↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
231/246

第二百二十二話 グランドギルドマスタールシア

翌日俺達は三人で街の外へと出かける。

ディアナの安否がわからないため、もし俺達が帰ってからディアナが攻めてきたら拙い。

大変迷惑な事だが帰るに帰れなくなってしまったのでとりあえず進化した俺の力を確認する事にしたのだ。


「では本気で来てくれ。」

「わかりました!」

「あたし達が勝ったら御褒美頂戴ねっ!」

二人が本気で殴りかかってくる。

体術の稽古も兼ねているので俺も含めて全員素手だ。

意識を集中すると、ディアナとの戦いの時と同じように二人の動きがスローモーションになる。

ゆっくりと流れる時の中で違和感無く思考が出来ると言うのはとてつもないアドバンテージだ。

最小限の動きで二人の攻撃に合わせてカウンターをする。


「一発ですか・・・」

「リーダー強くなりすぎでしょ!」

二人は俺のカウンターをもろに喰らって地面に座り込む。

どうやら体の動きには、全く違和感が無いので魔力特性の性能は思ったほど変わらないようだ。

「(だが二人を強化した時はディアナを圧倒したよな?)」

単純な疑問が浮かぶ。

俺の魔力特性の性能が変わっていないのなら、あの時ディアナにいいようにされていた二人は俺が強化をすると文字通り圧倒したのにおかしい話である。


「すまんがもう一回だ。」

「かしこまりました!」

「また殴られるの?」

二人を魔力特性で強化してもう一度組手をしてもらう。

アンジーが何やらニヤニヤと楽しみな様子だが、おそらくそうはならないだろう。

魔力特性で強化した二人が先程と同じように殴りかかってくる。

だは速度は先程の比ではなく、スローモーションになっているのに避けるだけで手一杯で反撃する余裕が無い。

どうやら進化した事によって俺の魔力特性は自分以外を強化する方が効果が高くなったようだ。


「(では次だな・・・)」

次は自分の体ではなく、発動している身体強化魔法を魔力特性で強化してみる。

予想通り体が一気に軽くなり、スローモーションの世界なのに普通に動く事が出来るようになった。

そして体も進化して頑丈になったのか俺の身体は悲鳴を上げる事無く、魔法の強化に問題無く対応してくれている。

ただ自分の体を強化する時に比べると魔法を強化し続けると言うのは、魔力操作の難易度が段違いなので慣れるまでにはかなりの時間がかかりそうだ。

そして身体強化魔法の使用魔力量が跳ね上がってしまった、おそらく今の俺では身体強化魔法と魔力特性を併用出来るのは十分というところだろう。

だが魔素よりも先に自分の集中力の方が先に限界を迎えそうなので、今度は魔力特性を解除して、全力で身体強化魔法を発動してみる。



これもまた進化した俺の体は悲鳴を上げること無く普通に俺の全力の身体強化魔法を受け止める事が出来た。

ただ効果は俺の魔力特性で強化した方が効果が高いので、俺の切り札が負けて少し残念な気持ちだ。

だが消費魔素量などを加味するとこちらの方が断然使いやすいので、正に一長一短といった所である。

大体知りたかった事は知る事が出来たので二人の拳を受け止める。


「タルトは後ろ回し蹴りを多用しすぎだ。確かに強力だが隙が大きいから使う時を選べ。」

「はい!」

「アンジーは・・・まぁ今のままでいいんじゃないか?」

「え?なにそれ!?」

二人にアドバイスをして稽古を終了させる。

アンジーがとても不満なのそうだが、アンジーは普段の行動からは信じられないくらいに基本に忠実でとても堅実的なので、特に俺から言う事は無いのだ。


「それで?俺に強化されて使用魔素量とかはどうだ?」

「え?全く変化なしですよ?」

「そうね。だけどびっくりするくらいに身体が軽くなったわよ?」

二人は俺と違って普通に体を強化しただけなので使用魔力量は変化無しのようだ。

進化をする時に眷属を守る力を望んだからか、俺の魔力特性は自分以外を強化する時に真価を発揮するようだ。

一応色々と面倒臭いプロセスを踏む必要があるとは言え、俺自身の更なる強化も行える事がわかっただけでも十分だろう。

その後も二人と稽古をしつつ、進化した自分の能力を確かめる。









「ルドルフどのー!ルードールーフードーノォォォォォッ!」

三人で稽古をしているとパンジーが駈け寄ってくる。

「師匠?いい予感はしませんがどうします?」

「あたしも同感。」

「そうか?俺はなぜか嫌な予感はしないんだがな?」

タルトとアンジーはとても嫌そうな顔で走るパンジーを見ているが、俺は不思議な事にパンジーの到着が待ち遠しい。


「どうした?そんなに急いで何があったんだ?」

「ちょっ・・・待って・・・下さい。」

パンジーが目の前まで来たので声をかけるのだが、おそらく街の中から全力疾走で来たのだろう。

息も途切れ途切れな様子なので、水を渡してパンジーの息が整うのを待つ。




「お待たせしました!もう大丈夫です!」

「それで?どうしたんだ?」

しばらく待ち、パンジーが息を整えながら言って来るので再度何があったのか尋ねる。


「はい!グランドギルドマスター様がお越しです!今すぐに街へお願いします!」

「グランド?なんだそれは?」

「冒険者ギルドのトップであります!」

「ふむ。それで?なぜ冒険者ギルドの事でパンジーが?」

「戦争に関係がある事だそうなので!あと今のライネンの冒険者ギルドは職員が避難してしまって機能しておりませんので!」

「そうか。ならばさっさと行くぞ?」

そういえばライネンの街で冒険者を見ていない事を思い出す。

色々あって全く気付いてなかったが、冒険者ギルドは閉まっていたらしいので当たり前の話である。

そして聖騎士勇者が攻めてくると知って、ライネンが落ちる前に誰もかれも我先にと逃げ出すのも当たり前である。

少し考えればわかるはずなのだが、パレードの時も人が多かったので気付かなかった。

だがそう言われて、思い出して見るとこの街の規模で考えれば人が少なかった気もする。



「騎士団支部と牛舎か南門の往復で全く気付かなかった・・・」

「おかげであたしは投売りのドレスを買い漁れたけどね?」

「私も嵩張るからと色々な大型の光物を安く買えました!」

思わず呟くとアンジーとタルトが嬉しそうに言って来る。

二人はこの街にいる間にかなりの高額な買物をしていたようだったので、俺が渡した金で足りるのか?っと不思議に思っていたがそういうからくりだったらしい。

そのままパンジーと共に街に入り、騎士団支部へと向かう。


「冒険者ギルドじゃないのか?」

「はい!グランドギルドマスター様は冒険者ギルドは機能していない事もあって騎士団にいらしたので!」

当然の疑問を口にするが理に叶った答えが返ってくる。

俺と話をしたいのであれば誰もいない冒険者ギルドではなく、騎士団支部に行くのが合理的である。

パンジーの言葉に納得して騎士団支部へと入り、そのまま一つの部屋へと案内される。



「失礼する。」

「あらあら!マスクで顔を隠して聞きしに勝る可愛い坊や!」

扉を開けて部屋に入ると黒髪の女性が抱きついて来る。

とりあえず今抱き付いて来て胸を押し付けてくる女性は俺のマスクを認識出来ているので、進化した俺よりも保有魔素量が多いということはわかった。

とりあえず進化した俺よりも保有魔素量が多いというのは、かなりの要注意人物である事は間違いない。

抱きついてきた女性を引き剥がして部屋の中の様子を確認する。

部屋の中にはローブを深深と被った人間が五人と白銀の鎧の男が立っている。


「あら?簡単に引き離されちゃった?」

「申し訳ないが知合いに同じ事をしてくるやつがいるので慣れている。」

俺が部屋の中を確認していると黒髪の女性はつまらなさそうに頬を膨らませながら言って、フードを被った連中の下へと戻って行く。


「あなたがグランドギルドマスター様ですか?」

「そうよ?ルシアって呼んで頂戴?」

「ではルシア殿?「ルシアって呼んで?」」

この女は頑なに俺に呼び捨てにさせようとしてくる。

冒険者ギルドのトップを呼び捨てにするのは、さすがの俺でも気が引けるがそうしないと話が進みそうに無い。

とても気が重たくなるが、話を進めるためにも呼び捨てにしないと駄目なようだ。


「それでルシア?俺に話しがあると伺いましたが?」

「固い!私には敬語はいらないよ?」

呼び捨ての次は敬語を止めろと来た。

どうやらこちらも俺が飲まないと話は進みそうも無い。

盛大に溜息を吐いてから、再度口を開く。


「俺に話しとは何だ?」

「それでいいのよ、それでね?あなたが撃退したディアナねぇ?千人近い奴隷に煉獄炎(ゲヘナフレイム)の魔法陣を刻んでここに攻めてくるわよ?」

この女は飄々とした様子で飛んでもない事を言ってくる。

この話が本当であれば俺は奴隷達を殺す以外に手の出しようが無い。



「それは拙いな・・・」

「師匠?ニッグ達の時のように魔法陣を消しては如何ですか?」

「俺の力では直接触れないと消せん。まとまって来られたどうなる?」

「千人の魔法陣を直接手を触れて消すのは・・・一人では手に余りますね。」

タルトは俺の言葉に考え込む。

俺も魂に刻まれた魔法陣を消す術は持っている。

だが千人を越える人数の魔法陣を同時に消す事は出来ない。

ディアナが奴隷達を纏めて向かって来させたら、俺が魔法陣を消している間に近くにいる奴隷の魔法を発動されれば俺は死ぬ。

死ななくてもそれに近い状態になる重大な被害をこうむるだろう。

そして何もしなければライネンの壁を煉獄炎(ゲヘナフレイム)で破壊されてライネンは落ちる・・・正に八方塞りである。

そして俺は人を殺したくないし、殺せばエスガルド軍が奴隷を大虐殺!などと精霊教会が面白おかしく騒ぎ立てるのは目に見えている。



「事の重大さを理解したかい?だから私達はここにいるのだよ!?」

「ふむ。どういう事だ?」

ルシアは楽しそうに笑って俺の背中を叩いてくる。


「我々の情報網では君は奴隷でも殺すのは良しとしない人物だ!だからそれだけの人数の魔法陣を一発で消せる人間を用意したよ?」

「師匠?怪しいです。」

「そうね?進んで精霊教会と敵対する訳が無いわ?」

ルシアはドヤ顔で言い放ち、後ろのタルトとアンジーが耳打ちしてくる。

冒険者ギルドはこの大陸最大の中立組織として有名ではあるが、次に巨大な組織である精霊教会に対して敵対行動を起こすとは考えられない。

二人の言う通り、この話しを鵜呑みする事は出来ない。


「その前に一ついいですか?」

「ん?何だい?」

「ディアナは御使いだと自称していた。それでも俺に利すると言うのか?」

「何か勘違いしているね?まずは信用してもらうためにも説明するね?」

ディアナが御使いと聞いてもルシアを初めとした周りのローブの人間達と白銀の鎧・・・白銀の男は一切の反応を見せない。

それどころかルシアは若干呆れた表情を浮かべつつ優しく言って来るので、とりあえずルシアの話を聞いてみる事にしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。