128 白い鷹
門番に話をしようとしたが、双子を遠目で確認してすぐ連絡したようで執事の方が門で出迎えてくれた。
執事「アイザック様、アビゲイス様、お久しぶりでございます。お元気そうで安心いたしました。このお美しい方がミツキ様ですね?ご結婚おめでとうございます。お待ちしておりました。中へご案内いたします」
アビー「セバスも元気そうだな。叔父は今いるのか?」
執事「ご主人様は王城におられます。伝達を出しますのですぐお帰りになるかと」
「アイク、アビー、いきなり来たから都合の良い日時を聞いてまた改めて来た方が良いんじゃない?」
執事「お気遣いありがとうございます。しかし訪問があればすぐ連絡するようにと申し付けられておりますのでお気になさらず。奥様はいらっしゃいますので是非お入りください」
豪華な応接室へ案内され、執事の方が紅茶を淹れてくれた。
カツカツと小走りに近づく足音が聞こえ、執事の方がドアを開けると奥様と思われる女性が入ってきた。
執事「奥様、もう少しお淑やかにお願いいたします」
「だって!アイザックとアビゲイスが来たって言うのだもの!音は出ないように急いだのに耳が良いんだから!もう!」
いや、結構なドタバタ感だったけれど。
かわいい感じの人。
アイク「伯母上、お久しぶりです」
アビー「いきなりの訪問すみません」
叔母様「何言ってるの!いつでも来てって言ってたのに全然来ないのだもの。連絡も来ないし。まぁ私達も外国へばかり行ってて予定が中々合わなかったのもあるけれど」
そこで私と目が合う。
叔母様「まぁ!あなたがミツキさん?可愛らしいお嬢さんね!」
「はじめまして。美月と申します。この子はパール、こちらの子はコハクです」
叔母様「はじめまして。叔母のアンジェリカよ。立派なウルフとヒョウで強そうだけど、かわいらしい子達ね。2人が結婚したって連絡がきたときはビックリしたけれど、一生結婚しないと思っていて心配していたから嬉しいわ。エリックには連絡するからすぐ帰ってくるはずよ」
ピィーっと指笛を吹くと庭にある小屋から鷹が一羽飛んできてガラスの近くにある止まり木に止まった。
執事の方が小さな手紙を足元にある筒に入れ、奥様がまた指笛を吹き送り出すと飛んでいき、すぐ見えなくなるくらいのスピードでいってしまった。
「すごい。かっこいい鷹ですね」
叔母様「あら、うれしいわね。怖がるお嬢さんが多いけれどミツキさんはテイマーだから動物が大好きなのね。紹介するわ」
ピィーっと指笛を吹くと5匹の鷹が飛んできた。
叔母様「他にもいるのだけれど、その子達は今別で伝達を届けに行っているの」
すると遅れて白い鷹が飛んできた。
大きな小屋から少し離れたところに小さな小屋があり、そこからきたようだ。
他の鷹から遠く離れた止まり木に止まっている。
「白い鷹?目が赤いからアルビノ?」
アイク「アルビノって何だ?」
こっちではアルビノって知られてないのかな?
「メラニン、色素の関係で種族的には存在しない真っ白い個体が産まれる動物は他にもいるはずなんだけど、あまりいないものなの?」
アビー「見かけないし初めて聞いたな」
「いてもアルビノは病弱で自然界では長く生きられない傾向みたいだから目撃されるのは少ないのかも」
叔母様「あの子は同じ頃産まれたのと比べて小さいし、色も白いから受け入れて貰えてないみたいで。親も世話しなくなってしまって自分からも小屋に入ろうとしなくて。攻撃はされないのだけれど小屋を別に作ったの。飛ぶスピードは一番速いのに呼んでも来るのは一番遅くて、他の子達に遠慮してるみたいなのよね」
近くの石に止まり、ソワソワとその場で行ったり来たり、歩きながらこちらを見ている。
パールとコハクが近寄ると小さくジャンプしたりして嬉しそうに見える。
パールが白に近いシルバーだからかな?それとも神獣だから?
コハクが舐めて毛づくろいをしてあげると気持ちよさそうに目を閉じている。
少しして少し高く飛ぶとパールの首輪のところに乗ってしまった。
こちらに戻ってきた2匹と1羽。
「わぁ〜。綺麗な羽。触っていい?」
見た目はふわふわと柔らかそうな羽だけど滑らかな感触。
他の子達は目が黒くて、この子は赤い目。
「宝石みたいで素敵な赤い目ね」
☆☆☆☆☆☆☆
『鷹』
タカ目タカ科に属する鳥のうち比較的小さめのものを指す通称で、鳥類の一種。
タカ科に分類される種にて比較的大きいものをワシ(鷲,Eagle)、小さめのものをタカ(鷹, Hawk)と呼び分けているが、明確な区別ではなく慣習に従って呼び分けているに過ぎない。
鳥類の中で視力、捕食戦術ランキングでは1位、スピード、知能、飛行能力でも3位以内には入る能力を持っている。
特に視力は人間の8倍、地上1.5km先にいるネズミサイズを視認可能。
「能ある鷹は爪を隠す」という日本のことわざは、実力者が力を誇示せず、その能力を秘めている姿を美徳とする表現で、鷹は鳥類の中で最も優れた存在として認識されているのかもしれない。
鷹は元々「一富士二鷹三茄子」のように幸運な例えに出てきていたが、更に日本で白い動物は神の使い、幸運をもたらす特別な生き物として尊ばれてきた。
鷹は古くから狩猟に用いられ、その鋭い爪や驚異的な視力で「空のハンター」として人々に尊敬され、多くの戦国武将が鷹狩りを好んでいて、一番に名前が出るのは徳川家康だが、織田信長も若い頃から鷹狩りに熱中していた。
信長の一代記である一級史料『信長公記』の天正7年(1579年)7月の条に、白い鷹に関する明確な記録が残されている。
陸奥(岩手県遠野)の領主から信長へ「白鷹」が献上され、史料には「誠に雪の如くに白く、形も優れたる見事なる鷹(本当に雪のように白く、姿かたちも素晴らしい見事な鷹)」と記されており、流行に敏感で、珍しいものを好んだ信長はこの白鷹を非常に気に入り、他人に触らせないよう「並々ならぬ様子で秘蔵した」と伝えられている。
アルビノ(先天性色素欠乏)の個体は視力が極めて弱く(目が赤くなる)、紫外線にも弱いため、野生で生き残ることも、人間の手で猛々しい「狩猟鳥」として訓練することもほぼ不可能だと思われるので、信長の白鷹は病弱なアルビノではなく、シベリア等から東北・北海道に渡ってくる「シロオオタカ」というオオタカの亜種であると思われる。




