そして歌は、世界を救う
Past and future 作詞 松野心夜 作曲 なし
歌 杉谷寿奈&服部正子
過去も未来も 大事だから・・・・・・
例え負けたとしても 僕は過去を恨みはしない
だって 次は絶対勝てるって信じているから
瞬間を恨む時 いつでもあるけど
夢に希望を持って進もうよ
過去も 未来も 大切な時間さ
時間や運命と共に 僕らは生きているから
誰にでも 夢をかなえるチャンスはあるよ
だって 君は独りじゃないんだから
過去の努力も 未来への希望も
無駄じゃないさ 進もうよ
希望へと
服部先輩が託してくれた、最後の歌。
想いも、願いも、全て私が受け継いで、こうして歌っている。
誰かの憎しみも、誰かの悲しさも、誰かの辛さも。
全て受け止める。
歌や踊りで人を幸せにするというのは、そういうことだ。
「杉谷寿奈・・・・・・寿奈だ!」
そして願い通り、私は客全員を正気に戻すことに成功した。
これで戻らなかったらとひやひやしながらだったが、如何やらその心配は必要なかったようだ。
歌を止め、そのまま私はステージを降りた。
腹を蹴られ、悶絶する北子の前に立ち、右手を差し出す。
「な、何の真似よ・・・・・・」
「歌や踊りは、誰かを操る為のものじゃない。
だからこそ、人はそれぞれの歌や踊りを好きになる。
そして、人に強さを与える。
負けや失敗から得た強さをつぎ込んだ音楽は、貴女の洗脳には負けない」
北子は言葉を失っているようだった。
私は今の歌で、一応世界を救うことは出来た。
だけどそれは、反対に彼女から大切な何かを奪う事だったのかも知れない。
誰かに勝つということは、他の人が目指していたゴールを奪ったということなのだから。
彼女はきっと、今の負けから何かを学べたかも知れない。
今度こそ、今度は正しい方法で、自分の望みを叶えようと努力するだろう。
私は、そう信じている。




