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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
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真実、そして寿奈達の為に出来ること

「そんな・・・・・・」

 真宙が口を押さえながら、その場で崩れ落ちた。

 包み隠すことなく、空良は起きたことの全てを話した。

 寿奈を殺したのは北子の仲間であること。

 実験の出資者の一部に、真友がいたこと。

 そして、感謝祭を利用して人間を洗脳しようとしていること。

「だから貴女達には言わず、私は秀未先輩だけを連れて計画を止めようとしたんですよ。

行動の理由、分かりますね?」

 空良は目を細めながら言う。

 あらゆることで、空良は今憤りを覚えている。

 何も出来ない自分自身と、感謝祭を使って世界を掌中に収めようとする敵に。

「だけど秀未先輩には、もう無理をさせられない。

これ以上メンバーがいなくなると、感謝祭に影響する可能性もある」

「ならその方が

「ダメなんですよ、真宙先輩」

 真宙の言葉を制す空良。

「あの剣士がいる以上、北子を止めることは不可能なんです。

ですが、感謝祭中だからこそ、奴らを倒す手段があるんです。

それに、寿奈姉さんの為にも中止なんて出来ません」

「どうすれば、いいの?」

 空良はチェスの駒を弄びながら、真宙の問いに答えた。

「敵は会場内で音楽を流すつもりでいます。

だけど、仲間を洗脳しないように配慮する筈なんですよ。

そこに漬け込むんです」

 空良の作戦は具体的に二課程に分けられる。

 まず、警備スタッフに空良が持っている資料の全てを見せ、協力を呼びかける。そこでスタッフにも、作戦を伝える。

 次に音楽を鳴らし始めた瞬間に北子を確保、北子を助けようとした重美を催眠弾で眠らせる。

 念の為、空良も隠れて作戦の成り行きを見届ける。

 これが作戦だ。

「成功確率は限りなく低いですが、今の所はこれしかありません。

ですがこれを成功させなければ、感謝祭終了と同時に世界は奴らの手に渡る。

だから、私は一人でもこれを成功させてみせます」

 そう言って、部室を出ようとしたその時。

「待ってください、空良さん」

 琴実の声。

「その作戦、私達にも手伝わせて下さい。

私達は、ただ皆で踊る為だけに活動しているのではありません。

歌と踊りで皆に笑顔を与えて、仲間が困っていたら助け合う。

それが『Rhododendron(ロードデンドロン)』。スクールアイドル『Rhododendron(ロードデンドロン)』なんです!」

「先輩・・・・・・」

 少しの間、空良は忘れていた。

 自分がもう独りではないことを。

 そして、アイドルであることを。

 寿奈と出会い、皆と出会い。

 そして空良は、寿奈よりも凄いアイドルになろうとしている。

「生死も関係ない、学年も。

どんなに離れ離れになったとしても、私達は仲間なんです。

仲間である限り永久に、他の仲間と無関係ではいられませんよ」

 琴実は、思い出しているのだろう。

 正子を、寿奈を。

 彼女らは死ぬ寸前まで、自分達の仲間を大事に想っていた。

 だから、空良も。

「命尽きるその時まで、私達は仲間です。

だから、皆でこの世界を守りましょう。

歌と踊りは、笑顔を届ける為の魔法なんだってことを、奴らに教えましょう。

きっと寿奈姉さんなら、こう言いますよね」

 あの時、独りでいた空良に手を差し伸べて言った言葉。

 そのまま空良は、口に出した。

「皆さん、練習しましょう!」


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