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第87話【VSフォロカル⑤】


 身体を真っ二つにされたフォロカルの上半身が地面に落ちていくのを確認し、イザベルの大太刀から憑依を解除して元に戻った。その足でフォロカルの元に駆け寄ると、徐々に身体が崩壊し始めていた。

 

『まさか、イザベルに斬られる日が来るなんて思っても見なかったぜ…』

 

「フォロカル様…見つけるが遅れてしまって申し訳ありません」

 

『…気にするな。タロスやバラック、それにツルギの旦那はもうダンジョンボスとしての地位を手に入れるみてぇだ…。俺だけ、ユティリアが目指していた『夢』をまだみていたようだしな…。もうユティリアもいねぇのに…』

 

フォロカルが諦めたようにため息を深く吐くと、こう言うのに弱いのか高城が尻尾を掴んできて本当にユティリアがいるのか訊ねてきた。俺も創造神・サガから訊いただけで詳しい事は知らない。だが、ユティリアの魂もここに眠っているといっていたが、本当なのか確証がえられるものはない。

 

 高城はフォロカルが可哀想だといい、尻尾を思い切り掴んできてどうにかしてよと懇願してくる。マジで尻尾はやめて滅茶苦茶痛いから。

 

 本城も高城と同意見らしく何とかしろと尻尾を掴んできた。九条もそれに乗っかって掴んできた。何故、3本も尻尾がはえてきたのか今更になって後悔するほど痛いからだ。

 

 すると、部屋の周りが突如として眩い光を放ち始めた。そして、フォロカルのすぐ側に金髪の少女が姿を現した。フォロカルは目を見開いて『ユティリア…』と呟くと、少女はそっとフォロカルに触れた。

 

『いつまで待たせるの!?フォロカルの馬鹿!!アンポンタン!!ずっと待ってたのに!何で直ぐに死ななかったの!?』

 

『あー、この面倒くさいのは本物だな…ったく、死ぬ間際でようやく素で逢える何て皮肉なもんだ。助けられ無くて悪かったな…』

 

『ううん、こっちも色々と心配掛けてゴメンね?けど、ようやくまた逢えて嬉しいよ…』

 

 こちらに視線を向けてお礼をいうと、フォロカルは自身の魔力を込めた長剣を黒い靄に変え、イザベルの大太刀に吸収させた。


 フォロカルはイザベルにバラックやツルギは自分のようにはうまく行かないだろうが、一人ではない。イザベルなら大丈夫だろうと笑みを向け、手をユティリアに差し伸べた。すると、フォロカルもユティリアのような霊体になってしまった。

 

『もうあんまり時間ないみたいだから。詳しい事はサガのおっちゃんに聞いてね!色々とありがとうね?』

 

「サガのおっちゃんって…。創造神ですよね…?」

 

『大丈夫大丈夫!サガのおっちゃんだから!じゃあ、ありがとうね!またフォロカルと一緒になれて嬉しいんだ!』

 

 ユティリアは満面の笑みをフォロカルに向けると、照れ臭そうな表情を見せて俺達にお礼をいうとそのまま消えてしまった。色々と分からない所が多い。だが、あの様子だと近いうちに創造神・サガが俺達の元に来るか、また意識だけをあちらの世界に持っていく感じなのだろう。

 

 取りあえずは一件落着だが、問題は未だに尻尾を離さない3人と他の嫁達の表情が怖い。俺が全面的に悪いので何も言えないので謝罪するしかない。

 

「え~、心配させてごめんなさい。誠に勝手ながら草加丈は妖怪・鎌鼬になってしまいました…」

 

「流石にいきなり過ぎて心臓飛び出るかと思ったんだぞ!?何が『ゴメンな』だよ!!ワタシら全員怒ってるのはわかってるよな!?」

 

「はい、おっしゃる通りです。ただ、その、もうちょっと進化的な方法だと思ってました。まさか、自分の鎌が心臓に突き刺さってくるとは思ってませんでした…」

 

すると、イザベルはフォロカルに勝つ為に身を犠牲にしてくれた事を理解しているので攻めないでくれと味方してくれた。確かにそうなんだけどね。端からみれば1度目の前で死んだようなもんだから九条達が怒るのは心配してくれてる証拠だ。

 

 鎌を自在に取り出せたり大きさを変えられたりできるようになった。そして、身体そのものを刃に変化させる事もできるようだ。ただ、尻尾のそれぞれにはグランド、ウイング、フィリーの力が大きく影響しているようで真ん中の尻尾だけは太く細長い抱き枕のようになってしまっているようだ。

 

 すると、ヘレナが仲裁に入ってくれ「夫婦の揉め事は家に帰ってからにしてくれ」と言われ、九条が何か思い付いたようだ。多分、滅茶苦茶怒られるか搾り取られるかのどっちかだろうなと項垂れた。

 

  ヘレナはこの後の事を訊いていなかったのでどうするのか訊ねてきたが、ヴァルカンの街まで通路を開通させる事を話すと口元を引きつらせる。元々ミスリル鉱石の発掘もモーグルとの依頼であったので、砂塵魔法と土魔法を利用して掘り進めていく。

 

 方向についてはグランドが先導してくれるので迷う事はないと伝え、トレジャーボックスからシャベルと土を詰め込む荷車を取り出すと、ヘレナは九条になるべく強めのお仕置きをするようにと言われてしまった。

 

 九条らはそれを訊いて尻尾を離して悪い顔をこちらに向けてくる。いったいどんなお仕置きが待っているのか不安でしかないが、気持ちを切り替えて作業に取りかかった。

 

 

 



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