1日目
なろうファンタジーフェス参加作品です。
5日連続投稿以降は不定期更新になります。
★この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・出来事などとは一切関係ありません。
拝啓 皆様
僕は今、異世界の宿屋にいます。
3畳くらいのものすごくせまい部屋です。
ベッドがあるだけの簡素な造りです。
この世界に召喚させられた時、たまたま自宅でスマホと電源アダプターを持ってうろうろしていたのが幸いでした。
僕は、これら一式ごと転移させられたのです。
この世界に電源コンセントがあったのに驚いたけれど、それ以上にアンテナが立っていることにびっくりしました。
さすが日本製です。
でも、いつ帰してもらえるかわからないこの状況。
SOSの意味も込めてこの『小説家になろう』でここでの生活を記します。
まずはじめに、自己紹介をしておきたいと思います。
僕の名前は『たこす』といいます。
別に深い意味はありません。本当にありません。適当につけた名前です。
まさか、こんな場面で必要になろうとは思いもしませんでした。
もっと、真剣に考えればよかったと後悔してます。
ゲルシュタイン・マッシュンビッゼ・ボッホとか、ボーゼフォン・ガルドネーゼ・シュトライツとか、そんなかっこよさげなの。
召喚させられて、王様に
「勇者たこすよ」
と言われた時は、死ぬほど恥ずかしかったです。
穴があったら、間違いなく入ってました。
王様も、まさか召喚した勇者の名前が『たこす』とは思いもしなかったでしょう。ほんとすいません。
「今、この世界は滅亡の危機に瀕しておる。なぜなら、暗黒大陸に魔王が現れたからじゃ。おぬしを召喚したのは他でもない、その魔王を倒して世界を救ってほしいのじゃ」
細かい部分は忘れたけど、だいたいそんなことを言ってました。
僕はそれを聞いて「ほんとにそんなこと言う人いるんだなあ」と感心しました。
赤の他人に世界をたくすって、どんな気持ちだろう。
「やだ」って言うとどうなるのかなって興味はあったけど「空気読まねえな、こいつ」と思われたら嫌なので、了承しました。
そんな厳かな雰囲気が漂っていたからね。
やっぱりその場の空気って大事。
でも、だからといって右も左もわからないこの世界で一人で行けるわけもありません。
そしたら尊大な王様がお付きを一人つけてくれました。
アシュリーという名の女剣士です。
身長は僕より低くて160㎝くらいでしょうか。
赤毛のショートカットの可愛らしい女の子です。
白い胸当てをし、腰から剣をぶらさげ、マントをなびかせて颯爽と歩く姿はまさに異国の剣士そのものでした。
僕は彼女に連れられて、とりあえず今日は宿屋で休むことにしました。
ツインではなくシングルを二部屋選ぶところが、女の子らしいなあと思いました。
まあ、当然と言えば当然だよね。
異世界の宿屋だから一緒の部屋かと期待したのだけれど……。
ほんと、何もない部屋だけど、一泊4ゴールドだそうです。
それがどれだけの価値かはわかりません。
日本のビジネスホテルだと、すごく安くて4千円くらいでしょうか。
だとすれば、この国の物価は日本の約千分の一ということですね。
あらやだ、わかりやすい。
とにかく、これからの旅が順風満帆であることを願います。
あと、できれば救助に来ていただけると助かります。
追記:アシュリーさんの年齢は26歳だそうです。おそるべき童顔!!




