今日も世界は美しいわね!
おはよう皆さん良い朝ね!私は魔女のエスメレルダよ。雲一つないこんな朝はパン屋に行って焼きたてのパンを買うに限るわね!身が引き締まる空気、遠くに見える大きなお城、赤レンガの屋根達、煙突から立ち上る雲のような煙。美しい街並みが心地よい気持ちを運んでくれるわ!
でももうすぐ夏だし日差しが辛いわ、日の出からそんなに立っていないのに大きな黒いつばあり帽子を被ってきちゃった。おかげで日差しは大丈夫だけれど、この帽子はおばさん臭くないかしら。私はかわいいと思うのだけど、すこーし年季も入っているし、、
「さっきから一人でなにぶつぶつ言ってるのさ」
「街中でしゃべらないでくれるジジ?また毛をむしられたいのかしら」
「朝からヤなこと言うなよ、、」
石畳を歩く私の足元から無粋な口をはさんだのは黒猫のジジ。私の使い魔よ。つややかな毛並みが美しいのだけど、しつけのためには仕方ないわよね。むしった毛はちゃんと魔法薬の材料に使うから安心して頂戴。首輪代わりに赤い蝶ネクタイを付けているのだけど、それにも文句を言うのだからペットを飼うのも大変だわ。
「で、どうせお目当てはパン屋の息子だろ?悪いこと言わないから止めといたら?ご主人じゃ相手にされないって」
「まあこの子ったら主人になんて言いざまかしら。だれもが振り向く美女で愛嬌もあって家事もできる私に可能性がないとでも?」
「見てくれはな。息子の何世代前から生きてるとnんむ!?」
「なんのことかしら、私は永遠の乙女よ?」
まったく失礼しちゃうわ。余計なことばかりしゃべる使い魔なんて鞄の中につっこんでおかないと。腰に届く小麦色の髪に白くハリのある肌、抜群のスタイルに宝石のような翡翠の瞳が見えないのかしら。19歳でも通るのよ私。
あら、そんな事を話していたらもうパン屋だわ。さあ今日も彼はいるかしら♡
「いらっしゃいませ!あ、いつもありがとうございますエスメレルダさん!」
「カール君おはよう!朝からお疲れ様!」
きゃあーーー!!今日もカッコいいわ!カランカランとベルを鳴らして店に入るとエプロンをつけたカール君!ブロンドの綺麗な髪と青い瞳、町の小娘どもが騒ぐのも納得のイケメンね!もうカール君の顔を見ないと一日が始まらないわ!
「いつものがちょうど焼きあがった所なんですよ。あったかいうちにどうぞ!」
「ありがとう!いつも助かるわ!」
「カールさんっ以前頂いたかぼちゃを使ったパンはあるかしら!」
ちょっ、邪魔よ乳臭いガキが、もっとカール君と話させなさいよ!
「ねえ今日のおすすめはなにかしら!」
「カール君予定開いてる?」
「迷惑でしょうあなたたち!パンを買ってから順番にっていったでしょ!?」
花に群がる害虫共が。まあ美しい花の宿命というやつかしらね。きちんとお手入れしてあげないと。
「あはは、皆さん並んでお買い物してくださいね。アンナさんいつもありがとうございます。おばさん、息子さんは元気ですか?あっカーラさんお久しぶりです!」
さすがカール君、接客も丁寧で気遣いに溢れてるわね!その輝く笑顔を見るだけで元気になるんだから。三か月通ってお話してお互いを知ったし、少しは好意を抱いてくれてるはず。何度もアプローチしてるのにあまり構ってくれないんだもの、彼はきっとシャイなのね。
(にゃーごニャーゴ)
ジジうるさい。だからほんとはもっとゆっくり関係を進めたかったけど、最近さらにお店が繁盛して人気だし、そろそろ本気で動くべきね。おいしいパンも買えたしそろそろ帰って準備しなきゃ。
「あっエスメレルダさんありがとうございます!この間のクッキーありがとうございました!また来てくださいね~!」
「もちろん!絶対また来るわ!またね~!」
やっぱりうまくいくわ私たち!青春はまだまだこれからよ!
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「はあ、今日もかっこよかったわ」
「そりゃよかった。で、その大鍋なにさ」
「え?トカゲのしっぽと蝙蝠の目玉と彼の髪と」
「おい最後。じゃなくて用途だよ」
「惚れ薬を作ってるにきまってるじゃない」
「そんなまっすぐな瞳で言うものじゃないだろ、、」
家に帰ったあと、大鍋で煮込んでいるとジジにそんなことを言われたのだけれど、そんなにおかしいかしら?女から求婚するなんて恥ずかしいじゃないの。男性から女性の家へ結婚を申し込むのが普通だし私だってそれに憧れてるんだから。
となれば、恋のおまじないに惚れ薬よね!むしろ魔女ならこれは由緒正しい行い!これで決定打を打ち私たちの関係を進化させるのよ!小娘ども、恨むなら好感度も稼げず魔法も使えない自分を恨むのねおほほほほ!!
「この禍々しい苗木とかなんだよ、鉢にも入れず。風もないのに動いてるぞ。、、、、、、、、ニャンッ」
「あっそれはっ」
『ひぎゃあaあaaadあaiuvあaaあuっ!!........。』
なにゆらゆら揺れる葉に本能を刺激されてんのよはい再封印!
はあ、はあ、危なかった。割と本気で。これは触っちゃだめでしy、あーあ。
「あばばばばばbっ」
まったくしょうがない子ね。せっかく綺麗な黒猫なのに、白目剥いて泡吹いてたら台無しよ。にしても百年の恋も冷める顔面ね。ぷふっくくくw
「ほら起きなさい。聞いたの数秒でしょう私の使い魔がこれくらいで死なないでよね」
「っはぶう!?うぇほっなんだ、頭痛の次は胸に衝撃が、、」
「心臓マッサージよ。それよりこれマンドラゴラなの。抜いたらヤバイ悲鳴上げるやつ。惚れ薬で使うから魔法陣の上で抜いた瞬間の状態で保管してたのに、なに勝手に触って変顔を、ぶふっw 思い出すだけで笑えるwあばばばってw」
「その右こぶしは、、ちょ、笑いすぎだろ!くそっなにやってんだ俺ぇ!」
「ふう。ひと悶着あったけどお鍋はこれでOKね。ええと次の材料は、、グリフォンの牙か」
そうそう、惚れ薬を作るのも久しぶりだったから忘れてたわ。今は在庫切らしてるし、、仕方ない。一狩りいくとしましょうか。なんだかジジに出鼻をくじかれたし、気分転換もかねてパーっとやろうかしらね!
「グリフォン、私の恋のために牙ぶち折らせてもらうわよ!いざ奴らのねぐらへ!!」
◇
そんなわけでやって来たわ、奴らのねぐら不毛の断崖!かなり距離があるけど、箒に乗って飛んでいけば一日もあれば到着するわ!魔女なめんじゃないわよってね!
目の前には切り立った断崖で構成されている大きな円錐型の山。うーんいつ見ても侵入者を拒む形をしてるわね。山全体に侵入者を惑わす霧や雲もかかってて、存在自体伝説扱いされてる霊峰だけど魔女にかかれば朝飯前よ。
「ふーん、惚れ薬つくるのも大変なんだな」
「そうなのよ、でも恋は障害が多いほうが燃え上がるって言うじゃない?」
「もう諦めろってばあさん、、」
「あ?」
「あんな危ない植物とかグリフォン使って頑張ったとしても、番をつくったこともない陰険な年増が今更若い雄を捕まえられるはずがないっt」
「それでなんだって?てっぺん禿げ」
「ニャアアーー!!僕のチャームポイントがあぁぁぁ!!ディジーちゃんに毛ずくろいしてもらえなくなるじゃないか!来週はミルちゃんにシロさんと魚取りの約束もあるのに!ご主人の鬼!」
「ふっ。愉快。にゃん玉取らないだけありがたいと思いなさい」
「くそっ使い魔のコミュニティ甘く見るなよ!明日にはご主人の悪評が一帯の魔女たちに伝わってるだろうさっ!」
「あら、そっちこそ魔女の井戸端会議を甘くみないことね。あんたのドジとてっぺん禿げのこと、王命より早く広がるわよ」
「・・・」
「・・・」
「この話はここまでにしときましょうか」
「、、そうだね」
頭の上の毛がごっそりなくなったジジがまだ不満げな顔してるけど、これ以上はお互いよろしくないことになりそうだし引き下がるとしましょう。なによ、あんたがライン越えの発言したのが発端なんだからおとなしく箒にしがみついてなさいな。
「ええとなんだったかしら、そうそう、惚れ薬を作るのは大変だけど、内気であと一歩の勇気が欲しいって女の子の大きな味方だからすごく人気なの。前は定期的に作ってみんなの恋を応援してたっけ。でも最近は分解剤も増えてきてるみたいね、、そろそろ新しい惚れ薬でも研究してみようかしら」
懐かしいわね、昔の思い出がよみがえるわぁ。それに皆で恋に一喜一憂してた学生時代。あの頃は楽しかったわ。友達と恋バナして胸がキュンキュンしたり。まだ未熟でちゃんとした惚れ薬は作れないから、恋のお守りとかが流行ったんだっけ。
貴族家出身の女生徒ががっつり依存させる惚れ薬使ったけど、結局バレて報復された事件もあったわね。それで私は、薬はあくまできっかけにしかならないと思ったんだっけ。やっぱり真実の愛を育む方が素敵よねえ。私はお守りの方が好きだし、惚れ薬を作る時は効果時間を短くしたり強さを調整したりしてるわ。
ああ、後輩のレティカや弟分のコンラートは元気にしてるかしら。
「世の青少年のために邪魔すべきだろうか。同じ雄としてぼくがやらないと男たちがかわいそ 」
「次は全身脱毛よ」
「運命は自分の手で切り開くものだよね!」
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「あっやっと頂上が見えてきたわよ!」
全身をしっとり濡らしながら雲を突き抜け見えてきたのは、切り立った無数の岩の巨 搭。城より大きくて穴だらけの搭が立ち並ぶここが奴らの巣穴。搭に横穴を開けてそこに住んでいるわ。うんうん、前と変わらず夕暮れ時のカラス並みに飛び回ってるわね。けどカラスと違って、上半身は鷲で下半身が獅子の大きな生き物が飛び回ってるのは壮観だわあ。まずは下準備ね。大きなカバンで持ってきたし、戦いはすでに始まっているのよ!
_______
よし完了!さーてどいつにしようかしら。どうせなら大きくて魔力に溢れた奴がいいのだけど、、
「ねえあいつは?」
「あらいいじゃないっ獲物はあの子で決まりね!」
太陽の光を反射してキラキラ輝く羽毛、体高が5m ほどがグリフォンの平均だけど、それを二回りは上回る巨躯、そして長生きした強者の証である強い魔力!こんな子中々いないわよ、よく見つけたわねジジ!ひときわ高い巨搭の上で寝そべって10頭の手下を侍らせてる姿はまさにボス、相手にとって不足なしよ!
「早速取り掛かるわよ!」
「その小瓶は?」
「私お手製、甘い香りの香水よ。嗅ぎすぎると前後不覚になって死ぬちょっと危ないやつだけどね」
「うをいっそれ投げ捨ててよ!」
「風の力で制御してるから大丈夫よ。ほら、あいつが香りに誘われてやって来たわよ!」
突然周囲を見渡してすんかすんかと鼻を鳴らすボスグリフォン。よしよし、風を操ってボスだけに香りを届けて、準備したひとけ(?)のない岩穴の奥までまで漂わせてと、、 入った!
「今ね。さぁ成長なさいな!」
あとは杖を振って魔法を使って入口に植えた苗を成長させれば、即席の木の根の蓋が完成よ!
「そういやさっきあの岩穴の中でなに準備してたのさ」
「頑張って持ってきたマンドラゴラを配置してたのよ。あとは杖で合図を送れば、、」
--クエエエッ.. .. ..
「戦わずとも勝てるってわけ」
「えげつない」
これなら戦いでの危険は最小だけど持ってくるのは大変だったわあ。抜くと悲鳴をあげ、悲鳴を聞いた生物を殺す危険植物だもの。でも、抜かずに周りの土ごと運ぶ労力はかかるけど持ってきて正解だったわね。厄介な相手には何もさせなければいいのよ。
「あとは採取だけ、、わおっ!」
「グックエエ、グウ、、クエ、」
「さすが大物、魔法耐性も一級品ね」
驚いた、魂に直接作用するマンドラゴラの呪いを耐えて木の根も切り裂いて出てくるなんて。外傷はないけどふらふらで、足元もおぼつかない。それでも四足で立ってこちらを威圧してくるなんて、根性みせてくれるじゃない。人間なら惚れてたかもだけど、あなたがグリフォンだったのが運の尽き。さあ次の一手よ!取り出したるはかわいいお人形メアリーちゃん。
「いけっメアリーちゃん!」
『うヴぁうあなぶbヴぁういvばうヴぁn___________________!!!!』
放物線を描き飛んで行ったメアリーちゃんはボスグリの背中にポテっと落ちると突然ガクガクブルブルと震えて奇声を上げ始めたわ。うんうん、今日も元気いっぱいね。可愛いお洋服着せてお姫様みたいに着飾ってるとはいえただの木偶人形なのに、ボスグリを小さな手足で毛を引き抜く勢いで掴み、口をカタカタ鳴らして血涙も流すその姿、これぞまさしく極上の呪物!!
「グエッ!?ガ、エ、エエ、、」
さすがメアリーちゃん。グリフォンといえど敵ではないわね!小さな体から噴き出すどす黒い怨嗟のヘドロがボスグリを包んでるわ!
「えーと、あの人形は?」
「たくさん墓地を巡ってね、幼くして亡くなった子供の怨念を山ほど染みつかせてみたの!普段は厳重に抑え込んでるけど、封印を解くと近くの生物の魂に助けを求めて縋りついて地獄へ道ずれにする呪詛をかけちゃうのよ。生物の格では劣ってるけど、人間の恨みつらみの念は格上の魔法生物すら殺しうるわ♪」
「うわー魔女だ」
『ひやゃゃyゃあぁぁaうbばaべbfヴえbんc@qんcぁぁぁ!!!』
胸の奥が詰まるような重い悲痛の吐露。理不尽に対する困惑。親を求める無数の手。心を揺さぶるむき出しの恐怖心。苦痛に震える悲鳴のコーラス!この激情の発露、ああなんて美しいのっ。 私の大好物の負の感情がたっぷり!善も悪も内包し、魔法の力がなくとも強烈な意思だけで世界の法則に影響を及ぼせる生物なんて人間だけよ!神もたまにはいい仕事するじゃない。人間って素晴らしい!
「うっとりしてるとこ悪いけど、グリフォン今にも死にそうだよ」
「あら危ない。戻っておいでメアリーちゃん!それじゃ、お待ちかねの採取の時間よ!」
ようやくノコギリの出番ね。牙といえどこんなに大きいと切りがいがあるわあ。私の腕くらい太いじゃないの。そぉれギコギコ~♪大丈夫殺しはしないわ!牙を一本頂くだけよ!
「グエッ、ガ、」
「うふふっせっかくの大物だもの、綺麗にとりたいわよね!ほらほら寝たら死ぬわよ!まだ半分なんだからしっかりしなさいな!ふ、ふふふっ」
「哀れボスグリ。半端に強かったばかりに、、」
「グ、エ、、」
「とったど~~~!!なんて、うふふ♪」
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「ふ、ふふふ、ふふ、出来たー!これでイチャイチャ生活を始めるのよ!」
夜なべしてやっと惚れ薬を完成させられたわ!私の望む未来が今、すぐ目の前まで来ている!
「いまさらだけど、自信あるなら普通に告白しなよ」
「人間はね、男が女に求婚するのが普通なのよ。だからこれでシャイな彼に求婚してもらえばすべてがうまく収まるってわけよ!」
表では私、以前に病魔を払ってあげた老夫婦のとこでお世話になってるから良家の娘で通ってるし家柄的にも問題はなし。あとは求婚してもらえば物語のような結婚ができる!
「良家の娘なら縁談くらいないの?」
「結婚できればいいってもんじゃないの。一目ぼれした彼と恋愛したいのよ!というわけで、さっそくこの薬を飲んでもらわなくちゃね。さあ彼のとこに行くわよ!」
「えぇ、まあついてくけどさあ」
希望の未来へ Here we go!待っててね、ダーリン!
_________
「ありがとうございました!あれ、エスメレルダさんこんにちは!お昼にくるなんて珍しいですね」
「こんにちはカール君!今日はちょっと夜更かししちゃってね。それとお夕飯にお客様をお招きするからいつもより多めにパンを頂くわ」
「わかりました、ありがとうございます!どれにしますか?」
「えっとね~」
お昼の彼もかっこいい!
なんだか緊張してきちゃった。大丈夫、あとはこれを飲んでアプローチするだけ、頑張るのよエス!
「ねえ、もしよければ貰ってくれないかしら。いつもお世話になってるお礼よ。これ、うちで取り扱ってる紅茶なんだけどね」
「これは丁寧に、こちらこそいつもありがとうございます!」
「カール、そちらの方は?」
「ああエリー」
ん?誰よあなた。店の奥から出てくる若いおん、な、なんだか距離近くない?まって嫌な予感 が
「うちの常連さんだよ。エスメレルダさんは会うの初めてでしたね。その、先日婚約した俺のフィアンセです」
「はじめまして、エリーです!私近くの食堂の娘で彼とは子供の時からの付き合いなんですっ!
あっよかったら今度うちにも来てください、しっかりおもてなししますよ!」
「そっそう、なのね。おめでとうカール君」
「ありがとうございます!親も手放しで喜んでくれて、祝賀会をしようって張り切っちゃってて少し恥ずかしいんですよね。あ、これ今日のパンです、サービスしておいたのは内緒でお願いしますね!」
「あら、助かるわ。それとごめんなさい、この紅茶試作品であまり良くない出来のを持ってきちゃってたみたい。また新しいのを用意するから今回はごめんなさいね」
「いえいえ、気遣いなんて大丈夫ですよ。またいつでも来てください!」
「うふふ、じゃあそろそろお暇するわ。お幸せにね」
「また来てくださいね~!」
___________
「・・・・・・・・・・・・・」
「その、ほら、そろそろ元気だせよ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「あー、相手いる奴に惚れ薬は使わないって、それくらいの良心は残ってたんだな」
「、、、当然よ。お互い心から好きにならなければ意味がないもの」
「ならそもそも薬使うのは悪でひでぶッ!?いつもよりツッコミ激しいぜ、、」
あと一歩早ければ、いえ、幼馴染って言ってたわね。どのみち私に可能性はなかったということかしら。カール君のあんな顔初めて見た。照れくさそうで幸せそうな顔、私には一度も、、あんなに寄り添ってくれたくれたことだって、、私顔引きつってなかったかしら。ちゃんと失礼がないように撤退できたの?頭が真っ白になってからよく思い出せないわ。私の、恋、、
なにしてたのかしら、一人で舞い上がってバタバタして。私なんか彼の邪魔をしてただけ、なのかしら。私の魅力が足りなかった?あんな小娘に負けた?ありえない。やっぱりあの女に呪いをかければ、それくらいは造作もな、駄目よその一線は越えちゃダメってわかってるでしょう私!あっなんだか目から汗が。家までは我慢しないと。
「ねえお姉さん、どうしたんだい?一人?話があるなら聞くよ?」
はあ、こんな男に獲物とみられるほど弱ってるのね。もたもた歩いてないでさっさと帰ればよかった。傷心中の女ならいけるとでも?チャラチャラして人の弱みに付け込もうとするようなクズ男に、、あらイケメン。
「近くの通りにいい店があるんだ。ごちそうするから少し話さないか?誰かに話せば楽になることもあるぜ?」
なによ、ちょっと面がいいからって調子乗らないでくれる?そんなに安い女じゃないの。大体私の好みはカール君みたいなやさしくて包容力のある人なの。野性味溢れる青年に微笑まれたくらいで靡かないんだから。
_____________
「つらかったな。ほら飲め飲め!飲んで愚痴言って忘れよう!最後まで付き合うからさっ!」
「ありがとう、じゃあお代わり頂こうかしら」
「おっ良い飲みっぷりだね!」
__私ってほんとバカ!なにホイホイついてきてるのよ!どうみても邪な気持ち 100%で声かけてきたでしょうこの男!案の定裏路地の薄暗くて怪しい店に連れ込まれたし、お酒に薬入ってたし!まあそれは胃薬って言って飲んだ薬草で解毒してるけどね魔女の薬学なめんなっ!そう、誰かに話を聞いてほしかっただけ、それだけなの他意はないわ!
「お、お姉さんお酒強いね。体調は大丈夫かい?」
「これくらいまだまだ余裕よ。せっかくだからめいっぱい飲むわ。お代わり!」
んぐっんぐっプハーー!
「はいっ辛気臭いのは終わり!いつまでもうじうじしてちゃ彼に申し訳ないわ!こうなりゃ飲んで愚痴吐いて忘れるわよ!あの女、なによ見せつけるように腕なんか組んじゃって!もう自分のものですアピールってか!?ええそうよしっかりつなぎとめておかないと掻っ攫うわよ!お代わり!」
「ちょ、おねえさ」
「ゴクッゴクッ、プハ、カール君、何年も部屋にひきこもって研究に明け暮れ、人のぬくもりすら忘れかけてた私に恋心を思い出させてくれたカール君。毎朝優しく接してくれたカール君!あなたのおかげで人間らしさを取り戻せたわ!ありがとうお代わり!」
「ちょーと待ってお姉さん!そろそろ止めといたほうがっ」
「うっさいわね。あんたさっきから全然飲んでないじゃない。ほら飲む!」
「んぐっ!?ちょ、こんあことせてとうはると、、」
「こんな美女と間接キスできたんだから満足でしょう。ほら呂律回ってないわよ。さあ傷心の女になに盛ろうとしてたのか、身をもって味わい反省なさいな!お代わり!」
「こんろっよくろおれにぃ!」
「まだ足りないようね、私特製ジュースもあげちゃう。ご不満ならメアリーちゃんを抱かせてあげてもいいわよ?」
「ンゴッ!?ってんしゅう!」
「、、、さて、なんか用かいお客さん。少し酔いすぎてるみてぇだしその辺にしとけ」
「さすが裏通りの店主さん!理解が早いしリスクヘッジができてるわ!ノコノコついてきた私にも非はあるし薬酒出したのは見逃してあげる!今日のお代と迷惑かけた分は全額コイツからむしり取っといて頂戴!
ああカール君、あなたが幸せなら私も幸せよ!ゴクっゴクっぷは、店主さんもっと高いお酒頂ける?あはははは!!」
「くしょおぉぉぉぉぉぉ!!」
「あはははははは!!!お代わりぃ!!!」
もう一話だけ続きます!今日中には投稿する予定です!




