表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/135

第31話【旅立ち前のトラブル(後編)】



 手下のオークとゴブリンの大半が倒され、ようやく集落の頭であるオークキングが姿を現した。他のオークよりも一際デカく持っている棍棒は石で造られていた。

 

 流石にあれで撲られたら只では済まないだろう。

 

 オークキングの迫力にクラスメイトの大半は戦意を喪失している。だが、まだゴブリンもオークも残っている。ここで戦力を下げるのは痛手だ。

 

 すると、背後からモーニングスターの鉄球がオークとゴブリンを全て仕留めた。振り向くと九条と秋野のパーティーが残りのオークとゴブリンを始末してくれていた。

 

 残るはオークキング一匹だけだ。

 

「戦う気のない者は九条がいる場所まで撤退しろ!桃華はそのまま支援魔法を継続!梨沙は桃華を護りながら後衛の守りの指揮を他のメンバーと連携。俺、綾香、ダリウスと戦う意欲のある者でオークキングの討伐に当たる」

 

「丈、アイツってオークキングだろう?確か…」

 

「ああ、アイツの肉はバースト・ボアより美味い」

 

「いや、アレを食べる気ですの!?あの見た目ですよ!?」

 

「何言ってやがる!オークの肉は高級品なんだぞ!?絶対に仕留めてやらぁ!!」

 

 冒険者ギルドで聞いていたが、オークには庶民の贅沢品の肉で銀貨三枚ほどで肉の塊が売られている。普段冒険者ギルドで出るワイルドボアやたまに取れるバーストボアよりも肉質が良いと聞く。そのキングならばさぞ美味いだろう。

 

 高城もチアリーダーの姿で応援してステータス値も上がっている。オークキングは石の棍棒を振り下ろして来たが本城がそれを大盾で受けて弾き返すとオークキングは身体を後ろに反らす。

 

 そこに東条と西城、ダリウスが剣を振り下ろすとオークキングは腹から血を吹き出した。

 

 「どうですか?私の氷の剣の威力は…」

 

  「私の炎の剣のが強かった!」

 

  「何ですか!?」

 

  「二人とも喧嘩する…なっ!?」

 

 西城と東条が言い争い始めた為にダリウスが宥めてたが、倒したと思っていたオークキングは起き上がってきた。


だが、既に虫の息だった。やはりダリウスもクラスメイト達も爪が甘い。両鎌をクロスさせてウインド・カッターを放つとオークキングは地面に背中を着けた。


 オークキングの命を確実に仕留める為に眉間に鎌先を突き刺すとオークキングは雄叫びをあげたが暫くすると動かなくなり絶命した。それを確認すると鎌を引き抜き、念の為に喉元も切り裂いておく。

 

「さて、これで討伐は終わりだ。集落と洞窟内に連れ去られた女達がいる筈だ。手分けして探すぞ?」

 

 そう言われて藁の集落の中に女性が三人。洞窟内には十二人発見し救出された。オークが作った藁の家を壊して簡易的な寝床を造り全員を寝かせた。

 

 九条に回復魔法を頼み、ポーチから水とポーションを取り出して治療に当たるが『心』までは回復させることができない。

 

 奇跡的に連れ去れた三名は意識を取り戻して安堵したのか泣き出してしまった。その後、レイドリス王国と冒険者ギルドからそれぞれ連絡を受けてやってきた馬車に連れ去れた女性を乗せ、オークはその場で解体されていた。

 

 その間に気になる事があったのでパーティーメンバーを呼び寄せて洞窟内を探索したが、どうも他の冒険者は食べられてしまったようだ。

 

 洞窟の奥から出てくると何があったのかダリウスが訊ねてきた為にゴブリンかオークに食われた冒険者の冒険者カードを数枚手渡した。

 


 ◇◆◇

 

「そうか。いや、早めに気づいてくれてよかった。礼をいう」

 

 謁見の間に集められたクラスメイト達とダリウスは事の顛末を冒険者ギルドのドルダム、宰相のメイスン。そして、マルシェ女王に報告した。

 

「気付くのが遅かったらレイドリス王国は王都から壊滅していたな…。チッ、やっぱりあの重鎮ども(クソジジィ)のいう通りしなきゃ良かったぜ…」


 

「メイスン様、このままではレイドリス王国が危ういです。冒険者ギルドと連携して勇者パーティーの強化を…」

 

 どうにもあの場所は冒険者ギルドも管轄外であった為にオークやゴブリンが集落を作るのに格好の場所になってしまったようだ。

 

「ですが、重鎮達が納得されるでしょうか?」

 

「現に被害者が出ているのですよ?納得させるしかありません」

 

 マルシェがそう言うが、どうにもメイスンもダリウスもそれで納得するとは思ってないように見えた。


 ところがその重鎮達は数日後に横領の罪で投獄される事になった。何でもその重鎮達は裏で悪事を働いている者と繋がっていたらしい。

 

 レイドリス王国に呼ばれ俺が何かやったのではないか訊ねられた。だが、『俺達』ではないと言い切った。

 

 何故ならば、その重鎮達を消したのはモーグルであったからだ。レイドリス王国の癌である重鎮達が犯罪に力を貸している証拠を内密に集めていた。

 

 マルシェ王女がまだ13歳と幼く騙しやすいと思っていたのか、調べれば簡単にボロが出たと豪快に笑っていた。

 

 これで後は旅立つ数日をゆっくりと宿屋で過ごせば良いと思っていてたのだ。クラスメイトとダリウスに旅立つまでの少しで良いから戦術を教えて欲しいと頼まれたのだ。

 

 マルシェ女王も何故か宿屋まで来ていたが、やはりレイドリス王国の兵力の問題に関係があるのだろうと依頼を受けた。

 

 

 

 


良かったらいいね・ブックマーク宜しくお願いいたします。


誤字脱字等の報告も承ってます。何卒宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ