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今日からアイドルを始めたい!  作者: 心夜@カクヨムに移行
ファイナルライブ編 杉谷寿奈よ、永遠なれ!
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一刀VS二刀

「・・・・・・」

 逃げる空良に対する攻撃を全て裁いた後、しばらくは膠着状態が続いた。

 また会おう、などと無責任な事は言ったが、正直自分の体力は残り僅かと言った所だ。

 少しでも気を抜けば、たちまち殺されてしまうだろう。

「どうしたの?

お仲間を逃がすのに成功したのは良いけど、もうすぐ貴女死んじゃうわね」

「貴様に殺されてたまるかッ・・・・・・」

 今の秀未に出来ることは、たった一つ。

 体力が限界になるまで重美と戦い、危険を感じたらすぐさま撤退すること。

 一部分でもダメージを与えておけば、それだけ相手の動きは悪くなる筈だ。

 次交戦する時には、その隙を狙って倒す。

「重美、行くぞ」

「・・・・・・」

 重美は答えない。

 だが二刀を、すぐさま構えた。そのまま二人は、同タイミングで。

 その場から消えるように、動き出した。

 金属同士が衝突した音が鳴り響く頃には、秀未と重美は競り合い始めていた。

 ――やりおるッ!

 剣同士の殺し合いで、第一撃をどう繰り出すかはとても重要な因子だ。

 もし相手の動きを読み、それに対応出来れば、たった一撃で勝負をつけることが出来る。

 秀未は急所――心臓ではなく、肩を狙った。

 重美はそれを看破し、二刀を使わずにこの攻撃を防いだ。

 秀未の狙いは、重美を殺すことではない。

 重美を出来るだけ無力化し、警察に連行すること。

 重美の動きを見る限り、素人に毛が生えた戦闘スキルでは、重美の動きを止めることはほぼ不可能だ。

 空良も優によって武術を心得たが、まだ完璧に自分のものとはしていない。

 よって重美に対抗出来るのは、兄に次ぐ実力を持つ自分以外この場にいないと判断した。

 だから、空良を逃がした。

「・・・・・・」

 互いに口を開かない。

 重美――秀未は全ての剣使いを知っているわけではないが、剣道界では聞いたことのないものだ。

 剣道の世界で、二刀流を扱うのは宮本武蔵の流派である二天一流などが有名だが、あの動きはどこの流派でも見た事の無い動き。

 まさに、人を殺す為の剣。

 恐らく今の実力になるまで、何度も独力で鍛錬を重ねたのだろう。

 だとするなら大したものだ。

 我流の剣術が、整った流派の剣術に敵うことなどあまりない。

 秀未が扱う剣術も、長い歴史と強さを誇るが、重美の剣におされている。

 重美は自分以上の天才だ。恐らく、兄以上でもあるだろう。

 一人の剣士として言うならば、この強い剣術に圧倒されることに対して悔いなどない。

 だがスクールアイドルとしては、この勝負には負けられない。

 空良も言っていた。自分一人の死がどれだけの者を悲しませるのか。

 そしてその事は、秀未自身も寿奈の葬儀で感じていた。

 人は一人では死ねない。

 常に一人の死の裏では、多くの人の悲しみがあることを忘れてはいけない。

 死とは、そして生とはそういうものだ。

「ッ!」

 重美の連続攻撃を全て受け止め、次に秀未は突きを放った。

 今度も、急所をずらした肩に向けての攻撃。

 光の如き速さで進むその剣を、重美は再び食い止めた。

「ば、馬鹿な・・・・・・」

 今の攻撃は回避不可能の筈だった。

 それを僅かな時間で体勢を立て直し、防御を可能としたのだ。

「ねえ?

(つるぎ)相手に、手加減なんてしてるんじゃないわよね?

そんなことしたら、貴女死ぬわよ?」

 北子の言葉。

 だが、それに耳を貸したのが運の尽きだった。

 秀未の右胸に、重美の一刀が突き刺さった。

「ぐっ・・・・・・」

 辛うじて左胸――心臓を突き刺される前にバックステップし、すぐさまそこから駆け出した。

 

 一方、重美はそれを追おうとしたが。

「放っておきなさい。

どうせ警察に言った所で、警察程度じゃ私を止めることなんて不可能だしね」


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