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第18話 新たなしもべをテイムしたけども……。



 ボーダントから6日間かけてライゼル伯爵領のフランドールまで、カイラッドさんを護衛した。

 それからボーダントに戻って、ランクアップして……何かCランクのチンピラをふたりくらい片付けて、今は森の奥の拠点に戻ったところ。


 ……あのチンピラたちはゴブリンとオークの食事になったらしい。食べるところなんて見たくなかったからそれは流石に見てないけど。


「……ご主人さま。面白いもんがあるようなのじゃ」

「面白いもの……?」


 ミカゲがゴブリンからの報告を受けて、ボクにそう教えてくれた。


 ボクにもゴブリンが言いたいことはある程度伝わるけど、グギャグギャみたいに聞こえるアレをミカゲはちゃんと言葉として理解できるらしい。


 ……転移した勇者は言語で困らないって話だったはずなのに、あのゴブリンの言葉は分からないのなんでなんだ?


「ゴブリンどもの報告によると、どうやら新しいダンジョンができたようなのじゃ」

「新しい……ダンジョンって……えっ!? 何かできたみたいってゴブリンからのメッセージは、ダンジョンのことだったのか?」


 ダンジョンって!?

 あのダンジョンだよな!?


 もはや説明不要の迷宮……それがダンジョン!


「これは奥まで入らねばならんのじゃ。ご主人さま、行くのじゃ」

「ボクが? なんで?」

「できたばかりのダンジョンなら、ご主人さまの方が魔力量は多いのじゃ。今ならテイムできるのじゃ」

「テイムって……」


 何を?

 ダンジョンの中の魔物か?


 それは今までも考えてたことだけど……戦力強化にはちょうどいいし。

 ダンジョンの中なら色々な種類の魔物をテイムできる可能性が高い。


「……でも、今でも十分、いろいろとテイムできてないか?」

「何をゆうとるのじゃ? ダンジョンの奥で夢現族をテイムするのじゃ」

「夢現族……? 何それ?」


「別名ダンジョンマスターとも呼ばれとるかなり珍しい魔族なのじゃ。ぜひともご主人さまの配下に加えたいのじゃ!」


 ええええっ!?

 ダンジョンマスターって!?


 しかもそれをテイムできるの!?

 マジで!?


 激アツじゃないですか!?

 絶対テイムしたい!?


 ボクはミカゲと一緒にキンタを中心とする軍団を引き連れて、できたばかりだという新しいダンジョンへと入るのだった。






 悲報。

 できたばかりのダンジョンマスターはとても弱かった件。

 並びに……またしても幼児体型の女の子だった件。


「うぅ……ダンジョンマスターなのにそのさらにマスターだなんて意味が分からないっス……」

「……これで何歳ぐらいなんだ?」

「それは本人じゃないと分からんのじゃ。見たところ、わらわよりも若いとは思うのじゃが魔族は見た目と年齢が一致しないのじゃ」


 確かにミカゲも120歳だけど12~13歳くらいに見えるもんな。


 ミカゲが踏みつけてる幼児体型が夢現族のダンジョンマスターらしい。

 絵面が悪すぎる……踏みつける必要ってある???


 この新しいダンジョンはまだ2層しかないとても浅いダンジョンで、しかも広さも不十分だった。

 できたばっかりのダンジョンというのは本当だったらしい。


 魔物もほとんどいない状態で、無人の野を進むように歩くだけ。


 だから、ほぼ一瞬で攻略した上に、ダンジョンマスターである夢現族のテイムもすぐに終わった。


「このへんはいっぱい魔物が集まってるから安全だと思ったっス。なんで『支配術式』で捕まったのかマジで意味が分からないっス」

「ご主人さまがおまえは何歳なのか、気にしておるのじゃ。答えるのじゃ」

「まだ100年くらいしか生きてないっス。夢現族ではかなり下の方っス」


 この幼児体型で100歳!?

 またしてもロリばばあだと!?


 Aカップのミカゲよりもさらにちっぱいまな板ちゃんだから、もはやそっちの気持ちは1ミリも動かんレベルなのに!?


 いや! 服はちゃんと着てるというか、ローブを深くかぶってる。それだけはミカゲよりもずいぶんマシなのか?


 あれで脱いだらすごいとか言わないだろうな?


 見た感じでいえば、ミカゲが小6か中1くらいで、夢現族のダンジョンマスターは小4くらいだろうか。


 でも年齢はボクの何倍も上なんて!?


 くそっ!?

 どうせならボンキュッボンな魔族カモン!?


「作ったばっかりのダンジョンに入り込むのは卑怯っス……」

「すぐに見つかるようなダンジョンを作る方が悪いのじゃ」

「……こんな奥地に人間がいるとは思わなかったっス」

「人間じゃが人間ではないのじゃ。それがご主人さまなのじゃ」

「うぅ……ご主人さまということはマスターっス。これからはマスターと呼ぶっス」


 ミカゲに踏みつけられた幼児体型の後輩セリフがまったく合わない。

 でも、これでも100年は生きてるんだよな?


「……とりあえず、名前を聞きたいんだけど?」

「名前っス? まだないっス。ダンジョンが育って、自然と名前がつくっス」

「え? そういう感じなんだ?」


「そうっス。自分は『断崖のダンジョン』から分かたれた現身っス。まだ名前はないっス」


「ほう、『断崖のダンジョン』からの現身とは驚いたのじゃ」

「知ってるのか?」


「かなり有名なダンジョンなのじゃ。まあ、しっかりと育ったダンジョンでなければ現身を分けることもないと聞いておるのじゃから当然ではあるのじゃ」


「とりあえず、踏みつけるのはやめなさい」

「ご主人さまがそう言うんならやめとくのじゃ」

「ありがたいっス……マスターに感謝するっス……助かったっス」


 ミカゲが上からいなくなると、ダンジョンマスターは起き上がった。

 身長はだいたいミカゲと同じくらいか。


「……マスターはこのダンジョンを潰すつもりっス?」

「潰すというか……まずは何ができるのかを聞いておきたいんだけど?」


 ボクはそこでようやく、ダンジョンマスターとなる夢現族についての説明を聞くのだった。






「……つまり、ダンジョンの移転も可能ってことか」

「できるっス。正確には移転ではなく、出入口を作るだけっスけど」

「よし、それなら……ちょっと考えたいこともあるし、フランドールの町の方へ出入口を作ってもらうか」

「まさかそれって人間の町の近くっス? 危なくないっス?」

「危なくはないように工夫はすればいい。これからはダンジョンづくりにも口出しさせてもらうからな」


 ダンジョンマスターの話では……ダンジョンは入ってきた者の魔力を少しずつ吸収して成長するらしい。

 もちろん、ダンジョンマスター本人の場合はミカゲのように直接吸収することもできるそうだ。


 ボクには界渡りによって身につき、さらにはレベルアップで増加した膨大な魔力がある。

 しかも、テイムした魔物が大量に存在してるし、その魔物たちの魔力も……豊富にある。数は力なり、という部分だ。


「今もマスターとミカゲ先輩がいるだけでかなりの魔力を吸収できてるっス」

「当然なのじゃ。わらわは120年生きた魔族なのじゃ。ご主人さまはそれをはるかに上回る魔力量のお方なのじゃ」

「そんな人間はありえないっス……伝説の召喚勇者みたいっス……」


 ありえない魔力量の『魔物使い』であるボクが、今後はダンジョンマスターも支配していく。


 どうにかして冒険者なんかの魔力を吸収しつつ、それでいて町の産業発展とも関連付けてダンジョン経営をしたい。

 ダンジョンと町がウィンウィンな関係になったら……領主とか、冒険者ギルドなんかがうまく活用してくれるだろうし。


 カイラッドさんもあっちに移転したし、なんとか繊維産業につながる魔物がいるダンジョンにしてしまえば……。


 くく、夢が広がるぜ……まさに夢現族か……夢を現実にする魔族……。


「それなら……とりあえず名前は……ドリカで」

「ドリカっス?」

「いや、それだとドリカスみたいだから……ドリカだ」


 夢を叶えるドリカムからとってこいつの名前はドリカでいく。


「くくく、ドリカはわらわの次のしもべなのじゃ」

「ミカゲ先輩にはなんか逆らえない感じっス!? 笑顔が怖いっス~~~!?」


 それにしても……テイムした魔物を集めておくとダンジョンマスターが寄ってくるのか。


 正しくはたくさんの魔物がいるところを安全地帯として考えるって話。

 もし今後も近づいてくるんなら……他のダンジョンマスターもテイムしてみたいところだ。


 夢現族自体が珍しいから、もうひとりがやってくるとは限らないけど。


 それにしてもダンジョンマスターの夢現族か。

 有名なダンジョンを一番奥まで踏破したら……ボンキュッボンな夢現族がそこにいるかもしれないなんて、攻略のモチベーションが高まるよな!






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