぐるぐる回っていたのだけれど。


「でな、ワイがおったらちゃんと通れるねん。やから、ここまで探しにこれたっちゅうわけやねん」


つまり道案内役ってことなのね、というかなんでさっきから関西訛りなんだろ?

そんなこんなで森の中を歩くこと数分、周りの木々が変わり、景色が変わっていく。

そして開けた場所に着き、そこには大きな煙突が印象的な一軒家とその前に木製の机と椅子があった。

するとセーラ達が到着するのと同じタイミングで家の扉が開き、地面につきそうなほど長い蒼い髪の女性と何かを運び出している青年が現れ、女性がこちらに気付くなり手を振っている。


「あーおかえり。ちゃんと見つかったんだねぇ」


「そりゃワイが案内しとるからな」


「あんたは別にいい、ソフィアちゃん疲れたでしょ?奥で休みな?」


「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。」


「ねぇ扱いひどくない!?雑じゃない!?」


女性に言葉に答え、ソフィアは家の中に入っていく。

見送った後、女性は、さて、といいながらこちらに向き直る。


「説明とかもあるし、とりあえずみんなこっちに座りなさい」


誘われるがままセーラ達は外に用意された椅子に腰掛ける。

女性が机の上に用意されていたティーカップに紅茶と思しきものを注ぎながら話し始める。


「来てくれてありがとね。それじゃあ、まずは自己紹介としようか、君たちもお互いのことを知らないだろうしね。アタシが君たちをここに召喚した大魔術師、アイリス・マギス・マギカルナ。アイリスちゃんでもお姉さんでも好きなように呼んでくれ。あ、ちなみにおすすめはアイリスちゃんね」


この軽い感じの話し方、私達を呼んだもう一人で間違いなさそうね。にしても・・・見た目は如何にもな感じだけど、大魔術師という割には軽すぎない?

そう考えている間にアイリスに振られ、こちら側の紹介に。まずはセーラの左隣から。


「俺は大森高校2年の木原きはら 自由人みゆと。自由の人と書いて"みゆと"だ。応じた理由は・・・子どもに頼られるとなんか手を貸しちまう性質タチだから、ってところか」


「おぅおぅ兄貴肌~」


「否定はしない」


高校2年ってことは1つ上なのか、頼られ体質の兄貴肌っと。

子どもとの絡みでなれてるのか、アイリスの軽い茶々も軽くいなしてる。

そんなイジリもすぐに切り上げ――というより自由人に切り上げられた――、セーラの番が回ってくる。


「えっと、月ノ原学園高等部1年、神月 セーラです。この見た目は母からの遺伝で一応日本人です。応じた理由は・・・あの子に・・・呼ばれた気がしたから・・・」


「あの子ってソフィアちゃん?」


「いえ、さっきも出会ったあの子に」


「さっきそんなのいたの?」


アイリスはセーラを探していたぬいぐるみと隣の少女――久那衣くないだっけ?――に問いかけるが二人は首を横に振る。

やっぱり気付かなかったんだ。にしてもはっきり姿を見たわけじゃないから説明するのも難しい。もっと入り込んでればよかったな。


「まぁいっか。はい、じゃ最後」


「月ノ原学園中等部3年、風間かざま 久那衣くない。」


月ノ原学園!だからあの時同じ場所に辿り着いたのかな

いや・・・でも・・・こんな刃物持ってる危なっかしい子後輩に居たかな?中等部の方あんまり知らないからなぁ・・・


「あれ、もう終わり!?まぁいいや、それじゃここからが本題、今回君達を呼んだ理由なんだけど・・・」


呼ばれた理由・・・たしかかなり深刻なムードで助けを求められたような・・・

あの時言っていた私たちの内に秘める力ってなんだったんだろう・・・?


「あの子・・・ソフィアちゃんはね、実はある小国の姫君なんだけど・・・その国がこのあいだ襲撃を受けて陥落してね、それでアタシのとこに助けを求めて来て、アタシが君たちを呼ぶことにしたってわけよ」


彼女の言葉遣いや仕草などから育ちの良さは分かってたから姫だと聞いて納得だけど、国が攻め落とされたって・・・あのSOSはそういうことだったの・・・だからあんな深刻だったの


「なぁ、SOSの意味は分かった、それを聞いて今更降りるつもりもないが・・・あんたが大魔術師なら俺達に頼らなくても自分でなんとか出来たんじゃないのか?」


言われてみれば、大魔術師って言うぐらいならわざわざ異世界から力もない私達を呼ばなくても、自分で状況を覆すぐらいできそうだ・・・と思っていたが、それに対してアイリスは・・・


「いやぁ~実はアタシの得意分野は防衛魔法でね、反撃とかは苦手なのよ。あと、少しでも手駒が欲しかった」


この人大丈夫なんだろうか、疑わしくなってきた・・・


「―――ッ、てか聞いてなかったけど、攻めてきた相手って何なんだ?俺達でも立ち向かえる相手なのか?隣国か?」


「・・・攻めてきたのは"大魔軍"、悪魔の軍勢よ」




舞台裏話


セーラ「舞台裏話のコーナーの時間が来ました。進行役の神月セーラです。今回のゲストはこの方々」


自由人「前回に続き木原自由人と」


ソフィア「ソフィア・ミニアル・リリアスティです。よよろしくお願いします」


セーラ「はい、よろしくお願いします」


自由人「・・・て、なんだこのノリ、いつの間にこんな形式できたんだよ」


セーラ「いっそのこと正式にコーナー化したらいいんじゃね、という匿名希望の魔術師さんからの提案です」


自由人「それ絶対あいつだろ」


セーラ「それはさておき」


自由人「置いとくなよ」


セーラ「今回の終わりについてどうですか?」


ソフィア「突然でしたね」


自由人「けどあんな区切り方稀に見る気がするぞ」


セーラ「あれはぶっちゃけると、区切り所が見つからなさそうだったからということだったんですけどね」


ソフィア「別に少し長くなってもよかったんじゃないでしょうか?」


セーラ「サブタイトル的にそろそろ区切った方が、ってことらしいわ」


自由人「それサブタイトルに縛られてねえか」


ソフィア「そろそろ時間ですよ」


セーラ「あ、ほんとだ。では今回はこの辺で。司会は、未だにキャラがはっきりしないセーラと」


自由人「なんかラジオ感覚だった自由人と」


ソフィア「ソフィアがお送りしました」



セーラ「次の投稿はいつになるだろうね」

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