↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
246/246

第二百三十七話 部下達の訓練そしてニコ様の魔法

レタスに案内されながら訓練場へと行くと、部下達は五人ほどのチームに別れて模擬戦を行っていた。

「へぇ?本当にしっかりと訓練してるんだな?」

「もっ!」

俺はいつも料理をしているので、訓練を見るのは二週間程前に王都から帰ってきた時の一回だけだったが、その時はまだ一対一で稽古をしている程度だったが、今周りでは俺が作った魔道具を使って魔法を発動し、かなり激しい戦いが繰り広げられている。

それに感心して思わず呟くと、いつも訓練に参加しているレタスが当然とばかりに一鳴きする。




レタスと一緒に部下達の訓練を見回っていると、ニコリーネ達の女性チームと模擬戦をしていたニコールが駈け寄ってくる。

「ニコ様!俺達と模擬戦して頂けませんか?」

「敬語。」

全くもって問題無いのだが、敬語が気に入らないので注意しておく。

きっと俺に怒っていたグランドギルドマスターのルシアも俺に注意した時はこんな気持ちだったのだろうとしみじみと思い返す。


「・・・俺達と模擬戦しねぇか?」

「いいぞ?どこからでもかかって来い。」

俺が答えると同時にニコールの後ろから火の玉が飛んで来るので、受け止めて分解する。

突然の状況に驚くニコールの後ろを見ると、満面の笑みで次の魔法を放とうとするニコリーネの姿が確認出来た。

周りの部下達も驚いて立ちんぼになっているので、どうやら俺の了承と共に魔法を放ったのは彼女のようだ。

そしてそんな事を考えると後ろから殺気を感じて、反射的に腕を十字に組みながら持ち上げる。

持ち上げると同時に巨大な木刀を受け止める事に成功した。

かなりギリギリのタイミングで気付いたようで、かなり危ないところだった。


「・・・レタスも参加か?」

「ぶもっ!?もぉぉぉぉぉぉっっっ!」

受け止めたレタスの木刀を掴んでニコリーネ達のほうに向かって投げようと力を込めるのだが、必死に踏ん張るので中々投げられない。


「なら向こうの陣営に行っけぇぇぇっ!」

「もぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!」

少し卑怯な気もするが、身体強化魔法を強化してレタスをニコリーネ達の下へと乱暴に投げる。

レタスはとても悔しそうな鳴き声を上げながら飛んで行き、ニコリーネ達を巻き込みながら地面を転がる。

そしてレタスはニコリーネ達だけでは飽き足らず、周りで模擬戦をしていた部下達をも巻き込みながら転がり続ける。

なんともおおげさな事である。


「・・・さて、仕切りなおしだ。どこからでもかかって来い。」

「わかりました・・・」

ニコールがよたよたとレタスが転がった方向に走って行くので、俺は木刀を適当に構えてニコール達を待つのだが、少し様子が変わってきた。

レタスが余りにも派手に転ぶものだから、周りで模擬戦をしていた部下達が心配して駆け寄り、どんどんとニコール達の周りに部下達が集まり始める。


「問題無い!これからレタスさんと俺達でニコ様と模擬戦を行うだけだ!」

ニコールが集まった部下達に説明するのだが何やら騒ぎ始め、困り果てた表情のニコールが駈け寄ってくる。


「ニコ様・・・みんな俺達の陣営に加わりたいと・・・」

「問題無い。なんなら俺は二個の魔法しか使わないし、俺の結界を割れれば御褒美をやろう。」

「っ!?本当に!??結界も魔法で、だよな?」

「そうだな。だから実質俺が使う魔法は一つだ。あとお前らの持てる限りの力で来い。」

ニコールは俺の言葉を聞いて部下達の下へと笑顔で走って行き、円陣を組み始めるので、どうやらこれから作戦会議を始めるようだ。


「(今日は・・・魔鰐は鶏っぽかったから唐揚げもいいな・・・)」

木刀を構えてみんなが動き始めるのを待つのだが、一向に作戦会議が終わる様子は見られないので、俺の意識は今日の夕食へと行ってしまう。

「まだるっこしいっ!とりあえずぶっ放せばいいんだよ!」

俺が今日の夕食のメニューを考えているとニコリーネの声と破裂音が聞こえ、鉄の弾が飛んで来る。

ニコリーネは不意打ちに成功したと笑顔で俺を見ているが、前もって雷魔法を発動して、自分の周りに磁場を形成しているので全く問題無い。

特に何をするでもなく、迫ってくる鉄の弾を見つめながら、ただ適当に構えたままニコール達が動くのを待つ。














----ニコール目線----

俺が主導して作戦会議をしているが、全くの平行線だ。

副リーダーのニコラスとドメニコとニコリーネはとりあえずアンジーさんに頂いた魔砲をぶっ放せばいいと言う。

だがそれでもしニコ様に何かあったら?俺はタルトさんとアンジーさんの逆鱗には触れたくない。

俺はみんなを必死に諭していたのだが、痺れを切らしたニコリーネがニコ様に対して魔砲をぶっ放し、いつの間にか円陣の外に出ていた部下達も魔砲を構えて一斉放射している。

「お前ら!何をしたのかわかって・・・わかって・・・」

ニコリーネ達を怒ろうとするのだが、目の前で信じられない光景が広がり、言葉が出てこなくなる。

「(もし何かあったら?・・・ははっ!俺達が勝てないアンジーさんよりも強いって言うタルトさんを圧倒するニコ様に・・・もしなんか無かったな。)」

ニコリーネ達の魔砲が放った鉄の弾は真っ直ぐニコ様に向かって飛んで行った。

飛んで行ったが、直前で軌道を変えてニコ様の横をすり抜けて、後方で爆発が起きる。

勿論適当に木刀を構えて立っているだけのニコ様は無傷だ。



「嘘っ!?次よ!」

ニコリーネは驚きながらも、後ろの部下から弾込めを終えた魔砲を受け取ってニコ様へと鉄の弾を放つ。

だがやはり魔砲の弾は直前で不自然に軌道を変えてニコ様の横を素通りして後方で爆発する。

どうやらニコ様は結界とは別に防御魔法を使っているようだ。

二個しか魔法を使わないと言っていたので、これで魔法は出尽くしたはずだ。


「リーダー!魔砲は当たらないよ!?次はどうする?」

当たらない魔砲を放ちながらニコリーネが言ってくるが二個目の魔法の正体が全く掴めないので指示のしようが無い。

俺がどうすればいいのかと困っていると隣のニコラスが指示を出し始める。

「ドメニコ隊は魔法で攻撃だ!俺の隊はニコール隊を魔法で強化しろ!ニコール隊はドメニコ隊の魔法が収まったら一斉に向かっていけ!」

部下達はニコラスの指示を聞いて一斉に動き始め、ニコ様に向かって様々な属性魔法が飛んで行く。

だがまたもや俺の予想外の事が起きる。

ニコ様が右手を突き出すと、向かって行った魔法が手の平に集約して爆発もせずに何事も無かったかのように消えて行く。


「怯むな!何かの魔法だ!ニコール隊かかれ!」

「待て!ニコ様は攻めて来ないから作戦を立て直すぞ!」

ニコラスが続いて指示を出すが、どう考えてもそれは悪手だ。

ニコラスの指示を聞いてニコ様に向かっていく自分の部下達に指示を出すのだが、俺の声は聞こえないようで全員ニコ様に木刀で切りかかる。


「おい二コール!みんなが混乱すんだろ!」

「違う!俺を差し置いてお前が勝手に命令してるんだろ!?」

ニコラスが俺の胸倉を掴んで怒ってくるが、俺としてはニコリーネとニコラスが暴走しているだけの話だ。

だがニコラスの言い分は俺が優柔不断だから、代わりに指示を出したという事になっているようだ。

ニコラスとそんなやり取りをしていると、目の端に転がる部下達が見えたので反射的にニコ様の方向を見る。

部下達は呻き声を上げながら地面に転がり、ニコ様は先ほどと同じように適当な構えのまま上の空で何やら考え事をしている。


「ニコラス!俺を受け止めろ!」

こうなったら俺自身でニコ様の二個目の魔法の正体を確かめるしかない。

ニコラスに指示を出して単身ニコ様に飛び掛る。


「ニコ様覚悟!」

「よし。今日は魔鰐のクリームシチューだ。」

今日の晩飯はくりーむしちゅーらしい。

「(どんな料理かはわからないが美味そうだ!)」

そんな事を考えながらも俺は決死の覚悟で飛び掛るのだが、突然何かに引っ張られて勢いが消え、タイミングを合わせて振り下ろしていた木刀が空振る。

何が起こったのか理解出来ずにいると、ニコ様が更に口を開く。


「だがパンの数が心許無いからクリームシチューは駄目か・・・どう思う?」

「知らねぇよっっっぐえっ!!」

俺がツッコミを入れると、なぜかニコ様は満足気な表情を浮かべながら右手を軽く振ると、俺の体が後ろに吹っ飛ぶ。

押されたというよりは、引っ張られる不思議な感覚だ。

だが今のでニコ様の魔法の正体が大体わかった。

俺達の体を操作している訳では無い、ニコ様は何らかの方法で俺の防具を操っているのだろう。

俺が押されているのではなく、防具を引っ張られている。そう考えたら先ほどの空振りも今吹っ飛んでいるのも説明が付く。

そんな事をスローモーションで流れる景色の中考えていると、ニコラスに受け止められる。


「大丈夫か?」

「あぁありがとう!お前ら全員武具を脱げ!勿論ニコ様から頂いた魔道具も全てだ!」

「おい!頭打ったのか?」

「打ってねぇ!ニコ様は二個しか魔法を使わないと言った。結界ともう一つは何らかの方法で防具を操る魔法だ・・・見てろっ!」

俺が周りの部下達に指示を出すとニコラスが心配してくるが狂って無い。

それを証明するためにも自分の武具を外してニコ様に再度切りかかる。


「さすがだ。洞察力は合格だが・・・まだまだだな。」

俺は謎の力に引っ張られる事無く、振り下ろす木刀はニコ様の結界に当たるのだが、ニコ様の余裕の声が聞こえると共に木刀から結界の感触が伝わってくる。

結界の感触は絶対に割れないと確信してしまう程の絶望的な感触だ・・・などと考えているとすさまじい衝撃が体を襲う。

ニコ様が俺の腹に木刀を握っていない左手で掌底を打ったのだ。

「ぶっっ・・・剣使わねぇのかよぉぉぉぉっ!?」

衝撃と共に再び吹っ飛びながらも肺から出て行く空気に任せて全力の突っ込みをしておく。

ニコ様がガッツポーズをしているのが見えてかなりイラッとしていると、木刀を振りかざしたレタスさんとそれに続くニコラス達とすれ違う。


「(あれ?ニコラスがいなくなったら誰が俺を受け止めるんだ?)」

不思議に思うが、俺の意識が遠のいて行くので、起きてから俺がどうなったのか誰かに聞くしかなさそうだ・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。