知りたいこと
ミレーユの日記を読みながら、ミレイアは涙を流していた。
読み終えた後は、うまく息ができなくて、肩を震わせてしゃくりあげている。
「あれ……なに……、これ……」
アゼルが椅子を近づけて肩を抱き寄せた。
小さな子供をあやすように、ポンポンと柔らかく触れてくる。
優しい魔力が流れ込んできて……少し気持ちが落ち着いた。
「あっ……アゼルは……アゼリオの生まれ変わりなの?」
ミレイアの真っ直ぐな問いかけに、アゼルは首を傾げながらゆっくりと応える。
「わからない。たしかに似ている気もしたけれど……僕は僕だよ。アゼリオじゃない。ミレイアだってミレナやミレーユの生まれ変わりだとしても、今は別の人間で、別の人生を歩んでる。……気にしすぎてはダメだよ」
「うん、そうだよね……」
ミレイアは、ふとマーサの方に視線を送った。
「え、マーサさん……!?」
明らかに顔色が悪い。ガクガク震えながら、目を瞑っている。
アゼルが、ミレイアから離れて、母の側に行く。そして、ミレイアにしたのと同じように肩を叩いた。
徐々に震えがおさまり、顔色が戻って来た。
「大丈夫?」
「アゼル……。ありがとう、大丈夫……」
アゼルが席に戻ると、マーサの隣に座るユキアが、静かに語りかけた。
「マーサ。すべてを話す時が来たんじゃないかい?……この子たちは、既に、あなたを妊娠させた男について……気づいているよ」
「……!」
マーサの目が泳ぐ。
「心配しないで。わたしたちが付いているから」
ユキアが、マーサに優しい言葉をかける。
「マーサ、僕からも頼む。自分の正体について、ちゃんと知りたいんだ」
アゼルが、祈るように手を合わせる。
「マーサさん、お願いします。あなたが知っていること、わたしも聞きたいです。辛いことを思い出させてしまうだろうけど……今、知っておきたいんです……」
ミレイアが、頭を下げて懇願する。
「マーサ。この中で1番非力な、わしの言葉なんて頼りないかもしれんが……お前さんは1人じゃない。我々も、森の聖獣たちも、みんな味方じゃ。何があっても守ると誓う」
イリウスが、力強く声をかける。
マーサは、深呼吸して数秒目を閉じたあと、口を開いた。
「わかったわ……。元々いつかは、話すつもりではいたの。……少し長くなってしまうかもしれないけれど、全部話すね……」




