第百六十六話 眷属の名付け(適当)
ニコはあまり人の容姿に興味を示さないので適当にしましたが。ニッグ達の姿形は後々しっかりと描写します。(予定)
俺は眷属になると言う事の意味をしっかりと説明して、拒否したのだが五人の意思は固く一歩も譲らなかったので仕方なく各々が自分の名前を考えてそれを俺が名付けると言う形で落ち着いた。
落ち着いたと言う表現は正しくない、押し切られた。
タルトも面白そうに見るだけで助けてくれないし、大変不愉快である。
「お前ら明日の出発までに好きな名前を考えておけ!」
吐き捨てるように五人に言ってテントへと向かう。
「タルトさんみたいにデザートの名前も可愛いわよね・・・」
「ならあんたはさっき食べて感動してたステーキにしたらいいんじゃない?」
「ハッハッハッ!そりゃいい!ならお前は魚の塩焼きだな?」
「お前らふざけた名前にするなよ?」
「私はルード。ルドルフ様の名前を貰う。」
「成程!考えたわね?」
「あたしは魚の塩焼きなんて名前いらない!あたしもルードがいい!」
「待て待て。ルードは男の名前じゃないのか?俺だろう!」
「お前ら・・・真面目に考えろよ・・・」
「ルードはあたしが取った。早い者勝ち。」
五人がやかましく話し始めるのが俺はさっさとテントに入って鍛錬を行って就寝する。
テントには防音と遮音効果を付けた結界を張っているので外の五人がどれだけ騒いでいてもテント内は静かだ。
先程の出来事の事はとりあえず忘れてさっさと意識を夢の中に手放す。
翌朝着替えてテントから出ると魔人の五人が正座をして俺を出迎える。
ダンジョン内なので実感は無いが、今は日が顔を出し始めた頃のはずなのに早起きな奴らである。
「おはようございます!私はニッグでお願いします!」
「俺はドルフです!」
「私はルード。」
「あたしはマリア!」
「私はノエルでお願いします。」
「わかった。ニッグ、ドルフ、ルード、マリア、ノエル報告後お前らの処遇はどうなるかはわからんがよろしくな?」
二人ほどルドルフの名前に引っ張られすぎているような気もするがみんな俺の言葉に安心したような表情を浮かべているので問題無いだろう。
さっさと焚き火を熾して朝食を作り始める。
「我々が作るべきなのに・・・申し訳ありません!」
「気にするな。ダンジョンから出て処遇が決まり、そして機会があればその時は頼む。」
「お任せ下さい!」
ニッグが申し訳無さそうに言って来る。
俺が名付けたというのは今もまだ納得いってないが、やはり名前があるというのはとても便利だ。
ニッグは黒髪の青年で俺に切りかかってきたリーダー格の男だ。
そして副リーダーはルードで大人しい女性だが五人の頭脳役のようだ。
そしてお調子者のドルフとマリアに、最後は昨日はみんなと一緒に騒いでいたので少し不安ではあるがみんなのまとめ役ノエルだ。
「ではタルトを呼びますね?」
「待て。地底湖の魔魚に食われたいのか?お前らは近づくな。それにあいつはほっといても匂いに釣られてやってくる。それよりも聖騎士の二人を起こして貰えるか?」
何か仕事をしないと落ち着かないのだろう。
俺の朝食がもう少しで完成という所でニッグがタルトを呼ぼうと立ち上がるので止めて別の仕事をお願いする。
俺達が普通に釣りをしたり、水浴びをしているので安全な地底湖と思っているようだが近づくと魔魚が飛び出してくる危険なダンジョンの湖なのである。
それに呼びに行くまでも無くタルトはベーコンエッグの匂いに釣られてこちらへ泳いで来ているので問題無い。
それよりも聖騎士を放っておいて帰るのは色々と問題が出そうだ。
「では私は配膳を!」
「なら任せた。食器はこれで頼んだ。」
ノエルが言って来るので朝食の準備をしてもらう。
その間にニッグに起こされた聖騎士と話をしておかねばならない。
「おはようございます。朝飯は食べますか?」
「・・・頂きます。」
「ちっ!食べさせて貰うぜ!」
鎖を差し出しながら言うと、ヴィンガとロンヴァルトは悔しそうに顔を歪めている。
どうやら俺との再戦をなどとは言い出す気配は無いので一安心だ。
二人を連れてノエルが配膳を済ませてくれているので座って朝食を始める。
「クルックゥゥゥゥ!」
「来たか。お前の分も用意してるぞ?」
朝食を食べているとタルトが隣にやって来てベビードラゴンのように甘えるような鳴き声を上げるので皿に盛った朝食を差し出す。
タルトは本当に賢くて助かる。
こうする事によって、ルドルフの従魔のベビードラゴンとニコのメイドをするタルトとの接点を少しでも減らそうと考えてくれているのだろう。
ベビードラゴンそのままに朝食を食べるタルトの頭を撫でておく。
「クルゥッッ!」
「その子は従魔ですか?」
「そうです。とても賢い子で俺の言葉をしっかりと理解してくれるんです。」
「それはすごい!さすがはドラゴンですね?」
ヴィンガはタルトがベビードラゴンと信じきったようだ。
タルトもしてやったりと目を細めて鳴いているので、俺も小さく頷いておく。
「それで・・・俺の今後の処遇を聞かせて頂きたいのですが?」
「もう少し監視してから決めます。」
「そうだな。力は見せてもらったがまだ水竜を従える程とは思えねぇ!」
「・・・四六時中ですか?どれくらいの期間ですか?」
「四六時中です。我々が納得して精霊教会に報告出来るまでです。」
「ずっと付いて行くぜ?」
どうやら俺はこれから何時までもかわからない期間を聖騎士に監視されるようだ。
しかも四六時中だ、四六時中付いて来るという事は俺はずっとルドルフのままという事だ。
アランと武闘会の決勝戦を見る約束をしているのに・・・アランに何を言われるか考えたくも無い。
そして期間も未定という事は学校が始まっても付き纏わたらどうすればいいのか?
冗談じゃないと!声を張り上げたいが、絶対に聖騎士と事を荒げたくないので何も言わずにグッと言葉を朝食のスープで喉の奥へと押し込む。
「ではこの五人の処遇も決めなくてはならんからさっさと食事を食べて城に帰ろう。」
「我々は貴方に付いて行くだけです。」
「どこでも好きな所に行ってくれよなっ!?」
考えても仕方が無いのでさっさと朝食を食べて、身支度を整える。
「ドラゴン?手紙を書いておいた。先に帰ってみんなに報せてくれるか?」
「きゅぃっ!」
ベビードラゴンの振りをしたタルトの首に吊るしたマジックバッグに手紙を入れると嬉しそうに飛び立って行く。
「(これでアラン達が帰るまでに対応策を考えてくれている・・・といいのだが。)」
少し心配だがあいつらに任せるしかないのが現状なので仕方ない。
「主!食器は洗えばいいですか?」
「待て何度も言わせるな!お前らは地底湖に近づくな!」
みんなが食べ終わって食器を集めながら聞いて来るので止める。
ニッグ達が地底湖に近づけば魔魚が飛び出してくると何度言っただろうかと考えながらニッグから食器を受け取って地底湖へと歩く。
いつか敵になるかもしれない奴らがいるので、手の内は一つでも隠すためにも地底湖の水を汲んで手洗いで食器を洗う。
「待たせたな?さっさと帰るぞ。」
「「「「「はい!」」」」」
「ではお手並み拝見ですね?」
「どうやって帰るんだろうな?」
ニッグ達は気合十分の様子で返事をする。
「(お前らに手の内を見せる訳がないだろう・・・)」
楽しそうに話すヴィンガとロンヴァルトを見て思うが決して口には出さない。
帰りは探索魔法で魔物を探知して避けながら普通にマラソンするだけなので地底湖の入口であるなだらかな坂道を走って上って行く。
「普通ですね?」
「この奴隷達がいるからじゃねぇのか?」
「奴隷ではなく眷属ですそこは間違えないで頂きたい。」
森の中を走っているとロンヴァルトから不快な言葉が聞こえたのでしっかりと訂正しておく。
俺は奴隷という言葉がどうしても好きになれない。
「失礼しました。」
「はっ!奴隷も眷属も一緒だろうが!主のために命を張るんだろ?」
「奴隷は強制させられるが眷属は向こうから希望するものです。それにニッグ達には権限は与えても奴隷のような強制は何一つしていません。」
俺は出来る限り丁寧に説明するが、ロンヴァルトは納得していないようだ。
隷属の首輪などで強制的に従わせているのではないので、そこは絶対に間違えないようにして欲しいのだが難しそうである。
何よりもニッグ達の眷属化もタルトの眷属化も俺は全く望んでいない。
「そういえば・・・もし。もしだが俺が有罪となったらどうなりますか?」
「我々が持てる力を持って貴方を処罰します。」
「昨日が全力だと思うなよ?」
「そんな事を思っているはずがないだろ・・・俺が殺さないとわかっていたのでしょう?」
「貴方が聖騎士と揉め事を起こしたくないっていうのはひしひしと伝わってましたからね?」
「刀を突きつけて終わらせようとしてたしな?」
わかってはいたが手の内を出来る限り見せずに終えられて本当によかった。
とは言えこれからしばらくは監視されるので本当に面倒だが出来る限り手の内を隠さなければならない。
今も認識阻害魔法を隠して普通にマラソンをしてダンジョンを出ているのだ。
今後聖騎士と争う事無く無駄な努力で終わる事を願うばかりである。
少し気になって後ろを確認するがニッグ達も涼しい顔で後ろを付いて来ているので問題無さそうだ。
三人で話しながらダンジョンを走り抜けて行く。
そのまま昼過ぎに何事も無くダンジョンの入口へと辿り着く。
「主!聖騎士殿達の前なので言い難いのですが・・・我々は身分証を持っていないので・・・」
「構いません!我々が見ているのはルドルフ殿だけです。」
「さっさと行きな?俺もルドルフしか見てねぇから。」
ニッグ達が申し訳無さそうに列を成してダンジョンから出て行く。
ニッグ達は身分証を持っていないので入る時は忍び込んだので帰りも受付を通らずに出て行くのだろう。
ダンジョンの入口は高い塀に囲まれている上に厳重な警備なのにどうやったのかとても気になる。
少し早足でダンジョンを出てからニッグ達を探す。
「普通に端の塀を登るだけか・・・」
「予想外ですね。」
「なんでばれねぇんだ?」
普通に受付の目を盗んで端っこの塀を登って出て行くニッグ達を見て思わず声を漏らすとヴィンガとロンヴァルトも同じように気になっていたようて同じように声を漏らしている。
気を取り直して普通に受付を通って大通りで待っていたニッグ達と合流する。
「お前ら・・・逃げようとかは考えなかったのか?」
「なぜです?眷属となりましたし。何よりも身分証も無く、ギルドカードを作れるかもわからないのにどこに逃げると言うのでしょうか?」
ニッグの言葉にそういえばと思い出す。
ギルドカードを作る時に血を一滴垂らして登録する。
これにはカードの使用者を限定するためと、もう一つ魔族か確認するための行為らしい。
もしかしたらニッグ達の魔族の血に反応して登録できない可能性もあるのだ。
魔族の血が混じっているだけでここまで不便なのかと、魔族への差別に嫌気が刺す。
「とりあえずおまえらの処遇は出来る限りいいものにしてもらうようにする。」
少なくともハイゼン王国を初めとした精霊教信仰国にいるよりは絶対優遇してもらう。
聖騎士の前なので最後の言葉は口には出さずに八人で城へと向かう。
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