撤退
間一髪、というところだった。
秀未は重症を負っていたが、幸い死には至らず、応急処置を施した後滋賀へと帰還した。
久しぶりの学校。久しぶりの部室。
まだ怪我でまともに動けない秀未を背負いながら、空良は部室の扉を開けた。
「あ、そ――秀未ちゃん!?」
道女、琴実と共に練習をしていた真宙がすぐに秀未の所へ駆け寄った。
その時、空良は少し俯いていた。
秀未と共に、寿奈を殺した犯人を追っていた。
それが知れれば、真宙は物凄く怒るだろうから。
「だ、大丈夫だ・・・・・・生きているぞ真宙」
涙混じりに笑顔を浮かべた後、真宙は次に空良の方を向いた。
真剣な顔をして。
「ねえ、今度は何したの?
何で秀未ちゃんがこんな大怪我してるの?」
正直に答えることを、空良は恐れた。
これを答えれば、真宙はこの先一生自分を赦すことはないかも知れない。
彼女にとって先輩である寿奈が死んだだけでもあれだけのショックを受けていたのに、今度は親友が大怪我をしていたのだ。
だが、言うしかなかった。
「二人で、寿奈姉さんの仇を潰そうとしていました。
ですが、秀未先輩が敵の攻撃を受けて、この状態に・・・・・・」
パチン、と空良の顔にビンタが飛んだ。
真宙だ。
あの時、空良が秀未を傷付けた時以上に怒った顔で、真宙は空良を怒鳴りつけた。
「二人の馬鹿!
私達に何も言わないで・・・・・・勝手なことしないでよッ!
二人がいなくなった時、私達がどれだけ心配したか、ちゃんと考えてたの!?
そんなボロボロになって・・・・・・これで大会出られなかったら、それこそ寿奈先輩になんて言えばいいの!?」
だが前とは違う。
この怒りは、秀未と空良を友だと思っているからこそ。
心配しているからこその怒り。
「かっこ・・・・・・悪いですね。
これだけボロボロになっても、敵には傷一つ負わせられないんですから・・・・・・」
秀未からは既に話を聞いた。
あの秀未ですら、重美の剣を見切れず、掠り傷すら与えられなかったらしい。
「全てを話します。
もう隠す必要はありませんよね」




