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2.警官時々、ガキ。

〈××通り〉

初めて来たわけでもないので、難なく来れたが……。

マスコミと記者がごった返してる上に、上空にはヘリの音がパラパラと聞こえてくる。どこぞのYouTuberもいる始末だ。

「よお、ストレイト、元気か。」

近くにいた警官一人に話しかけると、うんざりしたような顔をされる。慣れているので、なんにも思わないが、市民を守る警官としてこの反応は些か気には食わない。

「元気だったぜ、お前の顔を見るまではな。オオカミ少年なら中だぜ。」

「じゃあ、失礼するぜ。」

チッと舌打ちが聞こえてくる。

それを無視して、オオカミを見つける。

「久しぶり。」

「よ、私立探偵もしがない記者も現場に入れるなんてなぁ。なんて杜撰な現場だ。」

「あはは、お金さえ積めばなんとかなるよ。ストレイトは特に、ね。」

「だな。」

親指と人差し指を擦り合わせる下品な友人に笑いをこぼしながら、小さな遺体を見る。

「身元確認は?」

「まだ。でも、おそらくここら辺の子。」

「いえ、××通りを抜けた二つ隣の通りのお子様です。

親御様にご連絡が取れました。今からこちらに向かうそうです。」

「相も変わらず、優秀なヒツジさんだな。」

「流石だよメリー、ありがとう。この子の名前は?」

「ベッラ・リエラ、11歳の女の子です。

死因は……詳細は不明ですが、注射痕があることからなにかしらの薬物が投与されているかもしれません。抵抗の後もなく、暴行された形跡もございません。

ご両親のお名前はアリシア・リエラ、トーマス・リエラ。兄弟姉妹はおらず、一人っ子です。個人調査の範囲でですが恨みを持たれるような経歴はお二人にはございませんでした。」

ヒュウと口笛を吹く、度肝を抜かれる優秀さだ。

隣で大口を開けているオオカミにいつものことだろとツッコミを入れつつ遺体に目を向ける、異常なまでに綺麗な状態で、周りには色とりどりな花が散らばっている。まるで死んだこの子に向ける手向けの花かのようだった。ヒツジさんが言ってたように、腕に注射痕がある。

「ヒツジさん、流石に犯人はわかんねーよなぁ……。」

「残念ながら、その結論には至れておりません。」

「わ、分かってたら、僕が捕まえてるからねっ!」

「寝言は寝て言え。そこからはうちの管轄だ。てめえんとこの助手が有能なんで、現場に入れてやってるだけで調子乗んなよ貧乏探偵。」

「お、お金を出さなきゃ話すらしてくれない癖に!?」

ストレイトが現場に入ったかと思えば、先ほどのヒツジさんの言葉をメモしに来ただけだった。

後ろにはグレッガーもいる。ちょいちょいと指で招くと、素直にこっちに寄ってくる。こっちはまだ可愛げがあるんだがな。

「ここらへんの監視カメラは?」

「お待ちください。確認します。…………なんだ、ペーパーファクト社はちゃんと許可は取ってますね。

どうします、映像か切り取りか。」

「写真を見るよ、今から映像なんか見てられっかよ。」

「ふっ、前ブルーライトどうのだか拷問どうのとか言ってましたね。どうぞ。」

前、映像を見せろと言ったら、長時間知らねえオッサン2人と密室に置かれた上に、小言を聞かされながら、徹夜させられた。もう二度とあんな目には遭いたくない。

グレッガーから写真を受け取り、数枚ある写真をめくりながら見る。

「……おい、子供が写ってねぇぞ。」

「ええ、大人が数人通ったくらいです。子持ちが通ったような形跡もない。

宅配業者も通ったためそちらも調査中ですが、現段階では実在する宅配員で、荷物もこの通りのアパートの住人が受け取っている。

荷物の内容はご協力頂けて、ただの調理器具だということが分かってます。ミキサーだそうですよ。」

解像度は悪いものの、大きさ的には確かにミキサーが入っているくらいだ。

11歳の子供が入っていそうな大きさではない。

「いつも写ってるやつとかいねえのかよ。」

「そんなのあったら、とっくに捕まえてますよ。

……いやぁそれにしてもペーパーファクト社も頑張ってますねぇ。

実は我々もそれなりに頑張ってるんですけど……。」

「はいはい、いつものな。……今夜、いつものバーに来いよ。ついでに一杯奢ってやるよ。」

「えー!!ずるいです!俺も行っていいすか。」

後ろから後輩が登場してくる、いつもの事なので俺はさほど驚かないが、目の前にいるグレッガーは目をまん丸にして驚いている。

お前の見える方向から来たのにな、警察失格じゃないかと笑い飛ばそうとするが、機嫌が悪くなったら、写真を手から取られかねない。やめておこうと判断してから後輩に返事をする。

「ミルクでいいか?」

「あははガキ扱いっすね!……ミルクかぁ……カルーアミルクで!」

皮肉も通じない後輩だ。甘い癖に度の高いお酒もぐいぐい飲める、子供のような大人、それでいて完璧に仕事はこなす。ピーターはまるで犬のような奴だ。

「皮肉も通じないな。また今度な。」

また今度という俺の言葉にブー垂れるわけでもなく、約束ですよ!と言いながら、後ろでウキウキしている雰囲気が感じ取れる。

「はぁ……目の前でいちゃつかないでください。ていうか、ピーターは何しに来たんですか。」

「なにって、取材だけど。」

「だから、なんの取材か!って聞いてるんです!この記事の担当はこの人でしょう。」

「いや、あまりにも事が大きいから、事件記事担当の記者は全員担当になってる。あとはね、近くであった模倣犯のサインを撮りに来たんだ。」

「ああ……。」

納得がいったのか、グレッガーは引き下がる。

後輩同士なにかと突っかかりやすいみたいで、時折飲みにも行ってるようだった。

俺的にもこいつの方が安価で済むから、こいつと取引することの方が多い。

ストレイトは金に目が眩みすぎている、取引を持ち出すと金金とうるさい、出せる範囲ならいいが調子に乗らせるとこちらの引いたラインをニヤニヤしながら超えてくる、そんな奴だ。

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