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第88話【ヴァルカンに帰還】


1月20日までちょっとストックできるだけ書きますので20日の18時頃に更新する予定です。誤字脱字の報告や感想などのご指摘など助かってます。今後もご愛読の方、よろしくお願いいたします。



 ミスリル鉱石や魔鉱石が多く眠っている鍾乳洞窟は崩れやすい為に土魔法で補強しながら進んでいた。妖怪になったお陰なのか疲れを感じない。他のメンバーにはそれぞれ適度に休むように伝えたが、九条らに再び尻尾を掴まれてしまった。

 

 妖怪だから疲れない身体になっている事を伝えたが、それでは元々の俺の生活スタイルになるので何処かで強制的に休ませないと永遠に掘り続けるだろうと九条らに詰め寄られた。

 

 だって、早く洞窟から出たい。それに今後の事を考えるとメンバーの武具類を新調した方が良いだろう。それにいい加減新しい製薬品造りを再開して美容関連を作り出してグレイスらに教えないと売り上げが心配だ。南の街・ヘイヴンや西の街・ヴァルカンの街には多くの女獣人の娼婦が居るので、新商品の希望がチラホラでできている。稼ぎ時なのだ。


「もう直ぐ開通するからさ。家帰ったらゆっくりするからそれでダメ…?」

 

「えっ?もう開通できるのか?」

 

 妖怪になった影響なのか砂塵魔法と土魔法をうまく使いこなせるようになった事で予想していたよりも作業が順調に進んでいる。グランドらが坑内通気こうないつうきを先に作ってくれたお陰で後は掘り進めるだけだったので俺一人でもなんとかなるレベルだった。

 

 もうちょっと人手がいると思ったが、イザベルやマグノリア、本城やバレッタが土を運び出してくれ、九条が明かりを他のメンバーで崩れそうな場所の補強や魔物討伐をしてくれたおかげでもある。


「それに早めに作業を終わらせて今後の方針を話し合わないとだしな。イザベルの目的が火炎の魔神・バラックと妖魔王ツルギの討伐ならレベルアップしないとキツいだろうし…」

 

「確かになぁ。ウチも余裕やと思ってたのにあのザマやったからなぁ…。もうちょっとパーティーとして強くならんとジョウくんにおんぶに抱っこやとキツいわな…」


 フォロカルとの相性の良さで敵を侮っていた九条は、結果的に俺に手持ちの切り札を使わせてしまった事を悔やんでいるように見えた。本城や高城もフォロカルの威圧感に押されてしまって護る事で精一杯だったのもわかっている。

 

 個人的には、全員五体満足で無事に帰れるのであれば問題はない。ただ、俺に無茶をさせてしまった事が悔しいのだろう。もっと自分が強ければ役に立てたと自分を責めている様な気がする。

 

「…俺は今後何処まで強くなれるかわからん。そうなってくるとパーティー全員で支え合っていくしか手段はないと思ってる」

 

「なんだよ?気を使ってるのかよ…?」

 

「梨沙はともかく、綾香と桃華は顔に出やすい。だいたいあんなトラウマレベルな事がありゃ、気にするないう方が無理だろう?」

 

 話ながら作業を進めていると、再び尻尾を掴まれてしまった。だから、それやめて。マジで痛いんだって、特に真ん中のヤツ抱き締めないで、敏感だから。すると、壁の隙間から光が入ってきた。この壁を壊せば西の街・ヴァルカンに戻れる。3人に離れるように伝え、壁に手を触れて砂塵魔法で砂化させて外に出ると、ヴァルカンの冒険者ギルドの裏手にある岩山に繋がったようだ。

 

 冒険者ギルドの直ぐ裏手にミスリル鉱石が取れる鉱山への通路が出来た事を報告する。証拠としてミスリル鉱石を取り出し、ヘレナ達が討伐したミスリルリザードとミスリルゴーレムをトレジャーボックスから取り出すと、報告を受けていたギルドマスター陣とヴィクターが頭を抱える一方で、モーグルは大笑いしていた。

 

「モーグルの大旦那。笑い事じゃありませんよ?ミスリルリザード2匹にミスリルゴーレムですよ?それに上位魔将(アークデーモン)の件を含めると…」

 

「だろうな。ダイアラック王国中の金をかき集めても支払いできねぇ。何の為に俺がいると思ってるんだ?競売に掛けて他国から金をふんだくってくればよいだけの話だろ?」


 モーグルはエルドラの国が支援している冒険者クラン向けに武器や防具、ミスリルリザードの皮やシーサーペントや地竜(アース・ドラゴン)の皮等を売れば俺達に払う金は何とかなると見ているようだ。ヴィクターは東の悪路を何とかして陸路を確保したようだ。


「モーグルの旦那が来ると大仕事ばかり舞い込んで来ますね…」

 

 ヴィクターは土魔法の使い手を集めたり、ソドリア王国との交渉などで疲れた顔をし、ため息をつきながらモーグルに訊ねた。

 

「バーカ、俺じゃねぇな。ジョウが『たまたま』金になる仕事を俺に託してくれただけの話だ。商人は信頼されてなんぼだ…」

 

「逆にモーグルがいなかったら、冒険者ギルドとヴィクターさんら破産しますもんね。この後も未踏破のダンジョンいってパーティーのレベルアップ考えてるので、金はどうにかしてくれないと困りますね…」

 

「…お前らが来てから冒険者も騎士団もやる気が上がったのは良いのだが、ホノルやヴァルカン、ヘイヴンの街にも金使ってるよな?」

 

「こっちも信頼されて美容品の評価つけて貰わないと薬師や育てる薬草が決まらないので…」

 

 ヴァルカンの街の田畑や教会などにも金は落としているが、出来た野菜や果物、薬草などが安く手に入る上にダイアラック王国で流行ればモーグルに頼んで女冒険者向けや貴婦人向け、娼婦向けの製薬品を作って販売して貰えば、ある程度の利益は見込める。

 

 グレイスやニコラス、セリス以外にも薬師を増やしても良いし、エレノア次第ではメイドを2、3人増やしても良いことを話していると、外が騒がしく慌てた様子で冒険者が入ってくると獣神・グリフォンが縄張りから抜けてこちらに向かってきていると報告が入った。

 

 九条らに視線を向ける。それぞれが武器を手に取り外に出て空を見上げると、鷲の上半身とライオンの下半身をした神獣・グリフォンの姿がそこにあった。

 

 


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誤字脱字等の報告も承ってます。何卒宜しくお願いいたします。

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