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頼み事

魔塔を後にしたミレイアは、学園の敷地内にあるセドリックの研究室に転移した。


「セドリック、おはよう!」


光と共に突然目の前に姿を現したミレイアに、一瞬視線を送ったセドリックは、すぐに手元の研究資料に目を落としながら呆れた声を上げる。


「また来たの? まさか、今日も無謀な頼み事をしに来たんじゃないよね?」


「……ごめん、いつも頼ってしまって。セドリックほど、わたしの考えをすぐに理解して形にしてくれる人は他にいないんだもの……。結界同調器も、魔導走行車の最終調整もすごく助かったわ! 手伝ってくれた研究院のみなさんにもお礼を言わなきゃね」


「まあ、あの人たちは元々ミレイアさんの発明に興味があったから、関われて喜んでたけどね。僕も頼られること自体は構わないんだけど……とにかく毎回急すぎるんだよ!

それで……今日の用事は何?」

セドリックが、好奇心半分、怖さ半分の表情でミレイアの返事を聞き出す。


「作りたい魔道具があるんだけど、それが理論上可能かどうかセドリックに聞いてみたくて……。自分だけに視えるものを、可視化する魔道具なんだけど……」


「なるほど。頭に思い描いたものを映像化して、他人に見せたいわけだね。理論上は可能だよ」


「ほんと!? じゃあ、夜までに……」


「コホン」


作って!と無邪気におねだりをしそうになったミレイアを、セドリックが咳払いで制止する。


「あのね……可能とは言ったけど、かなり複雑な魔導回路を組まないといけないんだ。そんな簡単なことじゃないんだよ」


「ええー、今晩使いたかったんだけど、無理かぁ」

わかりやすく肩を落としたミレイアを見て、セドリックは深いため息をついた。


「はあ……。一から作れば一カ月ぐらいはかかるだろうね。だけど、今ちょうど、母さんが研究院で作ってる魔道具がある。寝ている間に見た夢を映像にする魔道具だよ。ミレイアさんがほしいものとほとんど原理は同じだから、一度聞いてみたら? ミレイアさんに会いたがってたし」


「エリサさんが!? わかった。すぐ行ってくる! またね、セドリック」


「え。ちょっと待て!まず連絡してからーー」

セドリックが止めるのを聞く間もなく、ミレイアは転移の光に姿を消した。


「……全く。慌ただしい人だな」

セドリックは肩をすくめて、再び研究資料に目を落とした。


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