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第78話【 勇者の条件】



 イザベルの口から告げられた女神から選ばれた勇者や異世界から呼び出された勇者は極悪人であったという話に興味があった。元々、俺達はその『勇者候補』としてこの世界に召喚されたのだ。


この世界の四神の女神である火の女神・フレイス、水の女神・アクアリス 、風の女神・ウィンディア、土の女神・ガイアに加護を与えられた魔法使いは大魔導士になったり、魔法戦士であれば剣聖といった最上級職になれる。

 

 その四神全てから加護を獲た者は賢者や聖女と呼ばれる特別な人間になることができると語る。

 

 だが『勇者』は四神の女神の他にその女神らを束ねる創造神・サガという存在に認められた者に与えられる称号であるのだ。イザベルは左手首にはつけられたブレスレットを見せてくる。

 

「そもそも、私達のステータス値を見れるこのブレスレットはこの世界に産まれた時に創造神様によって授かりし物なのだ。他種族だろうが関係なくこれは授かる」

 

「…因みにだが、国の魔法使いと付与術が追跡の魔法を着ける事はできるか?」

 

「ブレスレットには無理。けど、宝玉に魔力を込めれば出来ない事はない。それは犯罪奴隷が逃げ出した際に追える魔法であり、使用できるのは『犯罪者』と神から裁かれた者のみ発動する代物だと訊く。犯罪奴隷に墜ちればブレスレットのスキルは没収される上、奴隷の証である首輪を付けられて魔族領土に送られる」

 

「ダイアラック王国でも毎年数十人は犯罪奴隷が出てエルドラに送還されてますよ?」

 

 九条らと顔を合わせた。この世界にはちゃんと女神や創造神が存在していたのだ。てっきり適当な伝承を使って適当にそれっぽい名前を着けた『ニセ神様』では無いようだ。

 

 ヴァルカンの街の教会は確か『四神教会』と呼ばれており、その4人の女神様の像を見たことがあるが、創造神サガの事は知らなかった。

 

「ワタシら異世界から来てるけど、基本的に無宗教派だし…。その、宗教が悪徳っていうか悪いイメージあってさ?」

 

「何かお金騙しとる為に、居ない神様の名前騙ってる感じで…」

 

「実際、それで家庭崩壊して家族の幸せ壊してるから、邪神の邪教なのは違い無いけどな。まぁ、嫁が破壊僧だからどうでも良いけどな…」

 

「ぶっちゃけ加護貰って強くなってもしゃーないしな。んで、イザベルはレイドリス王国の勇者のつるぎは知っとる?」


 話題から逸れてしまったが、九条がイザベルにレイドリス王国にある勇者のつるぎの事を訊ねた。イザベルは最初で最後の勇者の魂が宿ったつるぎ。それこそが『勇者のつるぎ』だというのだ。

 

 転生(リインカーネイション)とは違って武器に意志がある為、勇者のつるぎ自身に認められて導かれた者しか扱えない代物であり、1000年前、レイドリス王国に居た真の勇者が扱っていたらしい。


 今の魔族領土とは勇者が残した魔王と不可侵条約を結んで造られた国境の防壁である。ガラハット王国やエルドル王国が一から作り上げた物ではない。今の王国がある領土も魔王に支配されていた。

 

 何より、魔王は1人ではなく4人いたらしいのだが、そのうち3人は勇者によって討ち取られた。それが後世に受け継がれていない理由は、真の勇者は神から特別な力を授けられ 半神半人(デミゴッド)となる。人から 半神半人(デミゴッド)になると、エルフ同様に長命種となり、1人で大国の軍隊に匹敵する力を持つ存在になると言われているそうだ。

 

 この地で【神獣】と呼ばれるグリフォン・フェンリル・古代竜エンシェント・ドラゴン世界樹(エルダー・トレント)と肩を並べる存在、つまりは『神に仕える偉大なる存在』になると言われている。だが、イザベルが知る限りでは真の勇者になれたのは、今の領土を作った勇者のみ。

 

 後は『ハズレ勇者』と呼ばれる分類ばかりだというのだ。そのハズレに共通する内容を纏めるとこうだ。

 

 ・民に横暴な態度を取ったり見下したりする。

 

 ・状況が悪くなれば仲間を置き去りにし、我先に逃げ出す。

 

 ・思い通りに事が進まなければ仲間のせいにする。

 

 ・自分が生き残るためならば平気で仲間を売る。

 

 と、いった具合に上げればキリがない。行いや行動、言動が悪ければ民や仲間から『信頼感』を失った勇者の事を『ハズレ勇者』という。勇者に選んだ神にも見捨てられ、勇者の特典である『女神の加護』を剥奪されてしまって堕落するのは当たり前である為、勇者への期待度はハッキリいって無いようなものだ。


本城達は「東条と西城が勇者になってもハズレなのは間違えないから、後は秋野か大城のどちらだろう」と話すと、異世界の勇者の大前提として職業が魔法戦士であり回復能力にも長けた者であることだと教えてくれた。そして、固有スキルが『武具成長』でなければならないと…。

 

 「俺の武器成長とはまた違うのか…?」


「ジョウの場合は勇者ではなく英雄…こちらでは『グラン』という存在になるんだ。勇者のつるぎ同様に英雄の武器になり、その者に力を授ける存在になり次の英雄を生み出す手伝いをするんだ」

 

「う~ん。なら、ウチら呼び出された理由が不可侵条約を結んだ魔王が代替わりしたか。それとも、魔王領土内に新しい魔王が誕生したかのどっちかやろうね。んで、ここに封印されとる上級悪魔(グレーターデーモン)はそん時に勇者に封印されたヤツかも知れへんな…」


 イザベルの話を聞く限りだと、確かに過去の真の勇者が何からの理由で封印した上級悪魔(グレーターデーモン)が長い月日掛けて封印を破ろうとしているのは間違いない。そうなって来ると真の勇者でも倒せずに封印するしか手段がなかった上級悪魔(グレーターデーモン)を相手にしなければならないという事になる。

 

 ネームドの上級悪魔(グレーターデーモン)ならば勝てるかどうか分からないレベルだろう。下手をすれば俺が倒した巨岩竜(メガロック・ドラゴン)よりも格上の存在であり、魔王に匹敵する力を持っている存在だろう。

 

先にミスリルリザードを討伐してレベルアップする必要があるな。グランド、ウイング、フィリーはバレないように上級悪魔(グレーターデーモン)の状況を見てきて欲しいと頼む。

 

『お、親分にそこまでいわれたら…』『行くしかない!』『親分はいつか鎌鼬(カマイタチ)の目標である大妖怪になる人!』

 

 といって怖がりならがも頼んだ仕事をこなしてくれる。九条に後でご褒美をあげてくれるように頼み、フィーナが見つけたミスリルリザードを倒し、少しでもレベルアップをしようということで話し合いは終わり、それぞれが武器を持ってフィーナの後に続いた。

 

 


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