天使の加護
城へ戻ったルーナは、シサヤの部屋に向かい、彼女の部屋で報せを待った。ルーナが戻り少しすると、兵舎が騒がしくなり、「何かがあった」ということがわかった。
シサヤは黙ってルーナを抱きしめ、「きっと大丈夫です」と強く言った。
朝方、ようやく報せを聞いたルーナは、改めて血相を変え、すぐに孤児院に向かった。
院長のもとへ向かうと、院長は何事もなかったように出迎えた。
院長の部屋に入ると、彼女は照れ笑いを見せる。
「お騒がせしました」
「無事で良かった」
「そうですね。子供たちを悲しませずに済みました」
「一体何が?」
ルーナの問いに院長は頭を掻く。
「男たちが施設を壊すとやってきまして、話し合いのために彼らの指定する小屋へ入ったんです。彼らの主張は筋が通っていませんでしたので、誰かに雇われたのだとすぐにわかりました」
「そんな危険な場所へ一人で行くなんて」
「そうですね。ただ、子供たちから彼らを話せるのなら良いと思いました。彼らの一人が私に襲いかかろうとした瞬間、あの狼が部屋に現れ、その人の首をこう、咥えて捩じ切ってしまったのです」
院長は両の手を使って状況を説明する。
「恥ずかしながら、目の前で人体が壊れるのを見て失神してしまったんです。あとは気が付いたら助かっていました」
「立派な護衛がいるみたいで安心した」
「少し前に傷だらけで倒れていたんです。私はただ、少しの手当をしただけですよ」
院長は笑う。
「国の兵士さんが、しばらくは院の周りを巡回してくださるそうです」
「安心ね」
「はい。なので私は、あの者たちが誰で、誰の命令でやってきたのかを調べるつもりはありません」
院長は笑顔のまま語気を強めた。ルーナがこの後話そうとしていたことを察知したようだった。
「まだ何も言ってない」
「ええ。だからです。何か言う前にお伝えしたくて」
「そう。・・・・・・きっと、もう大丈夫。すぐに何も起こらなくなる」
「そうだといいですね」
院長はわざとらしく頷いた。その様子を見たルーナはふっと笑うとわざとらしく頭を下げた。
「ご安心を。あなたには天使のご加護がありますから」
「・・・・・・ありがとうございます。ルーナ様も」
「?」
「まるで天使に守られているようですね。お気を付けて」
院長の言葉に、ルーナは冷たく笑うと部屋を出た。




